携帯戦記カプセルギア　第五話「対決！シルエット・オブ・ギア」｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　第五話「対決！シルエット・オブ・ギア」

【反撃の時】

　風の原公園のあちこちで突然に開始された自分自身の影との戦いはいよいよ佳境に突入しようとしていました。
　風太くんは、姫さんのアドバイスを素直に実践することで、これまでとは見違える動きでシルエットと善戦を繰り広げていました。
　ですが、
「ぴぎゃー！　もうヒットポイントがほとんどないよー！？」
　最初に大きくヒットポイントを奪われたこともあり、ついにわんこくん1号のヒットポイントが残りあとわずかになってしまいました。
（……良く戦いましたが、あの影の動きをトレースするにはもう少し時間が必要なようですね）
　そろそろ限界と判断し、姫さんはこっそりとシルエットの背後に忍ばせていたナデシコに命じます。

「ナデシコ、後ろからザックリいくです」

　次の瞬間、シルエットの背後に潜んでいたナデシコがシルエットの胴にカタナをグサリ。
　さらにすぐさまバックステップしてからのユミ連射で追撃し、シルエットのHPを大きく減らします。
「風太くん、今がチャンスなのです」
「……！　よ、よーし、いけ、わんこくん1号！」
　風太くんの指示で、わんこくんは突撃！
　今度こそ剣がシルエットにヒットし、わずかに残されていたHPをゼロにすることに成功しました。
　そう。風太くんは見事（？）シルエットの撃破に成功したのです。
「わーい！　やったー！　おねえちゃんのおかげで勝てたよ――って、あれ？」
　大喜びをする風太くんをよそに、すでに姫さんとナデシコは次の標的に向かって、ニンジャのように駆け出していたのでした。

　その頃、瑠樹くんは、黒いラズちゃんの突破口をついに発見していました。
（黒いラズちゃんの方がジャンプ力が高くて届かないけど、下から攻撃することはできるんじゃないかねぇ？）
　そこで、相手を挑発するように、左手でシールドを張りながらぴょんぴょんと黒いラズちゃんを誘います。
　黒いラズちゃんは両腕からガンガン攻撃してきますが、瑠樹くんは左手は防御に徹し、右手による反撃も最小限にとどめました。
（右手側にはシールド出しにくくて、左手側にはビームしにくいんだよぉ！）
　それはラズちゃんと一緒に戦い抜くなかで気がついたラズちゃんのクセのようなものでした。
（……あれ、これってもしかして弱点ってヤツかねぇ？）
　そのとき勝機が見えました。
　痺れを切らして大ジャンプをしたシルエットの真下にラズちゃんを滑り込ませ、ここぞとばかりに温存した右手のわっかビームを連射！
　高く飛び過ぎて空中で思ったように動きがとれず、さりとて構造的に反撃できない真下からの攻めにシルエットは成す術もなくHPをゼロにされてしまいました。
「ラズちゃん、やったよぉ！」
　快哉を叫ぶ瑠樹くん。
　ですが、まだ周囲にはバトルを続けている子供達がいます。
「ラズちゃん、オレたちもあと少しだけ頑張るよぉ！」
　かくして瑠樹くんも他の子供達の支援に向かうのでした。