スペース・ウォーズ！｜リアクション

スペース・ウォーズ！

●トカゲ型宇宙人サイド・惑星上

　桃色惑星上にいる仙藤紫は、軍服を着たトカゲックスの幕僚に囲まれて一瞬、面食らった。
「勇猛なる地球人、我らに力を貸してください」
「どういうこと？　事情を詳しく話して」
　そうしなければ協力のしようがないと言われたので、桃色惑星戦の副官と思しきトカゲが事情を話す。
　ここはトガケックス司令部で、紫は桃色惑星に展開するトカゲックス軍の総参謀長、つまり将軍とのこと。
　気が付くとトカゲと同じ軍服を着ているが、大将か中将のような軍服を身に纏っている。
　宇宙人トカゲの総参謀長として従軍するのは大変そうね、と紫はため息をついた。

　そことは別の場所で、仙藤蒼は姉と似たような状況で野戦服を着たトカゲックスに取り囲まれていた。
　接近してきたトカゲックスに思わず悲鳴を上げそうになるが堪え、彼らから一通り事情を聴くことに。
「あなたは、我が軍の戦車師団の師団長で将軍で階級は少将であります」
　敬礼しながら１匹のトカゲックスが蒼の立場を説明した。
「私が将軍？　しかも少将！？」
　驚いた拍子に下を向くと、なぜか服装はトカゲックスと同じ野戦服に。
　少将ということもあり、服の作りは少し豪勢。
　多分、この星に飛ばされていると思われる姉がどんな立場になっているのかが気になるところ。
　司令部に総参謀長として入った美しく聡明な地球人の女がいます、と喜ぶトカゲックスの話を聞き、それ、お姉ちゃんかもと思った。

「総参謀長、戦車師団の師団長たる将軍を連れてきました」
「どうぞ」
　総参謀長の声は、聞き慣れた姉の声だった。
（案の定、お姉ちゃんだったか……）
（蒼もここに来てるわね、と思っていたけど、本当に来ていたなんて）
　顔を見合わせる総参謀長と戦車師団長が姉妹と知ると、トカゲックス達は「ご姉妹でしたか！」と驚いた。

　現在の戦況を知るべく、紫と蒼は副官達と作戦会議を。
「この地図をご覧ください」
　一瞬にしてテーブルがホログラフマップに切り替わる。立体的に桃色の惑星全景、現在地が記された。
　敵部隊の展開と、全体的に構築された陣地などを紫は子細に検証する。
　蒼は何かに気づいたのか、ここを突けば一気に敵のカエリアンが総崩れになるんじゃないかと指摘する。
「ここに大きな森が広がっているよね。この辺りで兵力展開が薄くなっているの、気づかない？」
「そう言われてみればそうね」
　蒼が指さした箇所を見ると、たしかにカエリアンの兵力が薄く、広がった部分がある。
「私が率いる戦車師団で広大な森を突っ切り、敵の背後から出る作戦を思い付いたんだけど」
　トカゲックスから得た偵察などの結果等を加味して、一気呵成に森を突破しようという作戦を提案。
「第二次世界大戦でドイツ軍が同様の作戦をしたでしょう。あれと同じことをやるのよ」
「アルデンヌの森を狙ってるの？　たしかに、その広大な森の周囲は敵の兵力配置は薄いからやれないことはないけど」
　紫としては、兵力展開が薄いのは罠ではないか、という気がしてならない。
　頭の回転が非常に速く、何事もとことんやりこむ、効率的に物事を熟知するのを重視する性格の妹の作戦。
　偵察による情報や状況を提供してくれ、詳しく状況説明するトカゲックスの話を加味した結果、あえて森の突破を認めることにした。
「わかったわ、それでいきましょう」
「そうこなくっちゃ！　さすがお姉ちゃん」

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