悲しい銃弾｜リアクション

悲しい銃弾

　猥雑な街のビルの屋上には不規則な風が吹いている。長年の風雨に晒され、コンクリートの一部が剥離しているところもあった。

　エレノア・エインズワースは谷底のような街を見下ろし、柵のない縁を歩く。巻き上げるような風で長い髪が乱れる。
「足の感覚が薄れていくようです」
　少し両腕を開いた。綱の上を進むように小さな一歩を重ねていく。
　顔は穏やかで口元には微かな笑みが浮かぶ。
　横手から強い風が吹き付けて片方の足が浮く。身体は一方に傾いて、あ、と小さく声が漏れた。
　エレノアは肩から落ちた。屋上の床に叩き付けられ、顔を顰めてよろよろと立ち上がる。
「……フフ」
　笑いが込み上げる。
「この私が声を上げるとは、どこまでも不完全で、なんて美しい人間なのでしょう。アッハハハハハ！」
　いきなり降ってきた狂乱の笑い声に街は少しざわついた。

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あとがき

担当マスター：黒羽カラス
ファンレターはマスターページから！

　皆さんの活躍で、襲撃事件の首謀者である二人の身柄は確保され、自首という形になりました。
　ですが、誰も予想しなかった衝撃の展開を迎えます。命を失うことはありませんが、大怪我となりました。
　適切な治療を受けたあと、自首となります。新聞を賑わせる程の事件には発展しないでしょう。

　この話に続きはありません。
　その後の双子の動向が語られることはなく、時が過ぎてゆきます。

　様々な人間の個性が凝縮されたシナリオになりました。
　悲しい銃弾は私の胸にも撃ち込まれ、長く余韻として残るでしょう。

　参加された皆さん、ありがとうございました。
　また次のシナリオで会えることを楽しみにしています。

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