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霧雨に濡れ
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【明日の晴れ空】
星ヶ丘にも雨は降る。
(ついてませんねぇ)
加瀬 礼二
は心の内にそうこぼした。
放課後に星ヶ丘寮の自室に寄り、シーサイドタウンのマンションへ帰宅しようとした折、無情にも振り出した雨。空模様とて少しは空気を呼んでくれればいいものを。
(ま、気にしませんけどね)
とはいえ、今日という日が礼二にとって何か特別なわけでもなし。曇天に心動かされることもなく、傘を持ってこなかった自分を呪うこともなく、礼二は雨中を悠々と歩く。
(車を呼ぶのも面倒ですし)
降りは弱くはない。雨粒は礼二の頭頂やら肩や胸元やら、全身へ容赦なく打ち付けてくるが、それとて気に留めるそぶりもなかった。
少しばかりは、彼も浮かれていたりするのだろうか。あるいは単なる気まぐれだろうか。
星ヶ丘寮は一つの街並みと表現しても良いほどに、広大かつ整然と佇む。目にまぶしくきらびやかで、どこもかしこも彩り豊かに輝いている。礼二自身もここに暮らしているのだし、ことさらに目新しさもないかと思いきや、雨が演出する星ヶ丘寮の姿には少しばかり、目を奪われた。
「ああ。そうだ」
寮の自室にとんぼがえりも味気ない。礼二はふと思い立ち、星ヶ丘寮の東区画へと足を向けた。
穏やかでありながらいたたまれない、落ち着いていながら不意に走り出したくなるような、そんな日々を過ごしている。
風呂に熱い湯を張りながら、
弥逢 遊琳
はとりとめのない思考を巡らせる。
定めた終わりに向かい日々を何気なく過ごすのは、殊のほか気疲れするらしい。少なくとも、望んだ安寧とはいささか遠い感情が遊琳の内を巡っている。
この先に、何があるのだろう。迷っているのだろうか? いいや、決めたことだ。時が来ればつつがなく。それが自分の望みなのだから。
「…………?」
浮ついたままの心をふと揺らしたのは、呼び鈴の音だった。
来客の予定はない。ちょうどよく溜まった湯を止め、遊琳は玄関へ出た。
「おや。濡れ鼠……いや、濡れ狐かな」
「どうも、センパイ。雨宿りさせてもらえませんか?」
突然の来訪に悪びれることもなく、礼二がそこには立っていた。
少し休んだらお暇すると言う礼二を引き留め、遊琳は彼を夕飯に招くことにした。彼も拒むことはなかった。
雨は降り続いている。不規則でありながら絶え間ないリズムを奏でる雫は、二人の会話に時折落ちる沈黙という名の思考のせめぎ合いを、心地良く繋いだ。
礼二は聡い後輩だ。遊琳の決意に感づいているところはあるだろう。それでいて何事もなく接してくれる彼が遊琳は好きだったし、感謝もしている。
この小柄でいたいけに見える先輩の存在を、礼二はありがたく思っている。自分とは生活の様式から食べ物の好みからずいぶんと違っていたが、遊琳は懐深く相手に合わせてくれるところがあった。
「うん……美味しいですね。和食もたまにはいいものです」
「そう? 口に合って良かったよ。夕食を気に入りついでに、今日は泊まっていったらどう? シャツはまだ乾かないし、時間も遅いし」
遊琳の自室にはベッドルームが二部屋あり、来客の備えはいつもしてある。彼自身の手でリフォームされた部屋は和のテイストがあふれているかと思いきや、遊琳が趣味の創作に打ち込むための作業部屋を除けば、礼二にも馴染みやすい洋物の意匠が並ぶ。心地良い安眠を堪能できるだろうことを、礼二は知っていた。
「ええ、そうさせていただきましょうかねぇ。先輩さえよければ」
「もちろん」
快く了承して、まだあたたかい夕食の残りへ取りかかる。
いくつもの話題に花を咲かせ、互いの趣味や嗜好、生活の情報を交換した。
しかし、遊琳が下した決断について礼二が触れることはなかったし、遊琳自ら口にすることもなかった。
雨音はまだ聞こえている。
あてがわれた寝室へ入ってしばし、時が経った頃だった。
「ねえ。少し、悪いことに付き合ってくれないかな」
「おや、それはまた、穏やかじゃないですね」
口元をゆるめた礼二へ遊琳が差し出したものは、艶光りするオペラだった。遊琳のことだから、きっと手作りだろう。フランス生まれのケーキらしく層をなすガナッシュとクリームは見た目にも美しく、上面には金色の四角いプレートが斜めに差してある。
確かに、夜も更けたこんな時間にこれをいただくのは、カロリー的に罪深い。
礼二が首を傾けて覗き込むと、プレートには、文字が刻まれていた。
「これは……」
「誕生日おめでとう、礼二」
贈り物はケーキのみならず。
渡された小籠を開くと、繊細な白リボンに三日月型の石で飾られた、素朴な佇まいのツワブキが咲いていた。
誕生日。そうだった。今日は自分の誕生日なのだったと、礼二は今さらのように得心した。
「まあ、いつものプレゼントだよ。どうかな、気に入った?」
「ええ……もちろん。贈り物だなんて」
礼二にとっての誕生日は、礼二自身のものではなかった。既存の枠にとらわれない父が溺愛する息子へ寄越すプレゼントは、普段づかいにははばかられるようなゴテゴテとした服飾品だったり、時に建物や土地の権利書だったりする。今朝もまた派手なモーニングコールとともに規格外の贈り物が届いたもので、礼二はそれをあえて日常から遠ざけようと意識していた。
「ささやかなパーティーってことで。ケーキも食べてよ、ちょっと
失敗作
だけど」
「じゅうぶんですよ。誕生日パーティというと、いつも父が仕事を絡めて執り行いましてね。あまり楽しいものではありませんでしたから」
フォークでオペラの一端をすくい、口へ運ぶ。舌がとろけるような美味だった。就寝前のケーキという背徳感がまた、演出としてもいい塩梅だったかもしれない。
礼二は甘さと生地の食感を堪能し、ツワブキのココナッツめいた香りを楽しみ、頬をほころばせた。
「ありがとうございます、センパイ。誕生日なんて、俺にはあまり嬉しいものではなかったんですが……こういうのも、たまにはいいものですねぇ」
「そう。良かった」
さりげなく、そっけなく、当たり前のように遊琳は笑い、自身もオペラを口にした。
雨音は止んでいた。
遊琳はバルコニーの窓の向こうに居座る黒々とした雲を見つめて、深く息を吐く。
夜半過ぎに再び、雨は降り出した。
礼二にあてがった寝室からは物音一つ聞こえず、安らかに眠っていることだろう。あるいは聞き耳を立て、遊琳の動向を探っているのかもしれないが。
よく気が付く彼だから、その可能性は無きにしも非ず。
本当に、よくできた後輩だった。
(僕からの……最後のお祝いだ)
暗雲はしばらく晴れそうにない。洗った礼二のシャツも、昼まで乾かないだろう。
雨は、いつ上がるだろうか。
(………………)
ふと、先ほど食べたオペラの味を思う。
それを口に含み、笑んだ彼の表情を思う。
味にはそれなりに満足していたが、完成したとは言いがたい。
彼に完璧なオペラを味合わせることができる日が、果たして来るだろうか。間に合うだろうか。
雨は……いつ上がるだろうか。
遊琳は思考を閉ざすよう、瞳を伏せた。飽くことなく、雨音へ耳を傾け続けた。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年11月13日
参加申し込みの期限
2019年11月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年11月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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