- 0
- 0
- 種族
-
- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
魔界調停室：ＷＩＲＥＤ
【ほほえまデート】
八～九歳ほどだろうか。神魔たる少女はどこか挑発的に、ゼロ・シーアールシーを見下ろした。
「ふふん、可愛らしい子に呼び出されたものね」
「神さまなのですー？ こんにちはなのですー」
脈絡もなく宙へ浮かび、完璧なまでに着こなす黒のゴシックロリータ。ロングスカートたなびかせ、腕組みした少女は神魔『リリー』と名乗った。
「わーい。リリーさん、よろしくなのですー」
「ええよろしくね、ゼロ。それにしてもあなた、可愛いわね」
艶めかしい流し目に舌なめずりはとてもゼロと同じ年頃の少女の表情には見えなかったが、神魔たれば当然、実年齢も外見通りではないのだろう。
とはいえ、無邪気なゼロは少女らしからぬその好色な視線に気づくそぶりもない。
「ゼロはリリーさんとわいやーどしたいので、リリーさんのお願いをかなえるのですー。リリーさんのお願いは、なんなのですー？」
「あら、嬉しいことを言ってくれるのね。ふふ、私のお願いはね……」
すすす、と空中から滑り降りたリリーは、ゼロの耳元へ瑞々しい唇を寄せ、囁いた。
「ゼロ。貴女とデートがしたいわ」
可憐なリリーが街を行けば、ひとえに目立つ。たとえ宙に浮いてはいなくとも、このご時世においてもゴスロリ少女は目を惹くものだ。
加えて今は、隣にゼロがいる。仲睦まじく手など繋いでいればなおさらだ。シーサイドタウンを歩く二人は、遠慮のない衆目を集めていた。
「リリーさんは可愛いので、目立たないゼロも見られているのですー」
「あら、何を言っているの？ あなただって可愛いわよ、私の次くらいにはね」
物珍しげに眺めたゼロと比べ、リリーは慣れたものだ。バシャバシャと写真を撮られるがそしらぬ顔で、時にはポーズさえとって見せた。
「ゼロ！ あれは何？ ずいぶんと人が出入りしているわね」
「映画館なのですー。ちょうど次の映画が始まるところみたいですー。リリーさん、見たいのですー？」
面白そうじゃない、とリリーは悪戯っぽく笑う。
子ども料金を支払い入場し、いい席を確保する。
やがて上映開始した映画は前評判から凄まじい恐怖演出で話題のサイコホラーだったので、年端も行かない子ども二人での鑑賞はなおのこと目を惹いた。
もっともリリーは、眼前に展開するアレやコレやにもたじろぐことなく、けろりとしていたが。神魔たるもの、見慣れていたりするのかもしれない。
「なるほど、二人でエーガを見るのが今の若者のデートなのね」
などと得心顔のリリーは、隣に据わるゼロの腕に腕を絡め、むぎゅっと肩を寄せる。
怪訝そうに見返すゼロに、リリーは、デートだからね。と微笑んだ。上映中の暗がりに浮かぶその顔は、どこか年相応の少女めいていたいけに見えた。
水族館でも、リリーのはしゃぐ顔が見られた。色とりどりの鮮やかな魚たちを見上げ、彼女は昂揚を隠さなかった。
休憩に立ち寄ったカフェでは、リリーにせがまれポッキーゲームに挑んだ。うっかり唇同士が触れ合い、彼女ははにかんだ。
そうして夕焼け空の下、公園のベンチに腰かけ身を寄せて、神魔の少女は満足げにゼロを見つめる。
「素敵なデートだったわ。何だか名残惜しいわね……」
「それなら、ゼロにお任せなのですー」
おもむろにゼロは、リリーの華奢な身体を抱きしめる。
「少し待ってほしいのですー……」
そのまましばしの後。うつらうつらと、ゼロに眠気が襲ってきた頃。
二人の姿が、現実からふと消え失せた。
「……！ ゼロ、貴女、面白い力を持ってるのね」
「ゼロの夢の中へ、ようこそーなのですー」
二人はライトブルーとダークブルーの境目を飛んでいた。見上げればきらめく星空が美しく、見下ろせば鮮烈な青と緑のコントラストが目に楽しい。
ゼロのろっこんが、夢の中へとリリーを招き入れた。
二人は指と指を絡め、時には離れて飛び、合流しては身を寄せ合い、大いに飛翔を楽しんだ。
力持つ神魔であればなんでもできてしまうだろうし、こんな光景も目新しくはないかもしれない。それでも、目まぐるしく流れていく地球の威容は思いのほか、リリーを楽しませてくれたようだ。
しばし、世界中を飛び回った後に。
「最高ね、あなたの夢って。そうそう、私との絆を築いたあなたに、お礼をしなくちゃね。何か願い事はない？」
ゼロは首を傾けた。思ってもみなかったのだろう。何しろリリーと同様かあるいはそれ以上に、きっとこの出会いを楽しんでいたから。
故にゼロは、こう答えた。
「ゼロはリリーさんと、またデートしたいのですー」
「ふふん。可愛いことを言うんだから、まったくもう」
そうして手を取り合い、二人は空を駆けてゆく。
どこまでも、どこまでも、気の向くままに。
八～九歳ほどだろうか。神魔たる少女はどこか挑発的に、ゼロ・シーアールシーを見下ろした。
