this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
Color Your Future
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
…
15
つぎへ >>
特に興味があったわけではない。
森篠 琳子
が『クラン=G』を訪れたのは、バイト先の同僚に誘われたからだった。
「面白い店があってね」
と同僚は言った。元々ファミレスだった場所を居抜きで買い取って、ゲームやプラモデル、書籍を販売するホビーショップに改造したものだという。規模からすれば寝子島最大のホビーショップだろう。
大きなわりには整然した店内を、ぽつねんと単身、なんの気なしに眺めながら歩く。やがて琳子はボードゲームの棚で足を止めた。国産・海外産問わずたくさんのゲームの箱が、ところ狭しと並べられている。けれど妹に遊ばせるには対象年齢が高すぎたり、あきらかに男の子向けだったりする。
呼ぶ声が聞こえた。同僚だ。
新しいゲームの試遊会があるから参加しないか、というのだった。
「自分の未来を想像して遊ぶ、ねえ」
参加してみることにする。カードを受け取り店員の説明を聞いた。
―*―*―*―*―
琳子を受け持った教師たち、とりわけ進路指導教員は熱心に、彼女に進学を勧めてくれた。あなたの成績なら軽王大学経済学部や早稲畑大学政経学部に現役合格できると、願書提出期限のぎりぎり頃まで言われたものだ。
でも琳子の回答は同じだった。
「ありがとうございます。ですが父を二年前に喪い、母子家庭でまだ幼い妹がいる以上、もう親の脛は囓れませんので」
子どもが小学校に上がれば楽になるよ、と年長の友人には言われたものだ。しんどいのもそこまでだって。
半分は当たっていたと思う。でもやっぱり半分だ。
フィジカルな意味での『しんどさ』はたしかに娘の入学式とともに半減したかもしれないが、メンタル的な意味ではむしろ増えたかもしれない。娘に手がかからなくなった反面、仕事上の責任と負担が増したからだ。
それに朝の慌ただしさはこの十年、ずっと同じだ。
「割烹着っ」
玄関で悠衣に追いつき、琳子は白い袋をつきだした。娘の
悠衣
は寝子小四年生、全般的にしっかり者なのだが、なぜか給食関係に限って忘れ物が多い。うんと言って受け取る悠衣を「ほらもう四十五分よ」と急かして送り出す。
「今朝は俺も先行くわ」
入れ替わりに夫の
覚
が、玄関にあらわれ靴べらを手にした。
「朝イチで調整会議があんねん」
「会議?」
「昨日の晩ゆうたやん。アレや、商工会議所の担当者変更のやつ」
「ああ、前任者が鬱で退職したからっていう」
「そーそー、準備せなあかん資料がよーけあってな。じゃ、先行くでマジすまん。夕食までにはゼッタイ帰るから」
ほな、と言って覚は靴べらを傘立てに放り込み慌ただしく出て行った。彼は寝子島に来て二十年になるというのに、いまだに芸人みたいな関西弁が抜けない。妙に丸みのある彼のアクセントが苦手で、当初琳子はこの先輩のことを敬遠していたのだが、それも今は昔の話だ。
バタンとドアが閉じるとともに、琳子は静かに息を吐く。
けれどもそれも一秒のこと、今度は自分の用意をすべく寝室に飛んで戻るのだ。
高校卒業後に就職してから十五年が過ぎた。
三十三歳の琳子は、いまも寝子島信用金庫に勤務している。
現在の姓は秋沢、四歳歳上の夫とは、二十二の秋に職場結婚した。
一年後に娘を出産。悠衣と名付けた。産休と育休をとり職場復帰している。
職場内では夫は営業課の課長補佐で、彼女は経理課の主任である。いわゆるダブルインカムなので生活に困ることはない。
パンプスに足を入れ玄関に施錠したところで、通知が来ていることに気付いた。妹の奏子からだ。
『週末OK』
端的な内容だが十分通じている。会計大学院に通う奏子が、週末に悠衣を遊園地に連れて行ってくれるというのだ。琳子からすれば九歳年下の妹である奏子に悠衣はよくなついており、なにかといえば叔母と出かけたがる。ファッションや興味のセンスが近く、憧れているのだという。
