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贅沢な時間
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星ヶ丘寮に朝陽が降り注ぐ。
椿 美咲紀
は庭を一望できる場所に立っていた。袖を捲り上げて七分丈のズボンを穿いている。被っていた白い帽子の鍔を上げて青い空を眺めた。
「……残暑が厳しいのです」
呟いて再び庭に目を移す。家庭菜園の範囲を超えた各種の野菜が植えられていた。実りの秋に相応しい成果を挙げて収穫の時を待っている。
オクラは太く、伸ばした尖端を方々に向ける。キュウリは肥料が行き届き、真っ直ぐに伸びた。ナスは刺々しいヘタと限界まで膨らんだ実で鮮度の良さを主張した。シシトウは緑の金属のような光沢を放つ。整然と並ぶトウモロコシは二の腕くらいの太さで零れ落ちそうな状態にあった。
収穫の労力は計り知れない。美咲紀は薄ら笑いに近い表情で口にした。
「……本当に厳しいのです」
現実逃避した目は青い空へと向かった。
朝陽の中、
八神 修
は眩しそうに目を細めて星ヶ丘寮に帰ってきた。空の色を吸い込んだような長袖シャツに亜麻色のチノパンツを穿いていた。
エントランスの建物を素早く抜ける。邸宅の合間の階段に足を掛けた。途端に勢いは落ちて緩慢な動きとなった。
――今日の会合は予想よりも早くに終わった。余った時間は物理の勉強に充てるか。あの問題集も今日中には終わるだろう。
自身の立てた予定に笑みを深める。
「急ぐか」
力強く階段を上がっていく。
横手の邸宅に目が向いた。白い帽子がちらちらと見え隠れしている。修は階段を早足で上がって覗き込む。両手にトウモロコシを持った美咲紀が畑の中を忙しなく動いていた。
「豊作だな」
「え、シュー君? もう用事は終わったの?」
「ああ、意外と早くに片付いたよ」
修は余裕の表情を見せる。美咲紀は小走りで近づいて目を潤ませた。
「時間があったら畑の収穫を手伝って欲しいのです! お礼はお野菜の現物支給で!」
「収穫の手伝いか」
修は美咲紀の背後にチラリと目をやる。
――二人で協力すれば小一時間くらいか。取れ立ての野菜は魅力的だ。足腰の鍛錬にもなると思えば悪くない。
修は爽やかな笑顔となって快諾した。
美咲紀は引き続き、トウモロコシをもいでいく。修は剪定ばさみでナスの収穫に励んだ。
「シュー君のおかげで助かったのです。現物支給はこちらも助かるのです」
「そうなのか?」
「作り過ぎて食べ切れないのですぅ」
美咲紀は茶目っ気のある笑みを見せた。
「……そこまで多いかな」
修は手の中のナスを見た。
――新鮮な間に食べ切れないのなら、漬物にすればいい。キュウリもそうだ。
不思議に思いながらも手を動かした。ナスの収穫を終えてシシトウへと向かった。
修の予想した通り、小一時間で全ての収穫を終えた。種類別に並べられた箱の中の収穫物を見下ろし、首筋に手を当てた。
「汗も出てないか」
視線を上げた。意識を周囲に広げる。美咲紀の姿が見えない。目で探していると一方から声がした。
「シュー君、用意ができたのです! こっちですよ!」
「何の用意だ?」
不審に思いながらも美咲紀の元に向かう。庭を出て邸宅を回っていくとトラックが横付けされていた。
「出掛けるのです!」
「え、俺も?」
トラックの運転席には使用人がいた。その隣に美咲紀が乗り込む。修は呼ばれるままに座席に着いてドアを閉めた。
「出発なのです!」
美咲紀の声を受けてトラックは走り出す。
「……何だ、この状況?」
腑に落ちない様子の修は流れる景色に答えを求めた。
閑静な住宅街を離れ、寂しい風景に変わってゆく。幾つかの道を曲がって到着した。
修は放心した状態でトラックから降りた。目頭を揉みながら軽く頭を振る。強い瞬きのあと、前を向いた。
青々とした農作物が視界全部を埋め尽くす。家庭菜園を遙かに超えた田畑が広がっていた。
「え、どこ? これって畑だよな」
「全部ではないのです。あの端からあそこの際までが私の畑なのです」
横に並んだ美咲紀が手で示す。修は引き攣った笑いを止められなかった。
「まさかとは思うが収穫の手伝いは、ここも入るのか?」
「その通りなのです。二人で収穫をがんばるのです!」
美咲紀は笑顔で言い切った。修は泣きそうな表情で口角を上げた。
「どうして、買ったんだ?」
「庭だけだと足りなかったのです。もっとたくさんの野菜を育てたかったのです。少し狭いのですが、お小遣いで買えて良かったのです」
修は唸り出しそうな顔となる。
「理由はわかったが、狭くはないだろう。お小遣いで買えるのが恐ろしいところだな」
