【球技大会】クラス対抗、冬の陣！｜リアクション

【球技大会】クラス対抗、冬の陣！

◆本番前のエネルギーチャージ

　体育館での練習は激しさを増している。そんな中、一年二組のグループが一段と高くボールを上げた。楡宮遠海はサーブを決めて着地する。遠海はクラスメイトとハイタッチをして、最後の練習試合に挑んだ。

「ふー、疲れた」

　それも終わった後、シャワーを浴びながら彼女は呟く。水が彼女の華奢な体を滴り落ちた。汗を流した彼女は着替えて帰る――だけではない。慣れた道を歩く最中、ぐぅうと音が鳴る。無論彼女の腹の音だ。

「……むちゃくちゃお腹が空いて仕方がない」

　……と、ふとした折に視線を向けた先には、寝子野屋の看板が見えた。外にはなんと、『ジャンボ牛丼の大食いチャレンジ』のポスターが！！　しかもよく読むと『５人前分の巨大牛丼を３０分以内に見事完食することができれば、お代はタダ』と書いてある。

「これは行くしかない！！」

　遠海は即座に店に入り、カウンターに座る。

「らっしゃっせー」
「ジャンボ牛丼の大食いチャレンジ！」
「かしこまりゃーしたー少々お待ちくだしゃーせー」

　雑な接客の店員に戦意を告げ、彼女は腹をドキドキ、否グゥグゥさせながらそれを待つ。やはりジャンボ牛丼なだけあって、他の客より待つ。とにかく待つ。

「空腹は最高のスパイスね……」
「お待たせいたしました―」

　しばらくして彼女の前に規格外の大きさの丼が現れた。周りの客が目を丸くする中、彼女だけは冷静だ。店員がニヤニヤしながらタイマーを三十分にセットする。提示された食券には眩暈がする額が書かれている。箸を手に取る遠海。いざ勝負の時。ピッという音が開始を告げる。

「いただきます！」

　律義に手を合わせ、彼女はジャンボ牛丼を食べ始めた。

「……ヤバくないあの子」
「どこに入ってるのアレ……」

　どこからか客の声がする。驚くべき速さで丼の中身が無くなっていく。それでいながら詰め込んでいるような様子ではない。遠海は汚く食い散らかすようなこともなく、心底美味しそうに綺麗に食べている。

「これで明日の球技大会は優勝よね！」

　それから二十五分後。彼女は箸を置くと力強い声でこう言い放った。店員は観念してタイマーを止め、居合わせた客はざわざわと囁き合っている。眩い遠海の笑顔の前に空になった丼が鎮座していた。
　そんな彼女は翌日、相手チームの胸を見て嫉妬にかられ、憤怒に燃えながらプレイすることになるのだが――それはまた別のお話。

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