お疲れ、中間試験！　打ち上げの流しそうめんパーティー！｜リアクション

お疲れ、中間試験！　打ち上げの流しそうめんパーティー！

「ワシはそうめんを食べに来たのじゃが……そうめんはそうめんでもそうめんかぼちゃじゃったわい」
「真央ちゃん、初めて食べたのだ。ちょっと美味しいのだ」
「ヘルシーでしょ？　案外いけるのよ」
　あずさ理事長はふふ、といつもどおり艶めいた笑顔で答えてはそうめんをちゅるり。ごくふつうのそうめんにありつけない竜馬はぐっ、と拳に力を入れた（と同時に折れる割り箸）。
「流しそうめん？！　食べずにはいられないっ！」
　と意気込んでやって来たハイテンションガール、島野夏帆がその光景を目にして思った事は「予想以上のカオスが待っているかも？」という事だった。彼女もまた早速そうめんを食べようと構えるのだが……キャッチしたのは何故か白魚である。しかも生きている。
「えっ？　踊り食いすればいいの？」
「そんなのも流れてるんだねぇ。あ、取れたぁ～」
　きょとん、としている夏帆を見ていた伸幸もまた、白魚をキャッチ。小さいながらぴちぴちしたそれを食べる２人だったが、くすぐったくてしょうがなかった。その様子を見ていた竜馬は上流をみやる。
「一体何故にこのコースは普通のそうめんが少ないんじゃぁああああっ！？」
　その雄叫びを聞きながら、別のコースの方がまともなものにありつけるかなぁ、と考えてしまう正也だった。そして、夏帆は、
「だってどきどきコースだし？」
　と明るい笑顔で流れてきた鰌（甘露煮）をキャッチして食べていた。

　――果たして、竜馬は『ふつう』のそうめんを食べる事ができるのか？！

　そして、わくわくコースとどきどきコースの中間地点。様子を伺っていた海原茂の元に青龍寺琴理が現れた。
「あら、こんにちは。茂くんも羽を伸ばしに来たの？」
「そんな所だ。今回の試験はそんなに難しくはなかったが」
　茂は普段通りのクールな表情で琴理に言う。が、そそくさと懐に何かをしまっているのを琴理は見逃さなかった。取り敢えずその事は頭の隅に追いやり、一緒に行こうと誘えば茂もまた静かに頷く。
「どっちの方へ行こうか？」
「わくわくコースもどきどきコースも面白そうで、少し迷ってて」
　琴理が少し困ったように笑えば、茂はあっちへ行こう、とどきどきコースを選択する。意外だなと思う琴理であったが、茂としてはただ人が少ないからそうめんが食べやすいだろう、と踏んでの事だった。
　二人肩を並べてそうめんを……と思うが、琴理が最初にとったのはきしめんだった。茂が取ったのは何故かナスの天ぷらだったりする。それに苦笑しながらも琴理はふと、テストの話題をふる。
「そういえば、テストはどうだったのかしら？　私は、悪くは無いと思っているけど」
「俺も、良い方だと思っている。成績としても高位をキープしているんじゃないかな」
　茂の言葉に、琴理は小さく笑い、確かに苦手な教科はあれど次にしっかり理解して同じミスはしないように気をつけるつもりだ、と答えれば茂も「そうだな……」と、真面目に答え、間違った部分の復習をするか、と一人呟くのだった。

　ちなみに、茂が懐にしまった本は『おちこぼれ姫のわっせアブナイ小旅行（宮崎・鹿児島編）』であった事を付け加えておく。

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