澄み渡った青い空は墨汁のような夜に侵される。繁華街は刺々しいネオンサインで対抗したが、大半は街灯の寂しげな明かりに包まれた。
賑やかな目抜き通りから少し外れたところを若い男性が足早に歩く。コートのポケットに手を突っ込んでスマートフォンを取り出し、表示された時間に向けて溜息を吐いた。
「……また、こんな時間か」
現状を嘆きつつも足を速めた。数分で緩やかとなり、自動販売機の前で立ち止まった。温かい緑茶を見て喉が上下した。
その時、足音が迫ってきた。男性は横手に顔を向ける。
黒いパーカーを着た小柄な人物が目に映った。しかも顔の半分以上は黒いマスクに覆われていた。
「な、なんだ!?」
男性は驚きの声で向き合う。相手は黒い拳銃のような物を握っていた。速やかに銃口を向けて、思い出せ、と声を発した。
トリガーが引かれた。男性は胸に一発の銃弾を受けてよろめく。相手は目で笑うと踵を返して走り出す。
「モデルガンでも、許せん!」
痛みから回復した男性は怒りの形相で追い掛けた。相手は冷静だった。距離が縮まるのを見て横手の路地に逃げ込んだ。
「逃がすか!」
同じように飛び込んだ男性は、え、と声を漏らす。完全に相手を見失った。
代わりに白いコートを着た少女が歩いてきた。銀色の長い髪が目を惹いた。何かを抱えるような格好で横を通り過ぎる。
男性は路地に独り、取り残された。
「……幽霊、なのか?」
自身の一言で身震いを引き起こした。
少女は歩きながら道の前後を見やる。人気がないことを確認して、抱えるような両腕をだらりと下げた。すると目の前に黒いパーカー姿の人物が現れた。
「今日も上手くいったよ」
「そうね、でも……」
「心配はいらないよ。それにこっちが被害者なんだ」
強い言葉は反論を許さない。黒いパーカーの裾を撥ね上げるようにして歩き出す。
その後もエアガンの襲撃は続けられた。島内に噂が流れ、ねこったーを介して広く伝わった。
「今回はどのような愛憎劇を見せてくれるのでしょうか」
エレノア・エインズワースはスマートフォンの電源を落とした。薄暗い路地裏を抜けてひっそりと盛り場へと消えていった。
エレノア・エインズワースさん、ご当選おめでとうございます!
それとご指名いただき、ありがとうございました!
当シナリオに参加された場合、ガイドに縛られず、自由にアクションを綴ってください。
早速ですが詳細をお伝えします。
騒動の概要
夜の寝子島でエアガンによる襲撃が頻発した。狙われる人物には特徴がなく、無差別の犯行と思われる。
大半は人気のない場所が現場となった。共通する情報として犯人は小柄で黒いパーカーに黒いマスクを着用。
逃げ足が異常に速く、全ての追跡の手から逃れていた。たまに目撃される少女との関連はわかっていない。
動機&犯人
二人は銀髪の双子。見た目の良さが災いして中学校では軽い虐めに遭っていた。表立って反抗することができず、
夜の寝子島でろっこんを使った憂さ晴らしをしていた。理不尽な世に恨みを募らせ、全ての人を攻撃対象とした。
美少年(もれいび):黒いパーカーに黒いマスクを着用した小柄な実行犯。全ての人を標的としている。
発動条件:相手の正面から「思い出せ」と声を発してエアガンで撃つ。
能力内容:撃たれた対象が過去に経験した強い肉体的苦痛を、僅かな時間で再現する。
美少女(もれいび):白いコートを着たサポート役。美少年の犯行を手伝いながらも阻止したいと考えている。
発動条件:心の中で念じる。
能力内容:相手を抱き締めることで衣服や所持品ごと、姿を透明にする。離れると能力が解除される。
説明は以上になります。
幼い二人の犯行を止めることはできるのでしょうか。
説得や捕まえることに失敗しますと、後日、何かしらの情報が入ると思います。
全ては皆さんの行動に掛かっています。知恵と能力を駆使して解決に導いてください。