ちょっとバグった異世界召還～わりとよく死ぬラブストーリー～｜リアクション

ちょっとバグった異世界召還～わりとよく死ぬラブストーリー～

　白真白はひとり自室のベッドの中、サキュバスちゃんの夢を見る。
　サキュバスちゃんは少しだけ悲しそうにほほ笑むと、真白の前に立った。

「じゃあね、真白ちゃん……これからはすぐ死んだらダメだよ？　もう生き返れないからね？」
　真白は少しの驚きと共に、何かを返そうとしたけれど、声が出なかった。
「あたしたちはもう帰らなきゃいけないの。真白ちゃんはあたしといっぱい遊んでくれたから、楽しかった。本当にありがと」
　不思議とサキュバスちゃんが帰ると言っていることには驚いていない。普段の様子からすると、取り乱してしまいそうな気もするが、心は落ち着いている。ひょっとしたら魅了の効果が薄まっているのかもしれないし、ここが夢も中だからかもしれない。
　真白はふと自分の周りを見渡した。帰るというなら、何かお土産でも。
　けれど、サキュバスちゃんはそっと首を横に振って、真白をぎゅっと抱きしめた。

「ううん……いいの。あたしたちはみんなから何かを奪いに来た……けれど、真白ちゃんはずっと仲良くしてくれたから……思い出、いっぱいもらったから……」
　そのまま、真白のおでこにそっと触れるようなキスをした。

「だから、真白ちゃんからは、何も奪わない」

　サキュバスである彼女が人間から何も奪い取らない、それが意味するものは真白には分らなかったけれど。
　おでこから唇を離した彼女の顔は、もうゆがんで見ることはできなかった。

　世界がゆがむ。異世界の客人たちが寝子島から帰っていく。彼らはこの島からいくつかのものを持ち帰って、自分たちの世界で活かしていくだろう。
　それがどのような結果をもたらすのかは、この島の住人には知る由もない。
　魅了は解け、明日からまた何事もなかったかのように毎日が始まる。

　ただ、ほんの少し。

　隣の空席が寂しいと思う人もいるのかもしれない。
　という、それだけの話。

＜ＥＮＤ＞

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あとがき

担当マスター：まるよし
ファンレターはマスターページから！

　皆様こんばんは、まるよしです。

　今回はいつもと少し違う感じのショートにして、新しいことにチャレンジしたかったのですが、思ったよりも大きく躓いてしまい、なかなか思うように書き進めることができず、また健康上の理由などもあり、このように大幅な遅れを発生させてしまいました。申し訳ありませんでした。

　プレイヤーの皆様にはご迷惑をおかけしてしまいましたが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

　では、またご縁がありましたなら。

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