【演劇祭】ワンス・アポン・ア・タイム・イン・寝子島！｜リアクション

【演劇祭】ワンス・アポン・ア・タイム・イン・寝子島！

　ーーサンマ太郎たちは、やがて鈴島を向こうへ望む海岸へとやってきました。
　ーーしかし鈴島へ辿り着くには、海を越えなければなりません。
　ナレーションの言葉を証明するように、背景の書割には真っ青な海が一面に広がっていた。鈴島は、その中にぽつねんと小さく浮かんでいる。
「どうしよう……これじゃあ鈴島まで行けないよ」
　海を見渡したサンマ太郎が、しょんもりとした声を漏らす。
「泳いでいくのはどうかな！かな！」
「ペンギンさんは行けるかもしれないけど、他の皆が置いてけぼりになっちゃうよ？」
　今にも泳いでいきそうな勢いのペンギンを、ウェンディがたしなめる。
　そっかー、とペンギンもしょんもり。ちっちゃなペンギンの体では、皆を乗せて泳ぐわけにもいかないし。
「船がどこかにあればいいんだけど……」
　辺りを見回すウェンディの呟きに、「いいねそれ！」と魔女が声を挙げた。
「配達員さーん！」
　ノリノリで舞台袖へ呼びかけるが早いか、配達員が登場する。
　さっきより一回り大きな台車には、ボート……というか、カヌーが載せられていた。
　ポチッとはんこを押して受け取ると、魔女は意気揚々と皆に告げた。
「これで鈴島に行けるよ！」
　やったー！　と大はしゃぎでカヌーに乗り込もうとするのは、サンマ太郎とペンギンの一人と一匹。
「船ってカヌーなの！？　ヨットとかじゃなくて！？」
　ウェンディのツッコミもなんのその。
　他に手もないということで、一行はカヌーに乗って海へと繰り出すことにした。
　舞台用のギミックとして、底面についたローラーで進んでいくカヌー。
　ーーしかし、悲劇は訪れた。
　ローラーがズレて、カヌーが傾いたのだ。
「ーーあ」
　誰かがそんな間の抜けた声を漏らした、その直後。
　カヌーはひっくり返り、どっぼーんと海に沈むSEとエフェクトが投影された。