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迎えた結婚記念日を指折り数えると、今年でちょうど、手を握りこんだかたちになる。
五回目。あっという間の、けれども充実した日々だった。
けれど挙式の記憶ならいまでも、昨日のことのように思い出せる。
でも去年は、と
御巫 時子
は思う。
忘れられてて落ち込んだんですよね……。
薬指の指輪を黙ってなぞった。
今年は――?
ちらっと夫の部屋をのぞいて声をかけた。
「尚輝さん、準備できましたか?」
もうすぐ時間ですよ、と告げると、
「えっ!?」
五十嵐 尚輝
は慌てて、読みかけの学術誌を机に伏せたのである。まだ着替えの途中だというのに、目に入って読みふけっていたらしい。
「ほら、急がないと遅れちゃいます」
「す、すいません、つい……」
ハンガーに手を伸ばす彼の髪は、後頭部がピンとはねている。
もう出会ってから十年以上経つのに、まだまだ尚輝は尚輝なのだ。時子はそんな夫を愛おしく思う。
「ネクタイ曲がってます。あまり遅いと待たせてしまいますよ」
簡単に尚輝の襟元を直して外に出た。
もう秋も後半にかかるところだが陽射しは強かった。
お揃いの日傘を差し、ならんで歩く。
尚輝が羽織っている上着は時子が選んだものだ。髪はところどころ白くなっているものの全体的なボリュームはあいかわらず多い。
「会えるの楽しみですね」
時子が言うと、
「そうですね」
尚輝はうなずいた。
今日は、数年ぶりに帰国する
今道 芽衣子
を寝子島駅まで迎えに行くのだ。
寝子島中学での教員を勤めたのち、芽衣子はふたたび研究者の職を得て渡米した。日本での経験ではずみがついたのか、かつてをしのぐ活躍をしているという。さきほど尚輝が手にしていた学術誌でも、ときおり芽衣子の記事を読むことができた。あと一年で、念願かなってテニュア(大学教職員の終身在職権のこと)を獲得できる見込みだという。
「最近では電話でしか話せていないので、直接会えるのが嬉しいです」
「そういえば」
尚輝が言った。
「結婚式のあと一度会ったきりでしたね……」
そして彼は、なんとなく秋晴れの空を見上げている。
壮行会という名の送別会となったのである。むろん芽衣子の渡米は望ましいことではあったが、水で割ったシャンパンのような、どこかしんみりした席になったことが忘れられない。
駅についてすぐ、列車が到着した。
「時子ちゃん! 五十嵐君も!」
スーツケースをごろごろいわせて、芽衣子が姿を見せた。芽衣子は軽やかに駆け寄って、時子にハグをする。
「超お久しぶり! 元気だったみたいね!」
「おかえりなさい。芽衣子さんも、お変わりなく」
ぎゅっと抱き合って今度は、芽衣子は尚輝に腕をひろげる。
「ほら、五十嵐君も」
「あ……いや、僕は……」
「もー、お互い恥ずかしがるようなトシじゃないでしょ? アメリカ式よアメリカ式」
マネキン人形のような硬い動きで応じた尚輝の背を、芽衣子はとんとんと叩いたのだった。
「うらやましいよ。五十嵐君のところが夫婦円満みたいで」
「ええと……」
聞きにくいことですが、と時子は切り出した。
「芽衣子さんが一緒に暮らしてらしたかたとは……?」
「うん、別れた」
少し前まで芽衣子は、ジャズドラマーをしているという中国系アメリカ人と暮らしていたのだった。相手の顔写真は、SNSで見たこともあった。
「やっぱ芸術家ってのはマイペースすぎてねえ……。まあ、お互い入籍するつもりもなかったわけだし、さっぱりした別れだったよ」
なので現在も芽衣子は独身というわけだ。あっけらかんとした口調からして、引きずっているものがあるわけではなさそうだ。
コメントに困ったらしく、尚輝はしばらくもじもじしていたが意を決したように、
「じゃあ案内しますね」
と、先に立って歩き出す。三歩ほど行ったところで足を止めて、
「あ、そうだ。荷物、お持ちします」
時子が指摘するより先に気がついたようで、遠慮する芽衣子から尚輝はスーツケースを受け取った。
