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寝子島ハロウィン☆デイズ!《寝子暦1370年版》
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短く刈った叢を
シーナ・キュクノス
は駆ける。うなじに触れるか触れないかの短いポニーテールが跳ねる。耳の後ろからふわりと生えた小さな白翼が楽し気にぱたぱたと揺らぐ。
「ベルラ!」
巻藁の据え付けられた稽古場をぐるりと見回す。剣の師匠でもあり共に暮らすパートナーでもある
ベルラ・ガーネブラッディ
の名を涼やかな声で呼ぶ。
「ベルラ?」
稽古場に師匠の姿がないことを確かめ、草原の真ん中にぽつりと佇む二階建ての小屋を見遣る。結い上げた髪を揺らして小首を傾げ、次いで探すは小屋の近くの水車の脇。晴れ渡った青空の下、軽やかになびく洗濯物の影には、樹の卓と切株の椅子がある。
椅子に掛けて、ウエスタンハットを被った中年男性の背中が見えた。
「居た、師匠!」
「うん?」
気だるげに喫していたパイプの紫煙を風に流し、ベルラはのんびりと首を巡らせた。藁色した髪に半ば隠れた右半面の一部、青く結晶化した肌が太陽の光に淡く煌く。
シーナは羽のように軽やかな足取りで師匠の前に立った。
「知ってますか、師匠。秋の収穫祭、寝子島ではハロウィンっていうそうですよ!」
お使いに出掛けた第一階層の城下町で聞いて来た話を、シーナは玉鋼色の目を輝かせて披露する。
曰く、寝子島は南瓜とお菓子で溢れる祭りの真っ最中だとか。
曰く、人々は仮装してごちそうを食べるのだとか。
「そいつは初耳だが」
「家でもお祝いしませんか、お師匠様」
弟子から明るい笑顔でねだられ、ベルラは破顔する。何にせよ、人々の笑顔が見られるのは平和でいいことだ。
「ご馳走か。折角だ、便乗しちまおうかね」
パイプを片付けつつ、ひょいと手を伸ばす。立ち上がれば頭ふたつぶんは小さな弟子の黒髪を掌で撫でて、
「ん?」
ふと気が付いた。いつもは動きやすさを重視した衣服を身に着けている少年が、今日はなんだか随分ふわふわとした衣装を纏っている。
「シー君その格好……」
「気づくのが遅いです、師匠」
一瞬だけつんとそっぽを向いてから、シーナは肩に下ろしていた赤い頭巾を頭に被って見せた。鮮やかに赤いエプロンドレスのスカートの裾をふわりと揺らし、その場でくるりと回って見せる。
「向こうのお話を調べて衣装もがんばって作ってみました!」
肉付きの薄い胸を張って得意そうに笑ってみせてから、シーナは腕に提げていたバスケットから布製の狼耳を取り出す。苦笑いするベルラのウエスタンハットに手製の狼耳をくっつける。
城下町の誰かから聞いて来た赤ずきんの物語をベルラに語って聞かせ、シーナは自分とベルラを交互に指し示す。
「赤ずきんちゃんと狼さんです」
草原の真ん中、ふたりきりで住まう小屋の前で狼な師匠と赤ずきんな弟子は笑い合った。
「余った料理は明日食べればいいから、たくさん作りまょうね」
「豪勢に行こう。部屋も気持ち飾り付けるか」
「はい!」
小屋の台所にふたりで立つ。
「おちび」
調理を始める前に、ベルラは食卓の椅子にひょいと腰を下ろした。そうしてからぽんと自分の膝を叩く。ほんの少し照れた様子で瞬いてから、膝に大人しく座るシーナの黒髪を一度解く。風の中を駆けて来たおかげで乱れた髪をざっと梳かして結い直す。
「ん、できたぞ」
「ありがとう、ベルラ」
シーナが作るのはカボチャたっぷり、ベルラの好きなお肉もたくさんなシチュー。ニンジンを風変わりなお化けじみたかたちにくりぬけば、隣で魚を器用に捌いていたベルラが不思議そうな顔をした。
「ジャックオランタンです」
南瓜おばけのかたちしたニンジンを掌に乗せ、シーナは瞳を細める。
「ふふ、たくさんハロウィン勉強したんですよ」
「美味そうだなぁ」
シチューの香に鼻をひくつかせつつ、ベルラは捌いた魚の腹に香辛料や彩り用の野菜を詰める。味が染み込むまでふっくらと蒸し上げるその料理は、故郷で祭りや祝い事がある度に振る舞われた魚料理。
ベルラの生きていた故郷と同じ素材が星幽塔で入手できるはずもないが、味付けを似せることはできる。
「作ったのは久々だ」
蒸しあがった魚に散らすのは、甘い刺激的な香りのハーブ。
「ベルラの料理も美味しそう」
ハーブの良い香りに頬を緩めつつ、シーナは中身をくりぬいて焼き上げた南瓜にシチューを注ぎ込む。
「南瓜の器か」
「可愛いでしょう」
「その発想はなかったよ」
楽しそうに調理するシーナの隣にいるうち、祭りに浮かれるシーナの嬉しさが伝染してきて、ベルラはシーナと同じ表情で笑った。
「ハロウィン行事、面白いな」
