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花が届けるひとつの天啓
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【そこに、確かに在ったもの】
それは、世界のどこまでにも行ける、天の道のようだった。
「うん、良い天気」
弥逢 遊琳
はベランダのガラス戸から空を見渡し、沢山の洗濯物を籠に持って外へ出た。
一面に広がる秋の青空。最近の天候は非常に変わりやすく、日差しを狙って洗濯をしたのに、干そうとした時には雲にかげるどころか既に秋雨が降り出しているという事も多かった。女心と秋の空、とは本当に言い得て妙で、日常、一人暮らしでも家事を怠ることのない遊琳だが、この季節の洗い物だけは、どうしても滞りがちになってしまう。
「それじゃあ、干してしまおうかな」
心地良い温かな日差しに、遊琳の心も同調するように穏やかなものに移り変わる。
そのまま、洗濯籠から一つずつ洗い上がりの衣類を取り出して、一つずつゆっくりと丁寧に皺を伸ばしては日光に照らされるように干していく。
柔らかな光を交えた風が、洗濯物をはためかせ遊琳の傍を抜けていった。
「今日は気持ちの良い風が吹くね」
遊琳が肌に触れる風に、そっと感想を寄せて目を細める。そして、洗濯籠の一番下に眠っていたシーツを目にして、ふと僅かに思案した。
(一枚は、僕の部屋のもの。
この一枚は……時折、あの子が泊まっていく客室のもの)
そのシーツの存在は、嬉しいのに寂しく、寂しいがそれ以上に愛おしい。
「これで終わりかな」
一枚一枚を、思案に任せてゆっくりと日に当てる。そして最後に、急な風で飛ばされることのないようにそれぞれを洗濯ばさみで留めたとき、ふと、遊琳の前を上から足元へふわりと何かが落ちてきた。
「うん?」
それは一輪の花だった。
「こんなものが降ってくる筈は無いのだけれども」
遊琳が首を傾げて、花をそっと手に取り持ち上げる。
「……チョコレートコスモス、だよね?」
記憶にある花の名前を自分でも確認するように、その唇に乗せてみる。
花弁の色は、まるでベルベットを思わせる、赤と茶が綺麗に相見えた濃く深い色合いをしている。切り花であるのに、花は傷など痛んでいる様子は微塵もない。
活き活きと花びらを広げる様は、華道の道も修めている遊琳の目から見ても、とても良いものであることが伝わってきた。
それはまるで、封を切っていないのに素晴らしい物だと、眩しい物だと分かる新品を思わせる輝きだった。
まるでこの花は持っているだけで、それを解放する際に誰にでも沸き上がる喜びを伝えてくれているかのようだった。
だが、万が一吹き飛ばされてきたとしても、そのようなものがここに無傷で辿り着くことはないだろう。
「……神魂、ってこと?」
遊琳の問い掛けに、答えが返ってくることはない。
(でも、それならもう何か起きているような)
遊琳はその不可思議な様子に、僅かに小首を傾げながらその花を全方面から確認するようにくるりと回す。
すると、
【オペラ】
「──!」
ふと。遊琳の脳裏に、誰の声かも分からない、その一言だけが浮かび響いた。
通常であれば、歌劇を指し示す言葉であろう。
だが遊琳にとって浮かんだその意味は、まるで符丁のように重なり合わさり、理解されたものだった。
(ああ、そうか……そうだよね。
……だって僕がこの数日ずっと考えてきたのは、あの子のことだったから)
ふわり、それは魔法のように腑に落ちた。
「……ガナッシュ、コーヒークリーム」
思考という空の中、ぽつんと雲のように浮かんだのは、コーヒークリームで作ったガナッシュだった。
はじまりは、遠く一年前ほど前。
とある一人の後輩の為に、遊琳は誕生日を祝うティラミスを作った。
遊琳は相手に聞く事もなく、彼がモデルを務める雑誌のインタビューでその好みを知った。同時にそれは試作品であり、お互い誕生日に完成品を合わせることもないような関係であったけれども。
それが、遊琳とその後輩の関係における、折衷であり最上であった。
遊琳は、そこに見返りを求めることなく、今まで、ただ邪魔にならないようにその想いを添えてきた。
「……これから毎年祝えるのなら、それでもよかったけれど」
だが、それは去年が初めてで……今年が最後。
終わりに目を向ければ、うっすらと己の心は満ちていく。
「だとしたら同じ物は芸がないよね」
遊琳は呟きながら考える。彼がコーヒーが好きなのは良く知っているし、恐らく、
(甘いのは……苦手)
それらの情報を心に置くと、コーヒークリームのガナッシュは、他の物が浮かばない程に悪くない選択肢と思えた。
「……残る物を渡す訳にはいかないし」
他に何かと思いかけて、遊琳はやはり食べ物しか選択肢がないのだと思い至る。
昨年のような、想いをかたどる彩りがないのは少し残念に思えたけれども、仕方ないとかぶりを振った。
「洋菓子は練習しないとね。
さて、」
そこまで、まるで夢を見ていたような思考の巡り方をしていた気がする。遊琳は視界に入っていただけの、手に持ったままのチョコレートコスモスに意識を向けた。
「そうだね、良案の立役者は花瓶に入れてあげるとしよう」
遊琳は小さな微笑と共に、花を籠に入れて部屋に戻り、それを一輪挿しの花瓶へと優しく生けた。
遊琳は、花瓶に生けた花を見つめて、そっと心に沈黙を落とした。
こうして──積もる雪の上に、落ちた椿の花が静かに咲く頃までの刻までに。ひとつひとつ、己の心残りを昇華していく。
たとえるならば、己が一つの花であるとして、
最後に皆がいるその場に留まるものは、ふわりと人の心に響く花の残り香だけであるように。
「さて、買い物に行こうか」
遊琳は一つ、心を切り替える様に頷くと、外出の準備をして静かに部屋を出ていった。
閉められたドアの内側で、飾られた『恋の終わり』が微かに揺れた──
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年10月16日
参加申し込みの期限
2019年10月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年10月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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