携帯戦記カプセルギア　第五話「対決！シルエット・オブ・ギア」｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　第五話「対決！シルエット・オブ・ギア」

【俺達にしかできないこと】

　源次くんは、カラミティダイバーをローラーダッシュで高速移動させながら、チャンスが来るのを待っていました。
　一方、クミさんは、ガラクタくんを使って果敢に戦い続けていました。
　しかし、ダメージを受けていなくてもボロボロに見えるガラクタくんは、すでに長期戦で満身創痍。
　それを見て、二体のシルエットはここぞとばかりにガラクタくんに狙いを集中させてきました。
「あーっ！　このままじゃガラクタくんがやられちゃう――！」
　クミさんが叫びます。
　しかし、シルエットは容赦なくガラクタくんに襲い掛かります。
　と、そのときでした。
「なーんちゃって♪」
　にひ、とクミさんが口元に笑みを浮かべた瞬間、彼女の指先がスマホをひらり。
　すると、ふらりと地面に倒れ込むようにガラクタくんがシルエットの「高周波振動式無銘刀」を回避。
　よろけて偶然避けられたようにも見えるその動きは、じつは全て計算ずくのものでした。
　次の瞬間、ガラクタくんの背後からブースターで大ジャンプしたカラミティダイバーが地面に向けてアンカーを発射！
　刹那、アンカーによる牽引力とブースターによる加速の併せ技でカラミティダイバーがシルエットのガラクタくんに突撃します。

「ダイバー、パイルバンカーだ！」

「108式複合小銃」に隠された切り札は見事にシルエットのガラクタくんに直撃！
　バンカーに装甲を撃ち貫かれたシルエットは一気にHPを半分近く減らします。

「今だよ！　ガラクタくん！」

　そこに体勢を立て直したガラクタくんが「高周波振動式無銘刀」の高速居合切りで一閃。
　超高速で振動する刀が閃いた瞬間、ガラクタくんのシルエットは完全に行動を停止させていました。
「君は、せっかく性能が良くなってるからニセモノとかじゃなくて、新しい戦法とかでカスタマイズした方がいいよ！」
　倒したシルエットにいたわり言葉をかけつつ、クミさんは視線をもう一体のシルエットに移します。
　その視線の先にはローラーダッシュしながら「108式複合小銃」を撃ちまくるシルエットのカラミティダイバー。
　本物以上の高機動を見せるシルエットを倒すためには――。
「ゲンジ、さっき言った『アレ』やろう！」
「わかった。ダイバー、ガラクタくんをぶん投げろ」
　次の瞬間、源次くんのカラミティダイバーがクミさんのガラクタくんをシルエット目掛けて思いきりぶん投げました。
　そんな思いもよらない挙動を目の前にして、シルエットはフリーズしたように攻撃を中止。
　と、そこで、投げられたガラクタくんは空中でくるりと身を翻して綺麗に着地。
「やっちゃえ、ガラクタくん！」
　そのまま急接近して、シルエットを斬りつけます。
　しかし、やや踏み込みが足りず、致命傷には届きません。
「よし、逃げるよ、ガラクタくん！」
　と、そこですたこらさっさとガラクタくんは後退。
　慌ててシルエットはガラクタくんを追撃しようとしますが――。
「悪いけど、そうはさせないよ」
　そのときにはすでに左肘のターミナスダガーを構えた源次くんのカラミティダイバーがシルエットの懐に飛び込んでいました。
　刹那、大型ダガーはシルエットのダイバーのボディーパーツを貫通。
　今度こそシルエットのダイバーを行動不能に追いやることに成功したのです。
「確かにダイバーは俺が一生懸命考えて組んだ最高のギアだと思う。……でも、だからこそダイバーの性能を引き出すのは俺じゃないとできないよ」
　そう呟いた源次くんの言葉には、一緒に戦い抜いてきた相棒に対する強い信頼が感じられました。
「やったね、ゲンジ！」
「うん。でも、まだ終わりじゃないよ。ほかの皆を助けないと」
「そうだね！　あともう少し！　行こう、ゲンジ、ガラクタくん！」
　そうして、クミさんと源次くんもまた、いまだ戦いを続ける仲間達のもとに走り始めました。