南瓜とベーコンのサラダに炒った南瓜の種を散らす。城下町で買ってきたパンには南瓜のペーストとチーズを挟んだり、ローストビーフを挟んだり。具沢山のサンドイッチの周りには、蝙蝠のかたちに抜いたニンジンを飾る。
「狼さんにお腹いっぱい食べてもらわなくちゃいけないですからね」
「はっは、随分献身的な赤頭巾もいたもんだ」
手際よく作った料理を次々に食卓に並べ、
「収穫祭だから、今日は特別。お酒もいっぱい飲んでいいって兄様たちも言ってました」
ふたつ並んだグラスにお酒を注ごうとするシーナの頭に、ベルラの掌がぽんと乗った。
「……本当の酒はまだ早いぞ」
「僕もちょっとだけ」
ね?、とシーナは上目遣いにベルラを仰ぐ。
「いいでしょ、お師匠様。誕生日も迎えたし、もう子供じゃないんですよ」
「またそういう時だけ……」
やれやれと肩をすくめながらも、ベルラはシーナの手からそっと酒瓶を取り上げる。幼げな仕草で唇を尖らせるシーナのグラスに注いでやるのは、己のグラスに注がれた酒と同じ色と似た香を持つジュース。
「これならおちびでも飲めるだろう」
納得したようなしかねたような顔でそれでも大人しく食卓につくシーナの前にジュースのグラスを置きつつ、ベルラは内心でそっと息を吐く。
(俺も大概甘いなぁ)
世界によっては、シーナはもう『大人』の部類に入るのは理解している。それでも、ベルラにしてみればシーナはまだまだ『子供』。そう思っている。そう思いたいと、思っている。
向かい合って食卓につく。ジュースと酒で乾杯し、お互いの料理に舌鼓を打つ。
弟子の心尽くしの料理を口にすれば、羽目は外し過ぎるまいと思いはすれど、いつもよりほんの少し多めに酒が進んだ。
ふわりと淡く酔った身体でソファに身を横たえる。
「ねぇベルラ、」
食卓の片づけを済ませたシーナが枕元の床に膝を揃えた。赤ずきんに顔を覗き込まれ、ほろ酔いの狼は赤い目元で瞬く。
「ハロウィンでは魔法の呪文を言えばお菓子を貰えるそうですよ」
「ふむ、魔法の呪文?」
起き上がる狼の膝に手を置き、赤ずきんは上目遣いに小首を傾げる。確か、こんな呪文だった。
「トリック・オア・トリート?」
狼はくすりと笑う。パーティには菓子が必要不可欠と思い、用意をしていた。片付けを引き受けてくれたシーナに渡そうとポケットに潜ませていたのが、
(功を奏したかね)
飴とクッキーを包んだ掌サイズの小包を赤ずきんに差し出せば、シーナは受け取りながら何故だかふわりと頬を染めた。
「これはお礼です」
言うなり、シーナは膝立ちに伸びあがる。ぎゅっと目を瞑り、小鳥がついばむようなキスを狼の頬に贈る。そうしてから、シーナは自分の思い切った行動にちょっぴり照れた。照れながら、思う。
(ああでも、もっといっぱい欲しい)
熱い頬を両手で抑え、ドキドキする胸を隠して俯く。
「ちび、礼ならもっと……いや何でもないぞ」
狼狽えた声で言いかけて、ベルラは言葉を飲み込む。シーナの唇が触れた頬を片手で抑え、大人のふりで咳払いをする。
「今度は俺が言えばいいんだな」
ベルラの放った『魔法の呪文』に、シーナは上気しすぎて潤んだ瞳をもたげる。狼の膝に手を置き、赤ずきんはお願いする。
「僕はお菓子を持っていないので、いたずらしてください」
だってここには猟師もいなくて、赤ずきんと狼はふたりきり。
「骨まで食べても怒られないから、ベルラの好きにして?」
「な、」
普段は澄ました素振りの多い弟子の『お願い』に、ベルラは思わず絶句する。
「おめぇさん、どこで覚えて、……」
全く、と首を横に振る。自ら強請る赤ずきんなど聞いたことがない。
(が、……)
これは据え膳も据え膳。ましてや今のベルラは狼。獲物を前にして逃がす筈もない。
「おいで」
ソファの上にシーナの軽い身を引き上げる。手を重ね指を絡め、視線を合わせる。もう片方の手で取った『トリート』用のチョコレートを口に含み、ベルラはシーナと唇を重ねた。口移しにチョコを与える。
僅かに離れた唇からどちらからともなく零した吐息はとてもとても、甘かった。
「嗚呼もう、」
どんな顔をして良いのかも分からず、ベルラはシーナの身体をきつく抱きしめる。
「本当に、悪い子だ」
囁く声が、熱い。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
1000人
参加キャラクター数
55人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年09月28日
参加申し込みの期限
2019年10月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年10月05日 11時00分
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