「ふふん、可愛らしい子に呼び出されたものね」
「神さまなのですー？ こんにちはなのですー」
脈絡もなく宙へ浮かび、完璧なまでに着こなす黒のゴシックロリータ。ロングスカートたなびかせ、腕組みした少女は神魔『リリー』と名乗った。
「わーい。リリーさん、よろしくなのですー」
「ええよろしくね、ゼロ。それにしてもあなた、可愛いわね」
艶めかしい流し目に舌なめずりはとてもゼロと同じ年頃の少女の表情には見えなかったが、神魔たれば当然、実年齢も外見通りではないのだろう。
とはいえ、無邪気なゼロは少女らしからぬその好色な視線に気づくそぶりもない。
「ゼロはリリーさんとわいやーどしたいので、リリーさんのお願いをかなえるのですー。リリーさんのお願いは、なんなのですー？」
「あら、嬉しいことを言ってくれるのね。ふふ、私のお願いはね……」
すすす、と空中から滑り降りたリリーは、ゼロの耳元へ瑞々しい唇を寄せ、囁いた。
「ゼロ。貴女とデートがしたいわ」
可憐なリリーが街を行けば、ひとえに目立つ。たとえ宙に浮いてはいなくとも、このご時世においてもゴスロリ少女は目を惹くものだ。
加えて今は、隣にゼロがいる。仲睦まじく手など繋いでいればなおさらだ。シーサイドタウンを歩く二人は、遠慮のない衆目を集めていた。
「リリーさんは可愛いので、目立たないゼロも見られているのですー」
「あら、何を言っているの？ あなただって可愛いわよ、私の次くらいにはね」
物珍しげに眺めたゼロと比べ、リリーは慣れたものだ。バシャバシャと写真を撮られるがそしらぬ顔で、時にはポーズさえとって見せた。
「ゼロ！ あれは何？ ずいぶんと人が出入りしているわね」
「映画館なのですー。ちょうど次の映画が始まるところみたいですー。リリーさん、見たいのですー？」
面白そうじゃない、とリリーは悪戯っぽく笑う。
子ども料金を支払い入場し、いい席を確保する。
やがて上映開始した映画は前評判から凄まじい恐怖演出で話題のサイコホラーだったので、年端も行かない子ども二人での鑑賞はなおのこと目を惹いた。
もっともリリーは、眼前に展開するアレやコレやにもたじろぐことなく、けろりとしていたが。神魔たるもの、見慣れていたりするのかもしれない。
「なるほど、二人でエーガを見るのが今の若者のデートなのね」
などと得心顔のリリーは、隣に据わるゼロの腕に腕を絡め、むぎゅっと肩を寄せる。
怪訝そうに見返すゼロに、リリーは、デートだからね。と微笑んだ。上映中の暗がりに浮かぶその顔は、どこか年相応の少女めいていたいけに見えた。
水族館でも、リリーのはしゃぐ顔が見られた。色とりどりの鮮やかな魚たちを見上げ、彼女は昂揚を隠さなかった。
休憩に立ち寄ったカフェでは、リリーにせがまれポッキーゲームに挑んだ。うっかり唇同士が触れ合い、彼女ははにかんだ。
そうして夕焼け空の下、公園のベンチに腰かけ身を寄せて、神魔の少女は満足げにゼロを見つめる。
「素敵なデートだったわ。何だか名残惜しいわね……」
「それなら、ゼロにお任せなのですー」
おもむろにゼロは、リリーの華奢な身体を抱きしめる。
「少し待ってほしいのですー……」
そのまましばしの後。うつらうつらと、ゼロに眠気が襲ってきた頃。
二人の姿が、現実からふと消え失せた。
「……！ ゼロ、貴女、面白い力を持ってるのね」
「ゼロの夢の中へ、ようこそーなのですー」
二人はライトブルーとダークブルーの境目を飛んでいた。見上げればきらめく星空が美しく、見下ろせば鮮烈な青と緑のコントラストが目に楽しい。
ゼロのろっこんが、夢の中へとリリーを招き入れた。
二人は指と指を絡め、時には離れて飛び、合流しては身を寄せ合い、大いに飛翔を楽しんだ。
力持つ神魔であればなんでもできてしまうだろうし、こんな光景も目新しくはないかもしれない。それでも、目まぐるしく流れていく地球の威容は思いのほか、リリーを楽しませてくれたようだ。
しばし、世界中を飛び回った後に。
「最高ね、あなたの夢って。そうそう、私との絆を築いたあなたに、お礼をしなくちゃね。何か願い事はない？」
ゼロは首を傾けた。思ってもみなかったのだろう。何しろリリーと同様かあるいはそれ以上に、きっとこの出会いを楽しんでいたから。
故にゼロは、こう答えた。
「ふふん。可愛いことを言うんだから、まったくもう」
そうして手を取り合い、二人は空を駆けてゆく。
どこまでも、どこまでも、気の向くままに。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2019年11月27日
- 参加申し込みの期限
-
- 2019年12月04日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2019年12月04日 11時00分
