寝子島には、七福神ならぬ『七福猫』が存在していると言われている。
寝子島駅前に鎮座する恵比寿猫。
参道商店街の一角、白木造りの小ぶりなお社に祀られている弁天猫。
アウトレットの片隅に建てられた簡素なお社に祀られている布袋猫。
寝子島漁港の近くのお社には、恵比寿猫とお揃いの烏帽子をかぶった大黒猫。
星ヶ丘には、小振りで品の良いお社に祀られた寿老猫。
寝子島スポーツセンターの武道場に祀られている毘沙門猫。
所在が判明しているのは、現在のところこの六体。
残りは福禄寿猫のみである。
「何を食べようかなー?」
甘い物を食べに行こうと思い立った
霧生 里桜は、星ヶ丘寮を出てシーサイドタウンに繰り出す。
ルンルン気分で歩いていると、頭の中に何とも言えない音楽が鳴り響いた。
「これは……!」
おしゃれと甘い物以上に歌とギターが好きな里桜は、響いてきた音楽に深く心を動かされた。
響いてきたのはハードロックだったが。
音楽が聞こえたのは里桜だけ? と周囲を見渡すが、道行く人々は何事もないように歩いている。
どうやら、音楽は里桜にしか聞こえていないようだ。
ろっこん使用後は長身白皙の美青年イリヤに成長し、この姿で芸能活動を最近行っているからなのか。
ギターが好きだからなのか。
何故かと考えていると、服装がスチームパンクとロリータ服をミックスしたファッションに変化。
いつの間にか、愛用のギターを手にしているので「どういうことー?」とビックリ。
自身の変化に驚くと同時に、お爺さんの声が響いた。
――おぬし『ろっく』とやらは好きか?
「ロック? 音楽は好きだよー。ギターで時々弾いているし」
――そうか。
最近、人間の頭の中に音楽、特に『ろっく』とか『へびめた』とかいうのが聞こえるようでのう。
弁天猫にそのことを話したら、わたしの仕業じゃないと言うとるし。
弁天猫だけでなく、他の七福猫に訊ねたが答えはすべて自分の仕業ではないとのこと。
――それ、まだ見つかってへん福禄寿猫の仕業ちゃうん?
お爺さんの声がしたかと思うと、今度は関西弁のおっさんの声が響いた。
――大黒、どういうことじゃ?
――福禄寿猫、ダジャレ好きやし。『福禄寿』の福と福を招くロック。
略して『福ロック』とかけたんやなかろか。
あーそういうことね……と脱力する里桜。
「頭の中で音楽が鳴ったのは福禄寿猫のせい?」
――大黒の話が本当なら、そうじゃろう。
「服装が変わったのもそのせい? どうすれば元の格好に戻るのか教えて欲しいな」
頭の中に響いているロックは、今もまだ聞こえている。
――福禄寿猫を見つけ、原因を探れば元の格好に戻るじゃろう。
音楽が聞こえる人間がおるのは、九夜山周辺が多いようじゃ。
おそらく、福禄寿猫はそこにおるのやも。
――七福猫は大きさも形もまちまちの石の像や。
福禄寿猫は頭がちぃとばかし長く亀に乗っ取るから、すぐわかると思うで。
あの頭は超特徴的やからな、と大黒猫は笑う。
「里桜、頑張って探してみるねー」
早速探し始めよう、と歩き出すが、足が思うように動かない。
「な、何でー!?」
歩けることは歩けるのだが、一歩ずつの歩みがカメになったかのような速さだ。
こんなんで大丈夫なのー、と里桜は不安になった。
ものすごい苦労をして里桜が移動を続けている頃。
野菜原 ユウが、ハイテンションでヘッドバンギングをしていた。
「イェーイ! ノッてるかーい!」
ろっこん『ダイナモセンス』が発動したのだろう。
激しい動きの最中、ユウは何度も転倒したが気にせずヘッドバンギングを続けていた。
――七福猫が全員、揃う日が来るのね。
――早く福禄寿猫に会いたいわい。
――私も探したいですが、どうすることもできないのが口惜しいです。
――我らにできるのは、福禄寿猫が見つかるのを待つだけだ。
弁天猫、布袋猫、寿老猫、毘沙門猫は七福猫が勢揃いするのを心待ちにしているようだ。
――探してくれる者達に期待するしかあるまい。
――早く見つかるとええな、福禄寿猫。