「地平線が見たかったのです。お小遣いはシュー君とあまり変わらないと思うのですです」
「地平線は水平線と同じで丸いから。ネイチャー番組を観て我慢しよう。あと俺の金遣いは荒く……まあ、フリーダムではあるか」
修は息を吐いた。広々とした畑にはカボチャが含まれていた。大人の顔くらいの大きさでゴツゴツした表面は金属の塊のように見える。
「腰にきそうだ」
「忘れていたのです!」
美咲紀はトラックへと走った。荷台に載せていた大型のクーラーボックスを両手で運んできた。すぐに引き返し、麦藁帽子と軍手を手にした。
「今日は暑さが厳しいので冷やしたスポーツドリンクを用意したのです。凍らせたおしぼりもたくさんあるので必要な時に使って欲しいのです。それとこれはシュー君の帽子と軍手なのです」
「収穫の手伝いというよりも農家になった気分だ」
修は麦藁帽子を被り、軍手を嵌めた。
「愚問とは思うが、農機具は?」
「ないのです。手作業でないと収穫できないものばかりなのです」
「そうなるか」
「農具はあるので好きなのを選び放題なのです」
使用人は荷台から一通りの農具を抱えて地面にずらりと並べた。クワや剣先スコップを見た修は力なく笑った。
「とんでもない物が混ざっているな」
「畑仕事は体力勝負なのです!」
一言で話が終わった。
二人は収穫という死地へと足を踏み入れるのだった。
大気が揺らぐ。修は汗に塗れた。収穫の為に屈むと膝が笑う。唐辛子を摘まむ指が震えた。収穫鋏で切り取って足元の籠に入れる。
「……身体が、溶けそうだ」
腰を伸ばす。首に掛けていたおしぼりを引き摺り下ろした。
「これだと、お湯のおしぼりだ……」
修は虚ろな目で引き返した。クーラーボックスからスポーツドリンクを取り出し、キャップを捻る。口を付けると一気に飲み干した。凍ったおしぼりを開いて首に掛けた。
「ここは天国か」
心の底から湧き出す歓喜で語尾が震えた。
「……地獄に戻るか」
生気のない顔で畑に入っていく。美咲紀の笑顔が目に付いた。右手に黄色い塊を握っている。
「大きいパプリカが獲れたのです!」
「俺は命が、刈り取られそうだ……」
修は麦藁帽子を深く被り直す。口を閉じて唐辛子の収穫に当たった。
太陽が頂点に達すると使用人が二人に向かって声を張り上げた。
「バーベキューの用意ができました!」
美咲紀は駆け足で戻る。修は顎の汗を拭いながら歩いた。
「……まだ、走れるのか」
沼地を進むような足取りで帰り着く。コンロの網には収穫した野菜と分厚い牛肉が程良く焼き上がっていた。
「ひゃやくたへるのれす(早く食べるのです)」
美咲紀は肉汁が染み出したテカテカの唇で言った。
「……俺は冷たい麦茶を貰うよ」
使用人が素早く動いてペットボトルを差し出した。飲む前に修は額に当てた。生き返る、と口にしてようやく中身に口を付けた。
「お疲れ様なのです。日中に畑に入るのは危険なのでやめましょう」
「ようやくか。本当に良い運動になったよ」
「しっかり栄養を付けて夕方に獲り尽くしてやります。適度な疲れで晩御飯も美味しく食べられるのです」
力説した直後、美咲紀は焼けた牛肉を箸で摘まんだ。
修は仰け反るような格好で空を見た。
「ああ……太陽が、落ちてきそうだ……」
儚い笑みで呟いた。
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あとがき
担当マスター:
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから!
贅沢な時間を過ごせたでしょうか。
趣味の時間を楽しく過ごした人がいました。
相手のことを想い、手作りのお弁当を届ける人も。
二人の気持ちは一つ。絆を強めた人達もいました。
食材集めから始めた、食欲の秋もありました。
恋人同士の甘い一時を過ごし、最後は湯煙の中で。
実りの秋は収穫が大変で限界への挑戦となりました。
それぞれが持ち味を出した一日になったと思いたい(願望)!
切に願いながら
あとがき
とさせていただきます。
今回のシナリオへのご参加、ありがとうございました。
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担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月23日
参加申し込みの期限
2019年07月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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