ごろごろいうスーツケースの車輪に続いて、時子と芽衣子は久闊を叙す。
「疲れてないですか?」
「大丈夫大丈夫、あっちの学会で飛行機移動には慣れてるから。サービス的には、日本の航空会社のほうがずっといいしね」
それはそうと、と芽衣子は小声で、時子にだけ聞こえるように言った。
「……よかったのかな、お邪魔しちゃって。今日、二人の結婚記念日でしょ?」
「覚えていてくださったんですか!?」
あわせて小声だが、時子は目を見張ってしまう。
「そりゃそうよ。私、式でスピーチもしたし」
友人代表として――と言い、へへへと芽衣子は笑った。あのときのスピーチ映像は、いまでもビデオで観ることができる。
「時差の関係でうっかりしてたけど飛行機のなかで気付いて……だから今日は、早々にさよならするつもりだから」
「そんな、気にしないで下さい。実を言うとあの人、昨年のこの日のことはすっかり忘れていたくらいなんです」
あの人、という言い方に年月の重みがあった。
「そりゃいけない。だったら五十嵐君に私がひとつお説教を……」
と腕まくりしてみせた芽衣子に慌てて時子が「そんなお気遣いは……」ととめた瞬間、彼女は肩をすくめたのだった。
「冗談、冗談よ。わかってるって、just kiddin'。私が本当に五十嵐君を叱ったとしたら、むしろ時子ちゃんは悲しくなるだけでしょう?」
「そうですね……そう思います」
「私は、そんな野暮はしないから」
それに、と芽衣子は時子の耳に唇を寄せた。
「私の知っている五十嵐君なら、今度は絶対、忘れてないと思うよ」
このとき、
「ああそうだ、今道さん――」
と尚輝が振り返ったので、この話はここで立ち消えとなった。
それから自宅に芽衣子を迎え、語らいの時間を過ごした。
お茶に和菓子でもてなすと、
「こういうのに飢えてたの……! やっぱねえ、和菓子は日本のが最高じゃない?」
と、芽衣子はいたく喜んだのだった。
話題は主に近況の交換、仕事の話、共通の知人の話などだ。話しているうちに、あっという間に時間が経ってしまった。
「じゃあ、私はタクシー拾ってホテルに帰るから」
また明日、と芽衣子は席を立つ。宣言通り、まだ夕食にもずいぶん間がある時間帯だ。尚輝は引き留めようとしたが芽衣子は、
「明日、三人で水族館に遊びに行く約束じゃない。時差ボケのおばさんは早く寝るわ」
軽くいなして、見送りも断ってドアに向かった。
「じゃあまた。明日は駅でね!」
芽衣子が去ると急に静かになった。
「今日は……」
言いかけて、両手を合わせ伸びをした時子にかぶせるように、
「楽しい結婚記念日でした」
尚輝が言った。
「覚えていてくれたんですね……」
「去年は後から気付いて、深く反省しましたので」
ふと時子の頬が緩んだ。
「お詫び、といってはなんですが、今夜は外食にしませんか。じつは、ちょっと素敵な海沿いのレストランを予約しておりまして」
素敵な、という言葉の言い方が妙にぎこちない。どうもこのセリフ、事前に尚輝は用意していたようである。いささかリハーサル不足のきらいはあるが。
「ど、どうでしょう?」
もう噛み嚙みだったりするけれど、むしろ時子はそれを好もしく思う。
五回目の記念日、まだまだ彼は、彼のままだ。いつだって時子をときめかせてくれる。
喜んで、と時子は両手で尚輝の手を取るのだった。
そして彼女は密談するかのように、こっそりと告げる。
「……私はそろそろ赤ちゃんが欲しいですね」
時子の頬は赤らんでいた。
もちろん、尚輝だって。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年08月24日
参加申し込みの期限
2019年08月31日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年08月31日 11時00分
参加キャラクター一覧
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