恵比寿猫と大黒猫も、他の七福猫同様、勢揃いすることを楽しみにしている。
ロックみたいにハードな展開になりそうだ、と思いながら。
カターレです。
霧生 里桜様、シナリオガイドのご登場、ありがとうございます。
ご参加いただける際は、自由にアクションを書いていただければと思います。
寝子島ミーティング第5弾、寝子島セカンドマップをつくろう!との連動シナリオ、七福猫シリーズ第6弾、福禄猫を探せ編です。
以前手掛けた大黒猫を探せ編と同じく、少し軽いコメディのノリでいこうと思います。
お気軽にご参加ください。
<状況>
九夜山周辺で、頭の中にロックやヘビメタといったロック音楽が頭の中に響いている現象が起きています。
音楽に興味が無い、といった方にも聞こえます。
頭の中の音楽を聞いた途端、服装が瞬時に変わります。
服装が変わっても音楽は聞こえ続けます。
<福禄寿猫>
少し長い頭が特徴の石像です。大きさは判明されていません。
右手に持ち手が鶴の形をした巻き物を括り付けた杖を持ち、亀に乗っています。
大黒猫補足情報:ダジャレ好き
恵比寿様をはじめとした七福猫は福禄寿猫の気配を感じ取っているようですが、正確な位置は把握できていません
<登場NPC>
野菜原 ユウ
目立つのが大好きなお調子者。
衣装が変わったことに関してはまったく気にせず、むしろ楽しんでいます。
パンクロックファッションパーカー姿で、ドラムスティックを持っています。
協力してほしいとお願いすれば、一緒に福禄寿猫を探してくれます。
<アクションでは……>
・外見変化
福禄寿猫の力によりロックファッション、パンクファッション、ゴスロリといったロック系衣装に変わります。
人によっては髪型、髪の色が変わる。ヴィジュアル系バンド風メイクになることも。
獣人形態のほしびとの方に関しては精巧な特殊メイク、あるいは被り物と周囲の人々に思われています。
服装は何に変化するのかわかりませんので、男性がゴスロリ衣装といったものに変化する場合もあります。
男装、女装、外見変化等はアクションに書いてください。
福禄寿猫を発見し、お祀りすると元の外見に戻ります。
・アクシデント
皆様に必ずひとつだけ以下のアクシデントが発生します。
・ツルッと転倒
福禄寿猫を探している最中、見つかるまで何度も転倒します。
凍結した路面で転倒、なぜかバナナの皮を踏んで転倒、誰かにぶつかって尻餅。
……といったシチュエーションで転びます。
・カメ~な歩み
歩みが異様に遅くなります。
腰から下が雪に埋まり、足に重りを付けた状態で歩いているような感覚だと思ってください。
腰から下の動きだけが鈍くなりますので、上半身の動きに支障はありません。
<持つことになるアイテム>
ギター、ベース、キーボードといった持ち運びができるロックバンド系アイテム。
ロックに使われることがあるサックス、トランペット。
他にはリコーダー、ヴァイオリンといったものも持てます。
歌を歌うのに使うマイクも持てます。
福禄寿猫を探すために必要不可欠なアイテム、というのは恵比寿様談。
アイテムはロックが演奏できれば何でもいいです。
これらを使い演奏したり、歌ったり、パフォーマンスをするのも良いでしょう。
七福猫の加護なのか、神魂の影響なのかアクシデントで壊れることはありません。
演奏(音を鳴らすだけでも可)しようとしたり、歌おうとしたりすると頭の中に響く音楽は聞こえなくなります。
<何をすればいいの?>
・アクシデントにめげずロックな衣装で福禄寿猫を探す
・周囲の人に外見を怪しまれないよう路上ライブをする
・楽器を演奏して福禄寿猫をおびき寄せてみようかな?
・勝手に衣装を変えられた怒りを福禄寿猫にぶつけたい!
……など。
オリジナルの歌を歌いたいという方は、歌詞や曲調をアクションに書いてくださると助かります。
このシナリオで福禄寿猫が見つかれば、七福猫コンプリートです。
お社はセカンドマップに情報が掲載される予定です。
様々なファッションに変化した皆様のご参加、お待ちしております。