欲望の果てに望むものは｜リアクション

欲望の果てに望むものは

【ルーク・ポーラスター】

　金の髪を無造作に結い上げ、傷だらけの体でのんびりお湯を堪能しているほしびとがいる。
　ルーク･ポーラスター。三度の飯より冒険が好きで、どんな危険地帯へも旅する彼が今、寝子島の温泉でほおっと安堵の息をついている。

　露天風呂の片隅で、バスタオルをしっかり巻いて湯煙の中をきょろきょろしているほしびとがいた。アリス・ミーティアだ。
（絶神を探しに来たんだけど……）
　そこでアリスはルークを発見した。
「あ、ルーク！」
　ルークはぼーっとお湯に浸かっている。アリスは豊満な胸が出ないように気を付けながら、彼のすぐ横でお風呂に入る事にした。

「ルーク、久しぶり」
「……お、アリスじゃん」
　ルークはちらりとアリスに視線を向けたが、またほ～っと息を吐きながら正面を向いた。
「温泉っていいよな～。のんびりできてさ」
（あのルークが『のんびりがいい』？！）
　アリスは耳を疑った。これは怪しい。もしかして絶神がルークに化けてる？
　アリスは用心深く風呂桶を自分の近くに引き寄せた。ここにはいつも身につけている銃とミラに貰った天界の鏡が入っている。何かあればすぐ対処するつもりだ。でも。
「……ルーク！　しっかりしてよ！　冒険心は何処へ行っちゃったのよ！」
　アリスは思い切り呆けているルークに抱きついた。強いくせに、女の子に対しては照れ屋な所があるルーク。いつものルークなら何かしらの反応があるはずだ。
「へ？　冒険？　ていうか柔らかい物が何か当たる……」
　ルークはとろんとしながらもゆっくりアリスを見る。その瞳に徐々に焦点が戻っていき……ルークが思い切り叫んだ。
「アリス！　は、裸じゃねーかっ？！？」
「へ？」
　アリスはルークから腕を離し、自分の姿を確認する。それは生まれたままの姿で。
　……後ろにぷかぷかとタオルが浮かんでいた。
「な、な、な、何か着ろーーーっ！」
「だって水着はサイズがなかったし……」
　旅館貸し出しの水着ではどれも胸がきつすぎたのだ。思い切り背を向けてるルークの後ろでアリスはタオルを体に巻き直すと、そっとルークの耳元に囁いた。
「ルークのえっち」
「！　……な！」
　真っ赤な顔で振り返るルーク。そんな彼にペロリと舌を出しながらも、アリスは思っていた。
（これなら……本物かな？）