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その傷に思う
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生徒会室の窓から穏やかな茜の色と涼しい風が流れこんできている。
(そろそろ冷えて来た、かな)
カーテンを揺らす秋風を見遣り、
志波 武道
は掛けていた椅子から立ち上がる。目を通し整理していた書類の上に重石代わりの消しゴムをちょんと置き、開け放った窓を閉めるべく窓辺に寄りかけて、
「ん?」
ノックの音を聞いた。
「いらっしゃいー」
いつもと変わらぬ軽い口調で応じる。小さく開いた戸の向こう、廊下からそっと顔を覗かせたのは、部活動に勤しむ一年生らしい女子数人。
お忙しいところスミマセン、と頭を下げる女子たちに、生徒会長である武道は人懐っこい笑みを向ける。
「ダイジョーブ☆ どうしたの?」
ファイルが足りなくて、と言う彼女たちは、上級生に頼まれてお使いにやってきたらしかった。
「はいはーい、ちょーっと待ってねー」
ファイルファイルと呟きながら、部屋の壁際に設置された事務用キャビネットの戸棚を開く。
「たしか予備が……」
備品の入った段ボールを急いで取り出し開けようとしたとき、
「いぐぁ……っ!?」
左の人差し指に嫌な痛みが走った。口から飛び出しそうな悲鳴を無意識のうちに噛み殺す。咄嗟に立ち上がってよろけた拍子に机の角に腰を打ち付け、殺したはずのうめき声がつい漏れた。
戸口に立っていた女子たちの方が驚いたような声を響かせるのを無事な右手をひらひら振って制する。
「あー、ちょっと切ったかな?」
何でもないような口調で笑って見せる。
大丈夫ですかっ、と駆け寄って来た女子のひとりに右手で取り出したファイルを差し出す。
「ダイジョーブダイジョーブ☆ 保健室行くほどじゃないしばんそーこーもってるから!」
へらへらと笑いながらファイルを渡す。傷口を握り込んだ左手を背中にそっと隠す。脈打つ感覚と共、傷口から溢れだした血で指先が滑るも、それを微塵も感じさせない完璧な明るい笑顔でお使いの女子たちを生徒会室から送り出す。
女子たちの足音がぱたぱたと去って、武道は小さな息を零した。貼り付けていた笑顔が剥がれる。背中に隠していた左手を持ち上げる。拳を開くのも怖いくらいに傷口が熱を帯びている。心臓が指先にあると感じられるほどに脈打っている。つられるように胸もどきどきと脈打っている。
すごく痛い。
痛みに気持ち悪くなって、思わず呻く。
(やだな)
傷口から溢れた血で掌がぬるりと滑る。口をへの字に、眉を八の字に、武道はもう一度小さく息を吐いた。
硝子のように鋭利なもので深く切ったときの、一拍おくまで気づけない感じとはまた違う、紙や段ボールでの創傷。荒い切断面を強く擦りつけたときに出来る傷。
(ノコギリみたいなもんだしな……)
肩を落として気が付いた。指の傷に気をとられていたけれど、机に打ち付けた腰もやっぱり痛い。
(バッチリ強打だなこれも!)
指先の傷とは違う種類の痛みを訴えかけて来る腰を右手で一撫でする。
(後でアザになるなこれ……)
眼鏡の下の栗色の瞳をいっそ冷静に細め、今の自分の状態を振り返る。
そうしてから改めて拳にしたままの左手を見下ろす。痛みと出血のせいで指を開くのが怖い。
(ろっこんを……)
手刀で突いた部分の感覚を麻痺させる自分のろっこんを使おうかと一瞬考え、
(いや、)
一瞬のうちに却下する。
(こういう時に使うべきではないな)
フツウを守るための怪我であれば覚悟はしている。この身に宿った力を存分に使うことも躊躇ったりはしない。けれど、今は。この怪我は、何でもない日常の中で、しかも自分の不注意で負ってしまっただけのもの。自業自得だ。
恐ろしく生真面目に、知らず己を追い込むように思考する。
(これは、きちんと、)
治るまで痛みに堪えなくてはならない。
自分の不注意で痛い思いをすることになったという戒めにしなくてはならない。
(うーん、気が緩んでる証拠だなー……)
放っておけばどこまでも落ち込んでしまいそうな自分の心を軽い口調で呟くことで押し留め、そうっと左手を開く。しばらく押さえつけていたのに、圧迫を緩めた途端に再度じわじわと滲み始めて止まる気配もない血に唇を引き結ぶ。
こちらも痛む腰を堪えながら手近な椅子に腰を下ろす。事務机の脇に置いていたバックを引き寄せ、応急手当用品を詰めたポーチを取り出す。元々は溺愛する弟が万が一怪我したときに使う用ではあるけれど、
(そういえば)
最近は弟のためにこのポーチを開いたことはあまりなかったように思う。
(まさか自分に使うとはネ☆)
おどけながら、誰かに施すのとは反対に、適当にぞんざいに傷口に絆創膏を貼りつける。掌を汚す血をウエットティッシュで拭う。
(ドジっ子め)
自分で自分をからかって、どうにかこうにか気持ちを立て直そうとして、
(こーゆー不意打ちの怪我はほんっと……!)
しつこくジリジリと痛む腰の打ち身に、絆創膏にじわじわと滲んで止まらない血に気力を削がれた。茜さす生徒会室の隅で、どうしようもなく情けなくなってしまった。
さいわい、部屋には他に誰も居ない。訪ねて来るひともそうそう居ない。
伊達眼鏡を外して、机に額をごつりと落とす。
(地味にへこむ……)
気持ちを浮上させる術を今は思いつけず、武道はひとり、頭を抱えた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年08月29日
参加申し込みの期限
2019年09月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年09月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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