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さして大きな店ではない。
テーブル席は三つしかないし、カウンターを含めても、団体客を招く余裕はなさそうだ。
でも店にしつらえた、グランドピアノは不相応なほど立派だった。あるピアニストが引退する際、ただ同然で譲ってくれたものである。古いがしっかりメンテナンスされており、いつだって極上の音色を響かせることができる。
壁にも凝った。カーペットだって厳選した。レコードをかけても生演奏でも、最高の音質で楽しめるように。スピーカーの配置だって慎重を期したから変な反響はしない。この店のターンテーブルに乗せれば、たとえ戦前の古いレコードであっても、目の前で演奏されているような臨場感を得られよう。
鏡をもう一度見て、蝶ネクタイが曲がっていないことを確認する。
ふっと笑む。笑みがぎこちないような気がして二三度やり直す。
プロとして立った初ステージ、あのときより緊張していた。
いよいよオープンだ。
市橋 誉
は、高校生の時からの夢をかなえることができたのだ。
「来たぜー」
無造作に片手でドアを押し開け、
詠 寛美
が姿を見せた。
出会った頃から幾年月、あいかわらず口調こそぶっきらぼうだが、寛美もすっかり大人になった。いつも不満げに歪めていた口元もいまは穏やかで、カールのあるショートボブも、印象を随分やわらかくしていた。
「へー」
寛美は店内を見回した。
「こないだ来たときと全然ちがうな! すっかりジャズ喫茶じゃん」
口調があいかわらずなのは、馴染みの誉が相手だかららしい。日中の仕事では、『実家にいた頃の口調』を演じていると言っていた。
「明日オープンなんだってな。今日は店、紹介してくれるってわけだ。人気出たらいいな」
スツールを引いてカウンター席に着く。
「ちがうよ」
誉は、とっておきのいたずらを思いついた子のような笑みを浮かべた。
「オープンは今日だ。いらっしゃいませ、ようこそ」
「いやでも」
寛美は言う。
「外のポスターには明日の日付が入ってんぞ。ネットのページにも」
インターネット? わからん! とか言っていた高校時代の寛美が、ふつうにこんなことをいっているのも可笑しいといえば可笑しいが、もちろん誉の笑みはそれが理由ではない。
「あえて公開情報は一日送らせた。最初の客になってほしかったんだ、詠に」
「おいおい」
寛美は鼻の頭をかいて、照れくさそうに言う。
「ふたりっきりのときは『寛美』でいいってことにしてるだろ……誉」
「悪い。改めていらっしゃいませだ。寛美」
「じゃ、最初の客らしくもてなしてもらうとすっかな」
お気に入りのレコードをかける。ちゃんと寛美が「これ好きだな」といった作品だ。そうしてカウンターに、彼女のためのメニューを置いた。
「うーん、美味え」
シャキシャキのレタスに甘いトマト、カリカリに焼いたベーコンを挟んだBLTサンドイッチ。それに、たっぷりサイズのアメリカンコーヒー、寛美の好みは知っている。
胸が高鳴る。
さっきだって誉は、ソーサーを置く己の手がかすかに震えているのを自覚していた。
寛美がちゃんと来てくれて、音楽も食事も気に入ってくれてくつろいで、自分にしか見せない顔と口調と、名前呼びを許してくれている。最高に幸せだ。
――それなのに俺は、彼女を目の前にして、喉がカラカラになるくらい緊張している。
彼女に気付かれないよう、そっと胸ポケットを右手で押さえる。
エンゲージリングは、変わらずそこにある。
たてつづけにかけたのは昔のEP盤レコードだったから、両面かけても録音時間は短い。
「ピアノを弾こう」
誉は立って、演奏用のピアノの椅子を引いた。
詠を想いながらピアノを弾けば、答えが見つかる気がしたからだ。
まず短く、ポーンと一音立てた。空気に、音の粒子が溶けていくようないい音色だ。
即興で、短い楽曲を弾いた。笑ってしまうくらい楽しく甘く、でも切なくて愛おしい曲を。
彼女に、この心が届くように。
ピアノの音色を恋文に代えて。
「いいね」
パチパチと寛美が手を叩いた。
「やっぱ誉は天才だよ」
「そんなことないよ」
違う、と誉は思う。
仮に俺が天才だとしたら、その才能の源は、寛美だ――。
ああ、やっぱり俺は、詠が好きだ。
離れたくない、離したくない。
心から。
決意、できたと思う。
もう一度短いフレーズを弾いて、終わらせ。
すぅと一息ついて誉は立った。
目を見て、まっすぐに伝える。
「詠、君が好きだ。俺と……結婚してください」
そうして彼女の前に跪き、ポケットから指輪を取り出した。祈るような気持ちで差し出す。
数秒、寛美は言葉が出てこない様子だった。それで、
「
ぉ……おいっ!
」
ようやく出したのが、らしさ全開のこの叫びだった。
「馬鹿ッ! そういうの不意打ちって言うんだ……きゅ、急にンなこと言われたって……!」
誉は茶化さない。じゃあ日を改めて、なんて言わない。
ただ寛美の回答を待った。
「……ょ」
蚊の鳴くような声で寛美は言った。
「すまん、今なんて言った?」
「
いいよ、って言ったんだ!
何度も言わせんな!」
また怒る。だけど誉は十分すぎるくらい知っている。これが寛美の性格なのだと。本当は嬉しくてたまらないのに怒る。馬鹿とか言う。なのに最後には、「しょーがねえから許してやるよ」などと言う。それが寛美だ。そんなところが好きなのだ。
だが今日は様子が違った。
指輪を渡そうとした誉の手に、ぽたりとひとしずく落ちたのだ。
「アホ……泣いちまうだろうが……こんなことされたら……」
寛美の涙なら過去にも見たことがある。だが今日のはやや異なっていた。彼女は膝を折って誉の目線の高さになり、めそめそと子どものように目を拭ったのだ。あとからあとから涙がこぼれてくる。
「すまん、まさか泣くなんて……」
「誤るなら最初からやるな、バカ。もう……目が曇って指輪、受け取れねーよ。填めてくれ……ほら」
誉は震える手で寛美の薬指に指輪を通した。そして両手で、彼女の手を包み込んだのだった。
「詠、笑ってほしい。俺は君の笑顔が大好きだから」
「だったら笑わせるようなこと言えよう……」
「えっ……え、ええと、じゃあ……子ども、何人ほしい……とか……?」
「
オイ! いきなりそんな話か!
」
だが寛美は笑っていた。そうして夢中で、誉の唇に自分の唇を重ねたのだった。
「……さんにん、かな……」
唇が離れて最初に、寛美が告げた言葉だ。
告げるのが恥ずかしいのか、彼女は視線を外していた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年08月24日
参加申し込みの期限
2019年08月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年08月31日 11時00分
参加キャラクター一覧
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