化野原に寄りて在る｜リアクション

化野原に寄りて在る

骨削瓢は猫又川の河原に突っ立っていた。
何故か片手にスコップを携えている。
「およ？　いつの間にあっしはこんなところに」
ついさっきまで街中にいたはずだと、瓢は首をひねる。
「たしか、暇にあかせて穴掘ってたらテオに声をかけられて……あぁ」
瓢は得心いったようだ。
どうやらまたテオの仕業らしい。
「とするとここはあの猫の『世界』ってことになるんだろうなぁ」
寝子島の喋る猫ことテオドロス・バルツァの持つちからは、彼の都合の良いように創りあげた『世界』を生み出すというものだ。
そして瓢の予想した通り、いま彼の立っている河原は元の世界のものではない。
「テオのことだ。滅多なことじゃあ『世界』を創ったりしないはず……さて、なんて言われたんだったかねぇ」
テオが『世界』を創る時はきまって厄介な事件が起きている時だ。
それを瓢たちもれいびに解決させるための場を創りあげているのである。
しばらくテオから言付かった内容を思いだそうとしていた瓢は、何事か閃いた様子でぽんと手を打った。
「あーぁそうだったそうだった。今回は『妖怪退治』だった」
そう。
妖怪退治である。

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