ちょっとバグった異世界召還～わりとよく死ぬラブストーリー～｜リアクション

ちょっとバグった異世界召還～わりとよく死ぬラブストーリー～

　白真白の朝は早い。

「いっけなーい、遅くなっちゃったー」

　少しずつ肌寒くなってきた秋の通学路を、小走りで進む。
　いつもと変わらない通学風景。
　遅れそうなのは学校にではない、登校の時刻には余裕で間に合う。

　では何に急いでいるのか。
　学校の授業が楽しみなワケではない、むしろちょっと憂鬱だ。
　けれど今日の彼女にはそれを押しても登校を急ぐ理由があった。
　それはこの時間、意中のひとに出会うためである。

「あ、見つけた！！」

　その意中の相手は車道を挟んで向こう側をてくてくと歩いている。高校生にしては相当に背の低い真白と同じくらいの背丈の女生徒、１年生のサキュバスちゃんだ。
　そう、いま真白は１つ年下のこれまた高校生には見えないルックスの夢魔、サキュバスに夢中なのだ。

「今日はラッキーだね！　いいことあるよ！　いやむしろこれ自体が『いいこと』だねっ！！」

　そう思った真白は愛しの相手に突進した。明るく前向きなのがましろの長所、周囲の見ずにサキュバスに駆け寄ろうとした結果――

「サ、キュ、バ、ス、ちゃー」
　ぐしゃ。

　――嫌な音をたてて大型トラックに轢かれることになる。

　――あなたはしにました――

このページにイラストを設定する