＜七福猫シリーズ＞福禄寿猫を探せ編｜リアクション

＜七福猫シリーズ＞福禄寿猫を探せ編

●熱い歌声で誘い出してみる

　登山道付近では龍目豪とヘッドバンキングが止まらない野菜原ユウは、何度も転倒しながらも探索中。
「近づくと転ぶ回数が増えたりとかするのか？」
「そうなんだったら、福禄寿猫とやらが見つかるんじゃねーの？」
　尻餅をつきながらそう言うユウの言葉を聞き、ねこったーに何か情報があるかもしれないと豪は情報収集を。
　すると、耳福池で路上ライブをしているロック少女がいるといったツイートを発見。
「福禄寿猫、耳福池にいるらしいぞ。そこに行くぞ……っ、って、うぉ！」
　豪がさっそくそこに移動という途端、おもいっきり転倒。ユウもつられて転倒。
「尻だけじゃなくて、頭もいてー！　まだロックがガンガンするぜー！」
　ユウはドラムスティックを地面に叩きつけて八つ当たり。その途端、ロックが聞こえなくなった。
　どうなってんだ？　と不思議だったが、厄介な音が聞こえなくなったとユウは一安心。というが、転倒はまだ続く。

　山に長くいたなら成長した木や蔓等に引っかかっている可能性もある。
　そう思った夏夜は草の中、木の根元等を注意深く捜索を。小さい石像であれば、それらにいるかもしれないだろう。
「そういえば、夏朝がメモを……」
　恵御納夏朝が歌詞をメモしていたことを思い出した夏夜は、ポケットにしまってあるメモを取り出す。
　見た途端、歌詞の内容に頭を抱えた。
「こ、これを歌えと……？　福禄寿猫を探すためだ……歌うしかない！」
　意を決し、深呼吸してからメモに記された歌詞を歌い出す。

　夏夜は周囲に聞こえるよう、できるだけ大きい声で歌い始めた。

　※＜＞は読み仮名、『』は合いの手
　♪突如響いたロックの響き……
　♪福をもたらすロックな獣＜ケモノ＞、つまり猫＜ねこ＞！
　♪福・ロック・獣＜じゅう＞・ねこ！『にゃんにゃん！』
　♪福・ロック・獣・ねこ！『にゃんにゃん！』
　♪福・ロック・獣・ねこ！『にゃんにゃん！』
　♪福・ロック・獣・ねこ！『にゃんにゃん！』
　♪これだけハジけりゃ出てきて猫さん！
　♪撫でてもふって、めでたい！『にゃぁーん！』

　歌い終わった時、近くでガサ……という音が。
　音がしたほうを見ると、そこには頭が少し長く、亀に乗った猫の石像が。
　手のひらサイズと小さめ、木の枝や葉がついている、薄汚れているが探し求めていた福禄寿猫だとわかった。

　――シェケナベイベー！　良い歌ですな。

　発見したと同時にノリが軽い老人の声が聞こえた。

「君……福禄寿猫……だよね……？」

　――いかにも。私が福禄寿猫であります。気軽に『福ロック』と呼んでも良いですぞ。
　
　福だけに、とカラカラ笑う福禄寿猫。

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