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らっかみ!新春☆初夢宝船フェア2020! ~紅編~
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【紫陽花慕情】
呉服問屋の若旦那、
鴻上 彰尋
さまは今日も商いの終わりに、お屋敷の立派なお庭へと足を向けました。
鴻上さまと言えば、町衆やその娘御らにも評判の好青年でございます。そんなお方がはて、なぜ嫁取りなさらぬばかりか商家の娘と浮いた話ひとつも流れぬのか? 吉原に懇意の芸妓でもあるのだろうか、あるいは下女に懸想し道ならぬ恋に焦がれていたり……などと口さがない噂も聞こえたものでございます。
当の鴻上さまはこれが落ち着いたもので、何と問われても、
「いやいや。私にはまだ早いよ」
などと申され煙に巻くのでございました。
さて、そんな鴻上さまの目下の楽しみは、お庭に咲く紫陽花を愛でること。
「やあ。今年も見事に咲いたね」
しとしとと霧雨の降る中、鴻上さまは美しく藤色に咲いた紫陽花を端から端まで、飽きずにとっくりと眺めてゆくのです。時には通りがかる奉公人をつかまえ、
「ほら、見てごらんよ。見事だろう?」
ことに年端も行かぬ下女などが無垢な顔でこくこくと首肯すると、鴻上さまは何とも嬉しそうに微笑むのでした。
そんな水無月の、とある日のことでございます。
「……おや?」
いつものように紫陽花を眺めようとお庭へ出た鴻上さまは、そこにひとりの童が佇んでいることに気づきました。
「こんにちは。どこから来たんだい? ここは我が家の庭なのだけど」
「え? おまえ、あーちゃんがみえるの?」
年の頃は七つほどでしょうか。童は愛らしい女子で、なんとなにも身に着けておりませんでした。
それでも元気に明るい顔を浮かべた童へ、鴻上さまは首を傾げつつ、
「これはいけない。そんな格好じゃあ風邪を引いてしまうよ。ねえ、誰か、この子に着物を見繕ってあげてくれないかな?」
と奉公人へ呼びかけました。
けれどこれが不思議なことに、やってきた奉公人たちのいずれも、童など庭のどこにも見えぬと言うのです。
「あーちゃんがみえるなんて、かわってるね!」
「……君は、誰?」
「あーちゃんは、あーちゃんだよ! おまえはなんていうの?」
「俺は、彰尋だよ」
「あきひろ! あーちゃんおぼえた!」
にか。笑った口は歯抜けで、なんとも愛嬌がありました。
不思議な童は少なくとも心は童のようですけれど、鴻上さまは腕組み、ますます首を傾けます。
「あきひろはいつも、あーちゃんをみてくれてるね! みごとだー、みごとだーっていってくれるね! だからあーちゃん、いっしょうけんめいさいたんだよ!」
「うん? 咲いた……?」
童は目の前の紫陽花を指差し、得意げに胸を張ります。
さても奇妙な童でありました。
「紫陽花の精……? だろうか。ともかく、着物を持って来よう。すっぽんぽんで庭にいられるのは、困ってしまうよ。傘も貸してあげようか」
その日から、鴻上さまの楽しみがひとつ増えました。
「あーちゃん、いるかい? お団子を持ってきたから、お食べよ」
「わあい! あきひろー!」
一日の商いを終えると、鴻上さまはお茶と菓子を持って縁側へ出向き、童と語らうのでございます。
相も変わらず童の姿は鴻上さま以外には見てとれず、家族や奉公人は鴻上さまの気狂いを心配しましたけれど、商いには変わらずの辣腕を発揮しひとつの間違いすらありません。それに鴻上さまがなんとも楽しそうに見えない童と語らっている様を見るにつけ、いつしか微笑ましく見守るようになりました。
童は鴻上さまが与える菓子を頬張るたび、童の知らぬ商いや街の話を聞くたび、ぴっかりぴかぴかと輝くような笑みを浮かべて聞き入ります。
鴻上さまもいつしかすっかりと童へ心を許し、時にはうっかり心配事を漏らしてしまうこともございました。
「まったく、母上ときたら。今日もお見合いをいくつも持ち込んできてね」
「おみあい?」
「いい年をして独り身の息子に嫁をとね、張り切っているんだよ。ありがたいけれど……」
「あきひろ、けっこんするの? めでたいー!」
「いや……」
ふと鴻上さまは、青く澄んだ空を見上げます。遠く流れる白雲を見つめ、誰とはなしにつぶやきます。
「彼女には、もう会えないのだろうか……」
「かのじょ?」
鴻上さまの脳裏には、ひとりの女子の飾らぬ笑みが浮かんでおりました。
「彼女はとある名家に身を寄せる奉公人でね。一度だけお武家さまの共で商談に訪れたことがあったよ。可憐なひとだった……だが、きっと、もう二度と出会うことはないだろう」
「そっかー。あきひろは、そのひとがすきなんだなー」
童は独白めいた鴻上さまの言葉に、ぱか、と日だまりの下の花のように笑います。
折しも暦は水無月を通り過ぎ、文月となった頃合いでございました。
「あきひろ! ありがとー!」
「うん?」
「あーちゃん、いっぱいあきひろとおはなししてたのしかった! らいねんのあーちゃんにも、やさしくしてあげてね!」
「どうしたんだいあーちゃん、突然……」
それきり、ぱたり。ふうわりと。
童が鴻上さまの前へ姿を現すことは無くなってしまったのでございます。
それから幾日もせぬうち。
庭の紫陽花は儚くも散り行き、鴻上さまもいくらかふさぎがちとなりましたものの、商いを止めるわけにもまいりません。その日も客を出迎えた鴻上さまでございましたが。
「さて鴻上どの、この娘は我が家の女中でね。慎み深く、実に良く働いてくれるのだ。そこで妻が、たまには女中のおねだりも聞いておやりなさいな、などと言う。そこで望みを訪ねてみれば、こちらの着物が欲しいと言うのだよ。ひとつ、良い品を見繕ってはくださらぬか」
娘はお武家さまの隣へ淑やかに控え、鴻上さまをきらときらめく空色の双眸にて見つめたのでございます。
「
あおい
、と申します」
「あ……はい。あの、いつぞやに、一度お見えに……」
「は、はい。覚えていていただけたのですね! よしなにお願いいたします、彰尋さま。あの……紫陽花柄のお着物を、いただきたいのです。なぜだか突然、頭にひらめいたもので」
鴻上さまのまぶたに浮かんだのは、童のまばゆい笑みだったそうでございます。
「……ええ。きっとお似合いでしょう」
童は、いずこへ消えてしまったのでしょう?
いいえ。きっと束の間、眠っているだけ。あたかも揺籃に揺られるがごとく。
次に紫陽花が咲いたならば、うんともてなしてやらねばね……鴻上さまは静まるお庭を眺め、微笑んだのでした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2020年01月01日
参加申し込みの期限
2020年01月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2020年01月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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