『今日は六時前には行けると思う』
という一文もあった。
パンダが大きく輪を作っているアイコンで奏子に返事し、徒歩圏内の仕事先に向かって歩く。
よく晴れている。ようやく秋めいてきた風が気持ちいい。
いい場所に引っ越せたと思う。勤務先まで近く、娘の学校も近い。
今日はややこしい案件が午後にあるとはいえ、気合いを入れてかかれば定時のうちに終えられそうだ。
子育ても一段落して、仕事もそれなりに順調。
一般的に言えば充実した人生といえるだろう。家族にも恵まれた。
だけど――。
この幸せがいつまで続くだろうか。
砂の上に築いた安定であり幸福ではないのか。
ついネガティブな方向に考えてしまう。
かつての自分、その家庭生活を思う。
父の急死で経済的に苦しくなり、妹も幼かったので進学を断念した過去を。
たとえば夫が倒れたら。
たとえば娘に難病が見つかったら。
たとえば勤務先が経営破綻したら……。
ちょっとしたきっかけで、今の生活などあっさりと覆ってしまうのではないだろうか。
いつの間にか琳子は足元を見つめている。緋色と茶色、あちこち綻びたコンクリートのアラベスクを。無機質な模様が、せせら笑う道化師の顔のように見えてくる。
――いけない。こんなことを考えちゃ。
琳子は首を振った。
夫も娘も心配する。
まして今日は、と気を取り直したとき、琳子の顔は空を見上げていた。
娘の十歳の誕生日なのよ。
自分に言い聞かせる。
暗い顔をしちゃダメ。
胸を張って歩き出す。
背中を押すかのように、風は追い風に変わった。
その夕方、早く帰宅した琳子は妹を迎え、忙しく食事の準備をしていた。ゆで卵の殻を剥きながら問いかける。
「オーブン見て。どんな様子?」
「んー? 大丈夫よ」
「焼き具合を教えてよ」
「まあ、ぼちぼちってとこ?」
「もうちょっと具体的に……あと十五分くらいとか……」
もー、と声を上げて琳子はオーブンをのぞいた。チキンの丸焼きは、妹の口調さながらにゆっくりと回っている。
「よし、いい感じ」
うなずいてサラダに戻る。砕いたゆで卵を均等にまぶしていった。
「さすが琳子ちゃんよねー。玄人(くろうと)裸足って感じ」
妹は大人になってから、琳子のことを『琳子ちゃん』と呼ぶ。
ホテルのシェフなみに見事な盛りつけだった。ドレッシングだって自家製だ。
「おだてたってダメよ、手元がお留守じゃない?」
「あー、はいはい」
言われて仕方なく、奏子はフライ返しを手にした。手製のハンバーグを裏返していく。
「あたしが手伝わなくたって、琳子ちゃん一人いれば十分なんじゃない?」
そうじゃなくて、と琳子は言う。
「奏子には覚えてもらうために来てもらってるの。あなたも少しぐらい料理作れるようにならなきゃ」
へーい、と奏子は、わかっているのかわからないのか曖昧な返事をした。
やれやれ、と悠衣は嘆息する。妹のことを気にせず済むのは、いつのことになるだろう。
―*―*―*―*―
紙とボードで形成されただけの『未来』だというのに、琳子にはこれまでのやりとりを、実際にその場にいたようにありありと感じ取ることができた。
ふう、と息を吐いて言う。
「未来の私は……それなりに幸せ、なのかな」
それにしても、と思うのだ。
奏子ったら、とても美人だった……。
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
…
15
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
Color Your Future
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年08月24日
参加申し込みの期限
2019年08月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年08月31日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!