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「その飛行帽、似合うね」
と
七夜 あおい
が笑う。
いや、結婚して八神の家に入ってもらったから、今は八神 あおいだ。
「そうかな」
言いながらも
八神 修
は、そうまんざらでもない気分なのだった。複葉機の時代の、パイロットが被っていたような飛行帽、修の頭に乗っている。ゴーグルもセットだ。アンティークショップで一目惚れして購入した。そのとき値札を見ずにレジに持っていったことを、ほんのわずか後悔している。
飛行帽の下は白いものが目立つようになった。ゴーグルで覆った目の、まわりの皺も年々深くなっている。といってもセスナ機に限れば、若い頃よりうまく飛ばせるようになったと思う。主観的な意見ではない。妻もそう言ってくれている。
晴れて良かった。
「そろそろ見えるぞ」
操縦桿から右手だけ離し、修は行く手を指さした。
「ほら、知床半島だ」
わぁ、とあおいが、実年齢よりずっと若くずっとピュアな反応を見せる。
こうやって空から眺めるのは何年振りだろう。
わずかながら残された自然の姿に、鮮やかな緑に、修の心は震えていた。
昨年、修は現役を引退した。
といっても最前線から身を引いただけで、著述や後輩の指導はある。講師の仕事も続けるし、そこそこ責務は残っている。
だから悠々自適、というのにはまだ遠いかもしれない。
とはいえエネルギッシュにかけずり回る毎日からは解放されたわけで、おかげで本日はこうして、セスナ機による夫婦水入らずの旅行に出る時間を苦もなく作ることができたのだった。
結局――と修は半生を振り返っている。
親とは違う道を進んだ。
まず、医者になるという夢を叶えた。
ここまではさして反対もされなかった。父親は修が、白い巨塔で名をあげたのちに政界に出るというルートを採ったのだと解釈したらしい。むしろ推奨すらされたくらいだ。医師会をバックにつけた権力は、これまでの八神の一族には欠けていた要素だ。
大変だったのはここからだ。
修は大学病院に残り、医療と研究を続けることに決めたのだ。政界進出についてははっきりと拒絶した。跡目を継ぐべきと主張する父親を説得するには長い時間が必要だった。
一時は、限りなく絶縁に近い状態にまで達したものの、最後には許してくれた父に今は感謝している。
その説得に至るまでの数年を、支えてくれたのが妻だった。
「じき着陸するぞ。シートベルトを着用するように」
はい、と従順にあおいは従う。実際に物理的な距離を取るわけではないものの、俗に言う『三尺後ろを歩く』を実践し、専業主婦として、内助の功に努めてくれた彼女なのだった。現在の自分があるのは、間違いなくあおいのお陰だと修は公言してはばからない。
なめらかに、そして正確にセスナは空港の滑走路に着陸した。
動体視力もまだまだ万全のようだ。
医者をやっていたからかな、この健康は。
と思いかけて、修はすぐに否定した。
いや、妻の力だな。
毎日のご飯や気遣い。時には研究で夜更かしするのを諌めてくれたり――。
「……あおいがいなければ、ここまでこれなかった」
ふと修はつぶやいた。それを聞いてあおいが笑う。
「あら? 一人でも、飛行機を上手に飛ばせられたんじゃないの?」
「いや、飛行機の話じゃないさ」
空港で、あらかじめ運ばせておいたマイカーに乗り換えた。
十年ほど前まではスポーツカーのハンドルを握るのを好んだが、このところは速度への興味が失せ、クラシックカー、それもオープンカーへと嗜好が移った。実際、ここ三台ほどはずっと、その手の自動車ばかり買っている。
この車もそうだ。英国で少量限定生産されたというフルオープンカー、ルビーのような赤い色、なめらかなフォルムも美しい。もちろん一般的な尺度からすれば目が飛び出るほどの価格だったが、修の資産からすれば予算内で買えた。
流すように走って、知床の湖で停める。
「歩こう」
あおいの手を取り、連れだって湖畔を散歩した。
「道もあるしたまに休憩する場所も……ほら、あった」
修が選んだベンチに、あおいはならんで腰を下ろした。
樹を割っただけのようなベンチというのがまた洒落ている。
ポストカードのような絶景だ。
鏡のような湖に、樹や山が映っていた。
「二つの世界が寄り添っているようだね」
「きれいだね」
あおいは目を細めている。
彼女も年を取った。髪は染めているし、肌つやも昔日には及ばない。
けれど今でも修の目には、あおいのありし日の姿が透けて見えるのだった。
「そうだ」
あおいはバッグから魔法瓶を取り出した。
「お茶、用意してきたんだ」
「ありがとう。何のお茶かな」
一口してすぐに修は気付いた。淹れたてのように美味だった。
「そうか。朝、ホテルでしていたのはこれだったのか……嬉しいサプライズだ」
黙ってあおいは微笑した。
彼女といると心がやすらぐ。
気持ちが若返る。高校生の頃に。
しばらく言葉を交わさず、じんわりと穏やかな時間をすごしたのち、
「それで……」
軽く咳払いして修は言った。あおいはうなずいて両手で修からカップを受け取り、お茶のお代わりを入れてくれる。
受け取って湯気を吹き、修は続けた。
「引退して、ちょっとは時間も取れるようになったし、これからはもっと、二人で色んな所に旅行しようと思う。これまでみたいに何年かに一度、欧州に二週間行ったりするのではなく、もっと頻繁に、近場にも」
「いいね。そういうのも私」
と言ってあおいはちらと修の表情を見て、
「好きかも」
穏やかに告げた。
「新婚旅行、ってアイデアはどうかな」
「新婚なの?」
「なに、新婚旅行ってのは、何度行ってもいいんだよ」
ふふふと修は含み笑いする。それを聞いてあおいも、無邪気に応じた。
「それでさ、次に」
修は、妻に問いかけるのである。
「あおいはどこに行きたい?」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年08月24日
参加申し込みの期限
2019年08月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年08月31日 11時00分
参加キャラクター一覧
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