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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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＜零神探訪・後日談＞紅き街にて
●紅燈火街、再見
帰る時間が近づいていた。
名残惜しいが、永遠にこの街に居続けることはできない。寝子島が待っている。
「おっと、お土産も忘れずに、だね！」
最後の時間を大通りでの買い物に当てたのは、Leidenschaftの仲間たち。
武道は、小さな赤い灯籠や工芸茶を。
梢は本場の烏龍茶の茶葉をお土産に。
「……如月くん？」
ふと振り返ると、庚は店の外で壁に凭れ、空を見ていた。
梢もつられて見上げる。
レッドランタンタウン。この街ならではの赤と青の空がある。
庚は瞼を閉じ、心境の変化をかみしめる。
――あの異変を経て、今こうして自分が立っている現実が様々な歴史や伝承、文化から成り立っている事を自覚した。落神伝説、零神伝説、絶神……まさか神話の世界に片足を突っ込む事になるとは思っていなかったが……体験した以上、それは確かに存在した。もしかしたら日本、いや、世界中の伝承は『伝承』と名を変えた事実なのかもしれない。
”それを解き明かすのも悪くない”
「……いいな、それ」
自らの心に浮かんだ思いに、自らの口から発せられた言葉が応える。
そのためにはどうしたらいいだろう。
腕っぷしだけではどうにもならない、学術的な視点が要る。
そのためには――
”大学へ進学する事が必要だ”
心が答えを出していく。
そう決めることは、かちりとパズルの嵌るように自然なことだった。
気負いもなにもなく、ただそうなるという感覚があった。
いつか思い返す日が来るだろう。
『俺はあの日、明確な進路を見出した』と――。
お土産をしこたま買いこんだ武道が、相棒を黙って見守る梢の隣に立った。
「ん、どーした？」
「如月くんが考え込んでます。娼妓のことでも考えてるんでしょーか？」
「それはどーだろ？」
「まあ、お手伝いできなさそーですし個人のことですので、できる女は口を挟まないでおきますね」
「……ホンット、庚くんと梢ちゃんってナイスパートナーだね☆」
梢は武道の言葉を聞かなかったふりをした。
「あー、どっかに中国茶カフェ的なのないですかね。そろそろ休みたいでーす。もしくは、蝶になるので背中にとまらせてくださーい！」
庚の背中へ頭突きで突撃する。
思索から戻った庚は梢の突撃を華麗に躱す。武道は笑いながら感慨深く肩を竦めた。
◇ ◇ ◇
梨香への土産にと、中国のビックリ人間や変なもの紹介した本や提灯などを買いあさってご満悦な円は、帰り際にもう一度ユチェンのもとを訪れた。
「この町ボクもブログで紹介とかしてもいい？」
「ぶろ、ぐ？」
「インターネットで世界中に情報発信するツールだよ。ボク日本語で書くから日本人向けになっちゃうけど、日本語通じる観光地って人気だろうしさ、面白い情報になると思ってねぇー」
「うん、そういうことなら是非」
「うちの国の話で言うと。観光地っていうと、街の統一感が重要なんだよね。温泉街とか、街のカラー統一してなんぼな処あってね。そういうとこも意識するといいと思う。日本の観光地の情報とかも流すからさ、連絡先交換しよ？」
ユチェンと連絡先を交換し合った円は、最後にユチェンの肩を叩いて励ました。
「まぁメイユちゃんと一緒に働いて現実に一緒に立ち向かえば目が有るんじゃない？」
「ありがとう。オレ、頑張るよ」
凛々しく両手を合わせ、皆へ見送りの礼をするユチェンの傍らには、メイユがいる。
きっと彼らはこの街で強く生きていくことだろう。
◇ ◇ ◇
風が吹く。
真っ赤な中華提灯が海の中でクラゲの群れの踊るが如く、一様に揺れる。
夏夜は振り返って街を見る。
そして祈る。
――この街で巡り合った人々の未来に、数多の幸あれ。と。
＜了＞
帰る時間が近づいていた。
名残惜しいが、永遠にこの街に居続けることはできない。寝子島が待っている。
「おっと、お土産も忘れずに、だね！」
最後の時間を大通りでの買い物に当てたのは、Leidenschaftの仲間たち。
武道は、小さな赤い灯籠や工芸茶を。
梢は本場の烏龍茶の茶葉をお土産に。
「……如月くん？」
ふと振り返ると、庚は店の外で壁に凭れ、空を見ていた。
梢もつられて見上げる。
レッドランタンタウン。この街ならではの赤と青の空がある。
庚は瞼を閉じ、心境の変化をかみしめる。
――あの異変を経て、今こうして自分が立っている現実が様々な歴史や伝承、文化から成り立っている事を自覚した。落神伝説、零神伝説、絶神……まさか神話の世界に片足を突っ込む事になるとは思っていなかったが……体験した以上、それは確かに存在した。もしかしたら日本、いや、世界中の伝承は『伝承』と名を変えた事実なのかもしれない。
”それを解き明かすのも悪くない”
「……いいな、それ」
自らの心に浮かんだ思いに、自らの口から発せられた言葉が応える。
そのためにはどうしたらいいだろう。
腕っぷしだけではどうにもならない、学術的な視点が要る。
そのためには――
