ボイスコンテンツ搭載！　大きな声を出そう！｜リアクション

ボイスコンテンツ搭載！　大きな声を出そう！

　12

「寝子高にも、なかなか骨のありそうなのがいるじゃない……」
　そのとき、車の中でじっと推移を見守っていた祖麩羅野が、マイク片手に立ち上がった。
「ちょっとだけ、お相手しましょうか」
「んーと、じゃあね」
　いよいよ立ちふさがるボスの前に、ひょいと現れる晴海飛鳥。
　マイク装備の巨漢相手に、どう立ち向かうのか。

「そもそも言葉ってのは、意思疎通のツールであって暴力装置ではないんだよ！」

　正論！
　正論ぶちかまし！

　思ってもみないド正論の直球に、祖麩羅野以下のチンピラがひるむ。
　飛鳥は単に言葉をブロック化するだけではなく、それを相手に飛ばすこともできる。
　単に声をブロック化するだけではない。
　その彼女が選んだ戦略――説得、そしてコミュニケーション。

「物理的破壊力なくても人の心ぐさりとやった挙句、自殺させてあわれな地縛霊を生むこともできるけど、そんな万能ツールをつかんで投げるなど一周回って、猿！　まさに猿！」

（ぐっ……）

　たしかに正論。
　ＳＮＳの盛んな昨今、言葉の重要さ、そしてそれに反する邪悪さは取沙汰されることも多い。

「面白いっちゃー、面白いけど！」

　莞爾と笑顔を向ける。

「でも暴力なんていつでもできるんだから、まずは楽しい使い方から考えてみようじゃないか！」

　見事な正論。ぐうのねもでないとは、まさにこのこと。
　しかもそれらが、高速でブロック化され、四方八方から乱れうちされるのだ。
　これが、本職のろっこんの使い手の力。
「……という言葉も、全部ブロックになって飛んじゃうのが、僕のろっこんの欠点でね」
　たしかに、このろっこんは「強力すぎる」。
　何も考えずにばらまいてしまえば、相手を怪我させるかもしれないし、遺恨だって残る。
　コミュニケーションを重視し、使いどころを狙った晴海の戦略勝ちだ。
「場合によっちゃ、倍増ししてるのかな、これ」
　こういう使い方のとき、いちいち数なんて数えないし。

「――やるわね。ぐっと来たわ、あなたの言葉」

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