【体育祭2nd】アニマル☆スター、熱く翔る！｜リアクション

【体育祭2nd】アニマル☆スター、熱く翔る！

　組対抗リレー
　第一走者が集まってきた。その中には水上桜の姿があった。真剣な表情で手にしたバトンを見詰めている。
　――最初から全力は出さないわ。まずはスタートダッシュを決めて勢いに乗らないとね。
　体力と相談しながらスピードを上げて、最後に賭けるわ。
　桜は自身が走るコースを眺めた。合間にバトンを差し出すような動作を繰り返す。
　スターターが現れた。集まった全員がスタンディングスタートの姿勢を取った。
　――最高のスタートを決めるわ。
　桜は耳に意識を集中した。数秒の間を動かず、じっと耐える。
　発砲音を耳が拾う。瞬間、桜は水泳部で鍛えた脚力を活かし、飛び込むように走り出す。僅かな反応の差で一位となった。厳しい追い上げで三位と順位を下げる。
　――焦りは禁物よ。あと、少し。
　大きなストライドで追い掛ける。距離が少し縮まった。
　桜は歯を食い縛って全力の追走に移る。肩が触れ合うくらいの近さで三位を外側から抜いた。先頭の背中まで目測で二メートル弱。
　第二走者が見えてきた。先頭の速度が落ちた。桜は横に並んだ。並走した状態で第二走者にバトンを無事に渡す。
　役割を終えたことで一気に表情が緩んだ。加速する第二走者を見ながら、任せたわ、とにこやかに言った。
　桜の健闘もあってチームは同着一位の好成績を収めた。