【お三夜】猫と鼠と人と悪魔、四つの世界が交わる夜｜リアクション

【お三夜】猫と鼠と人と悪魔、四つの世界が交わる夜

　鼠達は機敏に動き回る。
「急ぐでチュー」
「わかってるでチュー」
　緊迫感に掛ける遣り取りで露店を組み上げていく。
「私も頑張らないとね」
　岡野丸美は完成した露店の前でギュッと拳を握る。鼠の仮装らしく、おかっぱ頭には丸い耳が付いていた。左右の頬には髭を書き、ジーンズの後ろに長い尻尾を取り付けた。
　早速、露店の裏手に回って椅子に座る。台の上に束ねていた葉っぱを一枚、頭の上に載せた。三回、柏手を打つように鳴らす。『葉っぱ紙』のろっこんが発動して葉っぱは赤色の折り紙に変わった。
「どんどん作るよ～」
　次々に葉っぱを折り紙に変えていく。緑や黄色、紫と多くの色を用意した。
「ここから本番だね」
　笑みを浮かべて作業に入る。黒い折り紙は黒猫となった。灰色は小さな鼠をかたどる。
「緑はカエルさんで、茶色はわんこちゃん～♪」
　リズムに乗るように折り紙を折っていく。完成した順に台へと並べた。食み出たカバやキリンは全体の隙間を詰めて何とか収めた。
「これくらいでいいよね」
　予備の折り紙は椅子の横の花台に置いた。
「お客さん、来るかな～」
　丸美は目尻を下げて群青色に染まる空を見上げた。

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