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その後も遥斗は、飛び飛びではあるが泰子……泰葉と会っている。
あの夜以来、泰葉のマンションには行っていない。会うのは、たいていは公園や図書館といった公共性の高い場所だ。言いかえれば、堂々と人前で会える場所ということでもある。
図書館の帰りに偶然会うこともある。しばしば図書館におもむく自分のために、泰葉が待っていたのではないかと思うくらいタイミングよく遭遇することもめずらしくない。
しかしもっとも多いのは、遥斗から彼女に電話して、「会いたい」と伝え待ち合わせる場合だった。
それはたとえば、今日。
「泰葉さん」
遥斗が声をかけると、泰葉は読んでいた本から顔を上げた。
「遥斗くん」
グレーのキャスケットをかぶっていて、頭頂部をすっぽり隠してしまっている。丸い眼鏡をかけてはいるが、度数は入っていないらしい。いわゆる伊達眼鏡だ。こうやって彼女は、夜の客と出会っても気付かれないようにしている。
遥斗が近づくと、泰葉は少し動いてスペースを空けた。
「待ちました?」
「ううん、いま来たところだから」
図書館裏の公園、なんとなくいつも座るベンチだった。木製、青いペンキで塗られている。ちょうど風が吹きだまる位置になるのか、楓の落ち葉が足元に溜まっていた。
黄色い葉の海をさくさくと踏み、遥斗は泰葉の隣に座る。
部活が休みの日、学校から図書館に直行した遥斗と、泰葉の出勤までのひととき、それがふたりに共有できる短い時間のすべてだった。
そのほとんどの場合、会話は遥斗のこの問いかけからはじまる。
「何か変わったことはありませんか」
口癖になりかけている。けれども問いかけずにはいられなかった。
泰葉は、例の三人組の事件について語ったことがない。遥斗もあえて話題に出さない。けれども彼女の周囲に不穏な事態が続いていることは、口にせずとも共通の認識であることは疑いようがなかった。
問われるたびに泰葉が返す言葉もほぼ同じだ。
「今のところは、なにも」
その都度、泰葉はほっとしたような表情を見せる。訊ねる遥斗にしても心安らぐ回答だ。
時間にして数秒、黙ってその安らぎを共有してから、近況などを交換する。
「読書、お好きなんですか」
よく図書館で会いますし、と遥斗は言う。
「今はね。以前は好きじゃなかった」
「意外ですね。泰葉さんが俺くらいの頃も、ですか?」
「……うん。あまり興味がもてなくて。小説、なかでも一人称で書かれたものは特にね。想像の上で誰か別の人の人生を体験したって、意味なんかないって思ってた」
「でも今は違う?」
「そう、よく読むよ。以前とは正反対で、一人称のものが好き。故郷を離れて、泰子の上に『泰葉』ってペルソナをかぶるようになって……夜のあいだだけ、別の人生を送るようになったからかもしれない」
「『泰子さん』と『泰葉さん』は別の人だということですか」
「気持ちの上ではね。メイクしてドレスを着て鏡の前に立つと、もうそこには別人がいる。高校生までの泰子が、将来あなたは泰葉という存在に化けると教えられても、きっと嘘だと思うはずよ」
「でも俺にとっては……同じ人です」
「わかってる。けれどたぶん、遥斗くんは……私の『泰子』の部分しか知らないでしょうね。少なくとも、泰葉の汚いところは知らない」
またそんなことを、と遥斗は泰葉をまっすぐに見つめた。
「自分を卑下しないでください。泰葉さんに汚いところなんてない」
「ありがとう。遥斗くんが心からそう言ってくれているのがわかるから嬉しい。本当に。でもね」
泰葉は、遥斗の手に自分の手を重ねた。
遥斗は野生動物のように、ぴくと反応したが、手を動かしたりはしなかった。
「聞いてくれる? このことを明かすのは正真正銘、遥斗くんがはじめて」
そこまで言われて断るわけにはいかない、覚悟を決めて遥斗はうなずいた。
「この島に来て、私には不思議な力が身についた。人を超えた能力。『ろっこん』って呼ばれているらしいけど」
「はい」
泰葉は遥斗に視線を向けない。まっすぐに正面、ほぼ裸になった楓の木を見つめながら言った。
「私ね、名刺を手渡されると、渡してくれた人の公開されている経歴、とりわけ職業に関連した経歴が、すっと頭に入ってくるんだ。証券マンなら株取引の記録、ミュージシャンならリリースした楽曲、作家なら作品……。それで瞬間的に得た情報を、さもその業界や、その人の活動歴に詳しいふりをして話す。そうすると名刺をくれた相手からは事情通に見えるし、頭がいいとか勉強熱心だとか思われる。こうやって気に入られて、私は指名数を稼いできた」
狡(ずる)いよね、私――と泰葉は言った。
「顔も人並みだし、性格だって本当は社交的じゃない、他の地域のキャバクラにいるときは、ぱっとしない不人気嬢だった私が、寝子島の『プロムナード』に来てトップになれたのは、全部この能力のおかげ。そんな姑息な手を使わずに、実力だけで私からトップを奪った紗央莉さん……あ、これは同僚の名前ね……に私は、内心引け目を感じている。いえ、紗央莉さんだけじゃなく、他のすべての嬢に」
一気に話して、泰葉は静かに息を吐いた。
「驚いた?」
「……いえ、まるで驚かなかったと言えば、嘘になりますけど」
でも、と手を動かさぬまま遥斗は言う。
「狡いとか卑怯だとか、そんな風には思いません。泰葉さんが引け目を感じる必要もないと思います。与えられた才能を活かしただけですし、それに」
一旦言葉を切って、手の甲に泰葉の体温を感じながら遥斗は続けた。
「高校生の俺は名刺なんて持っていません。だからもちろん、泰葉さんに渡したりしていません。泰葉さんにその能力があろうがなかろうが、俺の泰葉さんへの気持ちは……同じ、です」
「いい子ね、遥斗くんは」
泰葉は立ち上がった。
「馬鹿にしたように聞こえたのなら、ごめん。純粋で、まぶしいくらいって言いたかっただけ」
泰葉は見上げている。突き抜けるくらいの青空を。
「今日はもう行こうかな。なんだかすごく……」
「すごく?」
「ええと、うまく言い表す言葉が思いつかないな。感謝してる、それだけはまちがいない」
つられて立とうとした遥斗に、
「またね。勉強、がんばって」
いくらか足早に、顔を見せることもなく泰葉は、コートをひるがえして歩み去った。
また、か。
手の甲を、もう片方の手でさする。なんだかまだ、温かかった。
もしもと遥斗は考える。
――泰葉さんにも何か目標があってそれに向かおうとしているのだとしたら、やはりこういう時間はいつかは終わるだろう。
それは悪い意味だけではない。
だから、『また』のときも、悔いがないよう大切な時間にしたい。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
バトル
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年10月23日
参加申し込みの期限
2019年10月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年10月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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