「あれぇ? ヘンなところに迷い込んじゃったなぁ」
彦生 名瑠があたりを見回すと、四方を淡く輝く霧の壁に囲まれた、不思議な空間だった。
はて、星ヶ丘を歩いていたところだったのだが。確かにここは星ヶ丘地区の路上であるようだが、うっすらと透けた壁の向こうを行き交う人々は、名瑠やこの空間には気づかないようだ。
「いらっしゃいませ。まあ、まるで妖精のように愛らしいお客様」
振り返ると、美しい女性が立っていた。
海外のものだろうか? 見たことの無い意匠の美麗な服飾に身を包み、名瑠へ穏やかに微笑んでいる。
よくよく見ると、女性の耳は長くとがっていた。
「あなたは……?」
「私はほしびと。この
『妖精カフェ』の店主です」
「妖精カフェ? うわぁ……!」
店主という女性がぱちりと指を鳴らすと、単なる区分けられた星ヶ丘の一画であった空間へ、瞬く間に草が生え、花々が咲き、樹々が天上へ向かって伸びていく。まるでここだけ、静謐な森と化したかのようだ。
樹の幹の後ろから、とりどりの花びらの陰から、小さな何かが姿を現した。
「この子たちが、妖精?」
「ええ。カフェのスタッフです。とっても働き者なんですよ」
それは確かに、
妖精だった。身長は20cm程度のいずれも美しい少年少女の姿をしていて、背には虫羽が生えている。
店主がすうっと手のひらをかざすと、あっという間に茂ったやわらかい芝生の上に、純白のテーブルセットが現れた。
妖精たちがどこからともなく、ティーポットやティーカップを運んでくる。人間サイズの食器なので少々重そうに、それでも一生懸命に羽をはためかせ、テーブルへそれらを並べていく。
「さ、そちらの席へどうぞ」
「えっ、でも……」
「大丈夫。お代はいかほどもいただきませんから」
奇妙な体験に逡巡した名瑠へ、店主は肩へ飛んできた妖精の頭を優しく撫ぜ、言った。
「お客様の、大切な思い出。秘めた想い。ちょっとした笑い話。なんでも構いません、
あなたのお話を聞かせてください。あらゆる世界で、その場所に因んだエピソードを収集するのが、私の楽しみなのです」
名瑠だけではない。あなたもこの不思議なオープンカフェを訪れることがあるかもしれない。
可憐な妖精たちに給仕をされながら、店主に秘蔵の小話を語ったり、なんなら相談事を持ちかけてみるのも良いだろう。
お茶を楽しみながら、少しばかり、ゆったりとしたひと時を過ごすのはいかがだろうか?
こんにちは、よろしくお願いします!
彦生 名瑠さん、ガイドにご登場いただきありがとうございました。
ご参加いただける場合は、ガイドのイメージに関わらず、自由にアクションをかけてください。
概要
星幽塔からやってきたほしびとの店主が営む、ちょっと不思議なオープンカフェが舞台です。
「妖精カフェ」は四方を淡い霧の壁に囲まれた空間で、寝子島の街中のどこかに唐突に出現しますが、
どうやら見える人にしか見えないようです。
空間には、エルフのような尖った長耳を持つ店主の女性と、虫羽を背に持つ妖精たちがおり、
あなたを出迎えてくれます。
店主が指を鳴らせばたちどころにテーブルセットが出現し、あなたをお茶に招きます。
かわいらしい妖精たちの一生懸命な給仕に癒されながら、美味しい紅茶やコーヒーとお茶請けをいただいたり。
店主との軽やかなおしゃべりを楽しんだり。自由にお過ごしください。
メニューはありません。
紅茶やお茶請けのお菓子、ケーキなど、
リクエストすれば大抵のものは用意してもらえるでしょう。
「妖精カフェ」でお茶をいただくのに必要なものは、お金ではありません。
対価は、あなた自身の「エピソード」を語ることです。
・過去の素敵な思い出
・乗り越えた辛い経験
・今現在抱えている問題
・恋人とのなれそめ
などなど、なんでも構いません。
悩みを相談してみるのもアリ。店主は面倒見の良い人物なので、喜んで相談に乗ってくれることでしょう。
また、妖精たちと戯れたり遊ぶこともできます。
今回登場する妖精たちは、妖精同士では何か会話をしているらしいものの、
人間の言葉を話すことはできません。
ただ、こちらの言うことはなんとなく理解してくれているようです。
彼らは人懐っこくて頭も良く、人間の遊びに興味津々です。
手遊びやあやとり、おはじき、草相撲などの昔ながらの遊びから、
カードゲーム、ボードゲーム、はては携帯アプリやカプセルギアなどなど、
教えてあげればすぐにコツをつかんで、いっしょに遊んでくれることでしょう。
不思議な妖精カフェでのひと時、自由にお楽しみください。
NPCについて
登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
自由に交流してみてください。
また今回は、Xキャラクターも登場可能です。
口調などのキャラクター設定は、アクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いてもらえれば大丈夫です。
以上になります。
それでは、皆さんのご参加をお待ちしています!