【星幽塔】第四階層　何故かいきなりタピオカチャレンジ！｜リアクション

【星幽塔】第四階層　何故かいきなりタピオカチャレンジ！

前編：これは　そういう　チャレンジ　です

「……え？」
水上桜は、目の前の光景に思わずそんな声を漏らした。タピオカの実をたわわに実らせる大木、その下に広げられるカフェ、美味しそうにドリンクを楽しむ女性たち。ただし、胸にカップを乗せてる者がちらほらといる。
（これって……タピオカチャレンジ？　えーと、巨乳の人が胸の上にタピオカティーを載せる、アレよ……ね？）
　と困惑していると……？
「なんでしょうこの、約束された敗北は……」
　と険しい表情の屋敷野梢が。彼女は自分の胸を見、大きくため息を吐く。
　星幽塔での出来事は全て夢だと思い込んでいる桜ではあるが、これは大いにカオスな予感がしていた。
「おぉ、ドリンクを飲みに来たのか？」
　かに座のアステリズム、シドニウム・カトルが２人に気付き声をかける。だが、桜と梢は奇妙な違和感を覚えていた。なんかこう、胸部にささやかなふくらみがあるようにみえるのだ。その後ろでは……。
「このぷにぷにがたまらないの～」
　なんていいながらステラ・ル・トルテが胸にカップを置いたままタピオカドリンクを飲んでいる。妙に大人になっている為胸が程よくボリュームアップし、色気も出ている！　でも中身は通常運行だ！
（な、何なんでしょうねこのカオス）
　梢が問いかけようとしたが、それよりも早くシドニウムに声をかける者がいた。
「わわっ！　ステラが美人になってる！　シドニウムも女の子？！」
　アリス・ミーティアが目をキラキラさせて二人に接触！　アリスは背後からステラに抱き着き「このおっぱいは本物？」なんていいながらもにゅもにゅし、ステラはステラで「くすぐったいの～」と笑っている。そのままシドニウムのも確かめようとするが、「くすぐったいのはごめんだ」とばかりに逃げられる。
「なんか面白い事になってる～♪」
　その光景に、白真白が興味津々な様子でやってくる。傍らには途中であったのだろう、旅鴉月詠の姿もある。彼女はまじまじとタピオカの木を見つめ、「おぉ……」と感嘆の息を漏らした。そんな様子の彼女に、シドニウムは眼鏡を正す。
「どうした？　そんなに興味深いのかい？」
「新しい食材と聞いてきたんだ。しかし、これ、実か枝を分けてもらえないだろうか……。これは実に面白そうなんだ」
　月詠は何度も頷きながら木に触れ、僅かに目を細める。シドニウムたちが不思議そうに見ていると、月詠は至極真面目な顔で言葉を続ける。
「実は爆裂イモからデンプン粉作ってタピオカにしようかとか思っていたところだから、この樹を繁殖できれば手間が省けるな……、と。イモの収穫危ないし」
「いや、それ命懸けだよね月詠ちゃん」
　無謀とも思える月詠の案にためらいもなく突っ込む真白。だが、月詠はいたって真面目である。
「これが美味なら第一階層でも流行るんじゃないかな。このぷにぷに感はちょっと癖になりそうだし」
　月詠が真面目に、真剣にそういうとアリスはぱっ、と目を輝かせ「それは面白そう！」と興味を示す。
「……騒がしい、と思ったら。それにしても、これはどういう……？」
　そこに姿を現したのは蠱惑的な美貌を持つ踊り子。その正体は盗賊のティオレ・ユリウェイスである。彼女はカフェの客たちが胸にカップを置いたりしている光景に目を丸くしている。

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