「あれ? なんですか、これ?」
その日、
神嶋 星志郎はスマートフォンの画面を覗き込み、見覚えのないアイコンに首を傾げた。
自室の窓の外には、静かな夜の闇が寝そべっていた。
「
『魔界調停室:WIRED』……? こんなアプリ、入れたかな?」
暗い沼の底から湧き上がる気泡のように、それは突然星志郎の前へと現れた。
訝しみながらも、星志郎は六芒星の描かれたアイコンをタップする。まるで導かれるように。
「なんのアプリでしょうか。ゲームなのです?」
期待半分、不安半分に起動を見つめていると、オープニングシーンが厳かなBGMと共に流れ出す。
──ようこそ。『魔界調停室:WIRED』へ──
大仰な黒い翼を持つキャラクターが現れて一礼し、星志郎へと慇懃に語りかける。
「悪魔?」
確かにそれは燕尾服を纏い、背に翼をはためかせ、尖った尾を揺らす、悪魔のような姿をしている。
悪魔の語り口に、星志郎は惹き込まれてゆく。
──新米調停者の諸君、よくぞ扉を見い出した。
ご存じか? この世には悪魔や神たる上位存在……いわゆる『神魔』が存在することを。
彼ら異界の住人たちは、かつて諸君ら人間と共存し、たゆまぬ絆を築いていた。
豊作や豊漁をもたらし、災厄を鎮め、戦に顕現し、人を助けた。
人の持つわずかな生命力を対価として得ることで、彼ら自身もまたその存在を確かとしたのだ。
しかし、見よ!
世は今や、ことごとくにワイヤレスとなった。
神魔の存在は忘れられ、絆は分かたれてしまった。
彼らは不確かなままに、諸君らの暮らす人界をさまよっている。
そうして今、退屈を持て余したか、彼らは人界へと再び干渉を始めたのだ。
気ままに人前へ姿を現したり、ちょっとした悪戯をしかけたり。人に害を及ぼす者もある。
これは由々しき事態なのだ。
そこで、調停者のお出ましというわけだ。
さあ、扉を通じ、世界を見よ──
星志郎は再び首を傾ける。
「扉を通じ……? あ、画面を通して、現実世界を見るということなのです?」
アプリ画面の中央にはカメラ機能が立ち上がり、星志郎の部屋を映し出している。
ぐるりとカメラを巡らせてみると、
「あ! 僕の部屋にも、何かいます! これが、えっと……『神魔』?」
「なんだか、楽しそうなのです♪」
カメラを通して見た現実世界に、アプリの投影する映像がオーバーラップする。いわゆる、ARというもののようだ。
──さあ、調停者よ。
神魔と『絆を結ぶ<ワイヤード>』するのだ。
このWIRED神話体系に属する魔なる者、神なる者の全てと人との関係を調停せしめ、
再び人の世に希望をもたらしたまえ──
画面にはこれ見よがしに、『WIRED』のボタンが輝いている。
「こうですか? えいっ」
躊躇いもなくそれをタップする。
「……ええっ!? なんですかこれー!?」
その瞬間。画面を覗くまでもなく、星志郎の部屋に星屑のごとき光が瞬いた。
スマートフォンから放たれた光のラインが真っすぐに伸び、そこに在る何者かと、星志郎は繋がり合う。
「神魔に願う者よ。我が絆を求むるか?」
虚構を飛び出し現実へと出現した悪魔は、星志郎へ深々と頭を垂れた。
そのアプリは、人と異界の者らを繋ぐ。
君のスマートフォンにも、ほら。六芒星のアイコンは現れることだろう。
君は彼らに、どんな絆を望むだろうか?
墨谷幽です、よろしくお願いいたします~。
こちらは、神嶋 星志郎さんの、イラストキャンペーンのプレゼントシナリオとなります。
神嶋さん、リクエストをいただきありがとうございました! とっても光栄です。
なお、ガイド本文では神嶋さんのカプセルギアが神魔の役をしてますが、あくまでイメージです。
ご参加の際は、ガイドのイメージに関わらず、自由にアクションをおかけくださいませ!
このシナリオの概要
あなたのスマートフォンに、突然現れた謎のアプリ。
『魔界調停室:WIRED』(略して『まかちょ』)は、
あなたと超常の存在が絆を結ぶための、お助けアプリです。
このアプリのカメラ機能を通じて現実世界を覗くと、そこには悪魔や神さまといった、
不思議な存在、『神魔』(しんま)がうろめいているのを見ることができます。
このアプリを操る『調停者』であるあなたの役割は、アプリを使って神魔とコンタクトを図り、
絆を結ぶ……『ワイヤードする』ことです。
……というのがどうやら、このアプリの設定であるようです。
神魂の影響なのか、それとも別の何らかの力か分かりませんが、
神魔は確かにあなたの周りに存在しています。
神魔たちは自由気ままにさまよっている者、積極的に人へ干渉しようとする者、
攻撃をしかけてくる者など、さまざまなタイプがいます。
どんな神魔と出会うのかは、自由に決めて構いません。
多種多様な神魔たちと、思い思いに交流してみてください。
※ちなみに、このシナリオに登場する『神』『悪魔』といった存在は、あくまでその一種で、
落神や絶神とは関係ないようです。
アクションでできること
登場させたい『神魔』と付随する情報をアクションにお書きください。
なお、複数の神魔を登場して広く交流することも、一体の神魔と深く交流することも可能です。
複数人の参加者で、GAを組み、一体の神魔といっしょに交流するのもアリ。
◆神魔の名前、外見、性格や特徴など
神さま、悪魔、その他不思議生物など、どんなものでも構いません。
元ネタのあるご指定もOKですが、テキトーにネコジマナイズされます。
見知った誰かに似ている、といった設定も可。(NPCの○○さんとそっくり、とか)
◆神魔と何をするか
アプリを使うと、一時的に神魔と『ワイヤード』され、
神魔が現実世界に実体化し、交流することができるようになります。
神魔の望むことは様々です。
美味しいものが食べたいと思ってたり、強い人間と腕比べをしたいと思ってたり、
人間みたいに着飾ってみたいと思ってたり、素敵な場所でのんびりお昼寝したいと思ってたりします。
神魔の望みをあなたなりの方法で叶えてあげられれば、
代わりにあなたの願い事も叶えてくれるかもしれません。
神魔の望みが満たされないと、絆は断たれ、彼らはどこかへ行ってしまったり、
あなたに天罰を下すかもしれません。
◆神魔への願い事
神魔に願うことをお書きください。特に無くとも構いません。
願いが叶うかどうか、どんな形で叶うのかは、神魔次第。分かりません。
また、あまり大きな願いは叶わないことが多いです。
NPCについて
NPCは、登録済みのキャラクターでしたら、違和感のないシチュエーションに限り、誰でも登場可能です。
墨谷のシナリオに登場したキャラクターや場所については、未登録でも登場可能です。
ただ、場合によっては採用できなかったり、夢や幻のシチュエーションとなることもありますので、
その際はご了承くださいませ。
以上になります。
それでは、ご参加をお待ちしております~!