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Color Your Future
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冷ややかなまでの静寂のなかに、烟(けぶ)るような緑の匂い。
ひたり。
ひとしずくの朝露を頬に受け、
都府楼 暦
は瞼(まぶた)をひらく。
空気に重みがある。湿度が高いのだ。霧雨のなかにいるかのような。
その一方で肌には、秋の涼しさを感じてもいる。
見上げる空は、粉状に砕いた骨の色。太陽の姿は薄膜の向こうだ。
――空?
自室で眠っていたはずなのに、どうして空が見えるのか。
身を起こした暦はそこがベッドではなく、やわらかで分厚い苔が、平らに茂った場所だと知った。ちょうど寝床のようになっている。
寝間着のまま裸足で立ち上がる。
緑。
緑。
緑、どこまでも。四方いずれも鮮やかな緑色だった。
森の奥にいるらしい。
細かな草が絨毯をなし、蔦の絡まった木々が頭を垂れている。枝にはちらほらと、白い花が咲いていた。
鳥の鳴き声が聞こえる気がする。
目を閉じて集中すれば、虫たちの気配にも触れることができた。
命溢れるほどに自然が満ちているのだ。
でも、と暦はつぶやいた。
「……あれだけ居た人間たちはどこに?」
素足の裏に湿った草の、ひやりとした感じを味わいながら暦は歩いた。
歩きながら、少しずつ昨日のことを思い出す。
寝る前に見たテレビでは、ある国と別の国の関係が最悪になって、いよいよ衝突は避けられないとか言ってたけど。
溢れるような眩い光で目覚めたあと、奈落の底に落とされたような闇と静寂が晴れて……。
気になることがあって暦はしゃがんだ。木々の根元を調べてみる。
これは、と声に出す。
「コンクリート建材の残骸?」
小川に近づき川底をのぞ込み、ゆらぐ白と黒の格子を見つめた。
やっぱりと思う。見覚えがある。
横断歩道がうっすら残ったアスファルトだ。
とすればこれは森ではない。少なくとも、かつて森だった場所ではないはずだ。
旧知の友を訪ね歩くようにして、暦はコンクリートビルの滝を見つけ、信号機を芯にした喬木に触れ、電車でできた稜線を歩いた。
森が、人間の文明の残滓を呑み込んでいる。
光と闇の明滅を境として、世界は、命溢れる森へと生まれ変わったのだろう。
暦の記憶にある『昨日』は、数日前だったかもしれず数年前だったかもしれず、ひょっとしたら数百年、数千数万年前のできごとだったのかもしれない。
この現象を、人類の増長に対する天罰だの地球の逆襲だのと捉える感傷は暦にはない。ただ、所与のものとして迎えるだけである。
薄緑の羽毛をもつ、鳩に似た野鳥が暦の頭上を越えていった。街中でよく見かける鳩とは体格と顔つきが違う。もしかしたら、かつて滅亡したオガサワラカラスバトかもしれない。
開けた場所にはソロハギの、薄紫の花が咲いていた。これも暦は図鑑でしか見たことがない。とうの昔に絶えたとされる種であったから。
蘇ったのだろうか。それとも、過去のものに類似しただけの、新たに生まれた種なのだろうか。いずれにせよまるで、昔からそこにいたみたいに闊歩し咲き乱れてるように暦の目には映った。
やがて、足を止めた暦の唇に微笑が灯った。
一頭の狼が、すっくと立って彼女を見つめていたのだった。
銀色の美しい毛並み、黄色い瞳、太く垂れた尾。
日本から狼が絶滅して久しい。けれどもその存在を、おかしいとは思わない。
怖いとも思わない。
狼は暦を見ても、襲ってくることはなかった。
そればかりか、黙って背を向けたのである。いくらか進んで、止まって振り返る。「ついてこい」と言わんばかりに。
「ええ、喜んで」
暦は小走りで狼に追いついた。
当初、狼と暦は縦一列で進んでいたが、いつしか友のように、肩を並べて歩いている。
陽が中天を越えるころ、狼は、ある建物の跡にたどり着いた。
「私を招いたというわけですか?」
かつては教会だったのだろう。植物に覆われ森の一部になっているようだが、緑の間から白い十字架が飛び出しているのがわかる。
「ここで、残された命と自然を見守る天使にでもなれというのでしょうか……だとしたら、悪い冗談ですね」
狼は返事をするかわりに、黙って入り口をくぐった。
わずかなためらいの後、暦はその後を追ったのだった。
かくして行き着いたこの地で暦は、無数の朝と夜を重ねた。
最初こそ数えていたものの、詮無きことと悟ってこれを放棄している。
生まれ変わったこの世界と、そこで暮らす生命すべてを慈しみ、愛した。ときとして記録者となり、ときとして埋葬者となる。巫女のような役割を演じることも珍しくない。
何年も経ったが、不思議と姿形は変わらず、体調は昔よりよくなったくらいだった。
だがいくら時間が流れようとも、暦が人間に出会うことは一度もなかった。
毎晩、眠りにつくたび暦は思う。
悪夢なら、次の目覚めで醒めてほしいと。
けれどでも、目の前の自然もいとおしいと。
この夜が明けたら、私はどこに居るのだろう。
―*―*―*―*―
―*―*―*―*―
――『Color Your Future』 了
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あとがき
担当マスター:
桂木京介
ファンレターはマスターページから!
桂木京介です。
通常とは異なるifの世界の物語、いかがだったでしょうか?
どの方も、眩しいくらいのアクションを送って下さりありがとうございました。それぞれのキャラクターだけそれぞれのifがあり希望があります。いずれが是でいずれが非ということはありません。すべて『あり得る』未来だと思って頂ければ幸いです。
ご参加ありがとうございました。
ご意見ご感想お待ち申し上げております。いつも書いておりますが、いただいた感想こそが私の原動力ですので……なにとぞお願いいたします。(最近少ないのです)
それではまた、新たなシナリオでお会いできるのを楽しみにしています。
桂木京介でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年08月24日
参加申し込みの期限
2019年08月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年08月31日 11時00分
参加キャラクター一覧
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