”大学へ進学する事が必要だ”
心が答えを出していく。
そう決めることは、かちりとパズルの嵌るように自然なことだった。
気負いもなにもなく、ただそうなるという感覚があった。
いつか思い返す日が来るだろう。
『俺はあの日、明確な進路を見出した』と――。
お土産をしこたま買いこんだ武道が、相棒を黙って見守る梢の隣に立った。
「ん、どーした？」
「如月くんが考え込んでます。娼妓のことでも考えてるんでしょーか？」
「それはどーだろ？」
「まあ、お手伝いできなさそーですし個人のことですので、できる女は口を挟まないでおきますね」
「……ホンット、庚くんと梢ちゃんってナイスパートナーだね☆」
梢は武道の言葉を聞かなかったふりをした。
「あー、どっかに中国茶カフェ的なのないですかね。そろそろ休みたいでーす。もしくは、蝶になるので背中にとまらせてくださーい！」
庚の背中へ頭突きで突撃する。
思索から戻った庚は梢の突撃を華麗に躱す。武道は笑いながら感慨深く肩を竦めた。
梨香への土産にと、中国のビックリ人間や変なもの紹介した本や提灯などを買いあさってご満悦な円は、帰り際にもう一度ユチェンのもとを訪れた。
「この町ボクもブログで紹介とかしてもいい？」
「ぶろ、ぐ？」
「インターネットで世界中に情報発信するツールだよ。ボク日本語で書くから日本人向けになっちゃうけど、日本語通じる観光地って人気だろうしさ、面白い情報になると思ってねぇー」
「うん、そういうことなら是非」
「うちの国の話で言うと。観光地っていうと、街の統一感が重要なんだよね。温泉街とか、街のカラー統一してなんぼな処あってね。そういうとこも意識するといいと思う。日本の観光地の情報とかも流すからさ、連絡先交換しよ？」
ユチェンと連絡先を交換し合った円は、最後にユチェンの肩を叩いて励ました。
「まぁメイユちゃんと一緒に働いて現実に一緒に立ち向かえば目が有るんじゃない？」
「ありがとう。オレ、頑張るよ」
凛々しく両手を合わせ、皆へ見送りの礼をするユチェンの傍らには、メイユがいる。
きっと彼らはこの街で強く生きていくことだろう。
風が吹く。
真っ赤な中華提灯が海の中でクラゲの群れの踊るが如く、一様に揺れる。
夏夜は振り返って街を見る。
そして祈る。
――この街で巡り合った人々の未来に、数多の幸あれ。と。
あとがき
担当マスター：
笈地 行
ファンレターはマスターページから！
ご参加ありがとうございます。
＜零神探訪＞シリーズの後日談ということでご参加ありがとうございました！
このガイドを出すころ、
新型コロナウィルスが中国で猛威を奮っているニュースを連日報道してまして
マスターコメントに「このシナリオに参加してもコロナウィルスには感染しません」って
入れるか入れないか迷ったこともよい思い出です。
まだ世の中は落ち着いていませんが、良い方向に向かうことを祈っています。
約２年前ですね～等コメントもありがとうございました！
自分でも時の流れの速さにびっくりしました。
作中の時間は数カ月ですが、ユチェン君は背が伸びました。
あと日本語が流暢になった気がします。
素敵なユチェンのイラストを描いてくださり、
イメージを膨らませてくださったイラストレーター炎様に改めまして感謝します！
紅火楼のその後も、みなさんのアクションのお陰で思いがけない方向に。
紅燈火街はますます栄えてゆくことでしょう。
それでは長きにわたってご参加いただきありがとうございました！
いっしょに旅ができたことに心より感謝を。
＜零神探訪＞シリーズの後日談ということでご参加ありがとうございました！
このガイドを出すころ、
新型コロナウィルスが中国で猛威を奮っているニュースを連日報道してまして
マスターコメントに「このシナリオに参加してもコロナウィルスには感染しません」って
入れるか入れないか迷ったこともよい思い出です。
まだ世の中は落ち着いていませんが、良い方向に向かうことを祈っています。
約２年前ですね～等コメントもありがとうございました！
自分でも時の流れの速さにびっくりしました。
作中の時間は数カ月ですが、ユチェン君は背が伸びました。
あと日本語が流暢になった気がします。
素敵なユチェンのイラストを描いてくださり、
イメージを膨らませてくださったイラストレーター炎様に改めまして感謝します！
紅火楼のその後も、みなさんのアクションのお陰で思いがけない方向に。
紅燈火街はますます栄えてゆくことでしょう。
それでは長きにわたってご参加いただきありがとうございました！
いっしょに旅ができたことに心より感謝を。
シナリオ
シナリオデータ
- 担当ゲームマスター
- 前回シナリオ
- シナリオタイプ（らっポ）
-
- シルバーシナリオ（150）
- グループ参加
-
- 3人まで
- シナリオジャンル
-
- 冒険
- ＮＰＣ交流
- 定員
-
- 20人
- 参加キャラクター数
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2020年02月18日
- 参加申し込みの期限
-
- 2020年02月25日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2020年02月25日 11時00分
