＜七福猫シリーズ＞福禄寿猫を探せ編｜リアクション

＜七福猫シリーズ＞福禄寿猫を探せ編

●ロック気分で探索開始

「福禄寿猫さん……ついに……！」
　弁天猫、布袋猫、寿老猫、毘沙門猫探しに関わった恵御納夏朝は、福禄寿猫が見つかれば七福猫が揃うと楽しみになった。
（頭の中で鳴り響いているロックには……どんな歌詞がいいかな……）
　いろいろ考え、思いついた歌詞をメモ。
「福禄寿猫さん、今探し……うわぁ！？」
　探そうとした途端にツルッと滑って転倒し、頭を強打。その拍子に別人格【夏夜】が出現。
「……やぁ、夏夜だよ。どうしてこうなった……！」
　突然のアクシデントにぼやきつつ、仕方ない、夏朝の代わりに福禄寿猫を捜索するかと動き出す。
　こげ茶の天然パーマはロングウェーブ、黒が基調のゴスロリ姿に変わった夏夜は「歩きづらい……」と愚痴りながらも歩く。
「幾度転んでも負けん！」
　福禄寿猫を見つけ出す、と諦めることなく九夜山内を探し続ける。

　九夜山探検でも行くかと思い立った龍目豪の頭に、ハードロックが響く。
「ハードロックか。最近ご無沙汰だが昔はハマってたな」
　そう思いながら建物のガラスに映った自分を見てビックリ。
「うおっ、なんだこの服！」
　ライダースジャケット、クルーネックニット、デニムパンツといったものに変わっていた。
「ヴィジュアル系かよ……。ライブでもないのに、この格好は目立つな……」
　それだけでなく、手にはギターが。ギターを見て、先輩が弾いていたっけと思い出す。
　豪はその時ハーモニカを吹いていたが、今思えば、さすがにロックにハーモニカはないよなと苦笑する。
　適当に弾いてみるか、とギターの弦を爪弾くとハードロックは聞こえなくなった。
「福禄寿猫を探せば、この格好がどうにかなるかもしれんな」
　早く見つけ出すぜ探している時、ノリノリでヘッドバンギング中の野菜原ユウを見かけた。
　ユウにもロックが聞こえ、自分と同じ状況であれば一緒に探してくれるはず。
「野菜原、一緒に福禄寿猫を探そうぜ！」
「福禄寿猫？　何だソレ」
　ドラムスティックを振り回してヘッドバンギングをしているが、その最中に何度も転倒。
「うわっ？　何で転ぶんだ！？　凍ってるわけでもねえのに」
「知らねーよ！　何回も転んじまうんだ！」
「それは大変だな……」
　ユウと一緒に探し始めようと豪は歩き出すが、その途端、急に転倒した。
　なんで俺まで……と涙目になりながらも、諦めずに歩き続ける。
「転ぶのを恐れてちゃ前に進めねえ！　いくぞ野菜原！」
「俺を巻き込むんじゃねー！」

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