妖精のカフェ｜リアクション

妖精のカフェ

●妖精のカフェにようこそ

　神野美野梨が唐突に出現したカフェに興味を示したので入ってみようとした時、入ろうかどうか悩んでいるコンノ・グラスハーベルを見かけた。
「どうしたの？」
「このお店に入ろうか、どうしようか迷っているんです」
　一人では心細いと悩んでいるコンノに、美野梨は「良ければ一緒に入らない？」と誘う。
「いいんですか？」
「誰かと一緒に入った方が楽しくなるでしょう」
　そう思い、一緒に入ろうと美野梨は声をかけたのだった。
「あの……僕も一緒に入ってもいいですかぁ？」
　カフェに入ろうとする二人に声をかけたのは彦生名瑠。
「いいわよ。あなたも一緒に行きましょう」
　楽しくなりそう、と美野梨はカフェに入った。

「いらっしゃいませ」
　三人を出迎えたのは、耳が長く尖っている女性だった。
「あなたは……？」
　名瑠の呟きに対し、女性は「私はほしびと。この『妖精カフェ』の店主です」と答えた。
　コンノは自分と同じほしびとが、このカフェの店主であることに少し驚いた。
「ほしびと……星幽塔の人よね？　聞いたことはあるわ」
　興味深いと美野梨は店主を見つめる。
　店主が指を鳴らすと、たちどころにテーブルセットが出現。
　小さな妖精達がこちらにどうぞ、という仕草で三人を招き入れる。
「ごゆっくりどうぞ。注文が決まりましたら、この子達に言ってください」
　この子達、というのは妖精達のことだ。
「メニューはないんですか？」
　そう訊ねるコンノに対し、店主は「大抵のものはご用意できますよ」と答えた。
　カフェなので、紅茶やケーキといったものがあるのだろう。

「妖精は昔から目撃例が語られたりしてるけど、生き物なのかしら？　この羽で飛べるというのは、体重はどれくらいなのかしら？」
　20cm程度の身長、美しい少年少女の姿、背には虫羽が生えている妖精達に興味津々な美野梨は、何語で話しかければ……と考え込む。
　自分達に興味を示したことを理解したのか、妖精達は美野梨に近づくと羽を広げたり、自分達の身体を見せる等のジェスチャーをし始めた。
「え？　私の話がわかるの？　すごいわね」
　妖精が自分のことを一生懸命に説明しているとわかった美野梨は「それじゃ、これはどう？」と、ろっこんで猫語で話しかけてみたり簡単な英語で話しかけてみた。
　すると、妖精達はお茶を運ぶ仕草をしたり、ナプキンを運んできたり、三人の周囲を飛び回ったりと忙しない様子に。
「妖精さん達に、何て言ったのかなぁ？」
　名瑠の質問に「注文してもいいですか？　って猫語で言ったんです」と妖精を見つめながら美野梨は答えた。
　そんな彼女に、美しい少年の姿をした蝶の羽が生えている妖精が近づいてきたかと思うと眼鏡に触れた。
「ご注文は何にしますか？　と言っているのね。では、紅茶とケーキをお願いしてもいいかしら」
　コンノと名瑠も、紅茶とケーキを注文した。
　ペコリとお辞儀をした妖精達は、回れ右をして店主の元に飛んで行った。

　注文してしばらく経った時、妖精達は「重た～い！」と言っているような表情でティーカップとケーキをせっせと運んでいる。
　こぼしたり落としたりしないよう、慎重に運んだりテーブルに置く仕草はすごく可愛らしい。
「ありがとう、ご苦労様」
　美野梨はケーキを運んできてくれたトンボの羽の妖精の頭を撫でる。
　撫でられてニッコリ笑う妖精を見たコンノは可愛いです……とウットリ。
　名瑠は「可愛いねぇ」とティースプーンを運んでくれた妖精の羽を傷つけないよう、そっと触れた。
「いただきます」
　美野梨は、妖精達が運んできてくれたティーカップを手にすると一口。

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