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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
暴け！ 大人だけのヒミツの暗号
やっと、やっとだ。
古書喫茶『思ひ出』が、悪の秘密結社だと騒いでいた少年探偵団が真実にたどり着き、暗号を解読した。
それぞれがオーダー用のメモ用紙に同じ数字を書き、文也のもとに集まる。
「解読者限定メニューのっ！」
「ここあふろーちょ！」
「シロップたっぷりのホットケーキっ」
「「「くーださいっ！」」」
嬉しそうに揃った三人の声に、店内は祝福の拍手に包まれる。
普段は手のこんだ料理を提供しない文也も、この注文には何もしないわけにはいかない。
「ちょっと時間がかかるけど、本でも読んで待っておいで」
まずはセルクルをフライパンに並べて温めながら、メレンゲをしっかり泡立てる。子供たちが暗号に奮闘している際に計量してふるっておいた粉類と牛乳、それからヨーグルトをほんの少し。手際よくさっくりと混ぜ合わせ、フライパンにバターを投入。じゅわりと溶け広がり、客席まで香りが漂えば生地を入れる頃合いだ。
ここまでくれば、暫し蓋をし弱火でじっくり。ホットケーキの焼き上がりはキッチンタイマーに任せて、次はココアフロートの準備だ。
鍋を焦がさぬように軽くココアパウダーを炒って、少量の水を加えてよく練って……匙を投げ出したくなるが、今日のところは我慢だ。丹念になめらかなペーストまで練れば、あとはゆっくり牛乳でのばしていくだけ。
アイスは、あずさが持ち込んだ高級アイスを２段重ねで。それからトッピングに、家用に買っておいたつちのこの里なんかを飾って。それから――そうそう、プレゼントカードを探しだしたんだ。
「お先にココアフロート、特別バージョンね」
わぁっと感動した様子の子どもたちをしみじみ見守ることは許されず、キッチンタイマーが鳴る。文也は慌ててフライパンの元に駆けつけ、表面の具合をみながらひっくり返す。お皿とシロップ、それからカードの準備が整う頃には焼き上がりだ。
このシロップを持ってきたのも、あずさだ。お店の雰囲気は気に入ったのに、メニューがシンプルすぎるということで、あずさが少しばかり自分の好みにあうようリクエストをしたのが始まりだった。
しかし、手のこんだメニューは文也の苦手分野だし、高級品を入荷したところで採算はとれない。そこで、あずさがアイスやシロップなど手軽に出せる品々の高級品を持ち込み始め、「暗号を読めた人へなら、自分用のストックを譲ってもいい」なんて言い出したのだ。
ここは、小学生までの子供たちには無料で飲食物を振る舞っている。その全員に行き渡るように援助をすることはできないが、イベントを盛り上げる程度になら提供していいと思ったのだろう。
イベントを提案された時にはびっくりしたが、結果的には良かったのかもしれないと文也は笑みを零した。
「さあお待たせしたね。シロップたっぷりのホットケーキだ。この容器に入っているシロップがかけ放題だよ」
子供の手には余るくらいの大きなハニーディスペンサーに、高級シロップがなみなみと入っている。そこには、―157444044513 741241034412―と書かれたメッセージカードが貼られていた。
「また暗号だ！ もう、俺たちにはこわいものなしだぜ！」
「でも……やっぱりサイバーテロでも忍者の暗号でもないんだ」
「にんじゃ？ まじょとにんじゃがいるれす？」
「ちがうもんっ、信じてたわけじゃ……」
「うん？ いないれすか？」
きょとんとするコトコに、ムキになるのも馬鹿らしくなって、瀬莉はことの発端をコトコでもわかりやすく頑張って説明してみせた。
「さてと。サービスするのは小学生までだよ、高校生諸君はいつも通りにさせてもらうからね」
「あ、はい！ じゃあ俺はコレください！」
武道が注文するタイミングを見計らっていた―6304914323 25696269―と書かれたメモをかざす。続いて彰尋も、コーヒーと特別メニューのホットケーキを注文した。
綾花も「甘いものは別腹です」なんて笑いながら珪を誘って解読者限定メニューの２つを頼み、優しい香りが店内を包む。皆が暗号を解き終わった達成感に包まれる中、葉月は亡き祖父との思い出に浸っていた。
一緒に訪れた場所、この暗号でやり取りした会話……どんな些細なことも大切で、変わらぬと思っていた日常は泡沫のように一瞬で。人形めいたその美貌に、涙の雫が零れそうになった。
（おじいさまは、私にこんな思いをさせるために、たくさんの時間をくれたわけではないのに……）
白い指先で涙を拭い、深呼吸。もう十分に、追憶の中に佇んだ。
葉月は改めて数字だらけのメニュー表を眺め、『シュガートースト』と『コーヒーフロート』を頼むことにした。
古書喫茶『思ひ出』が、悪の秘密結社だと騒いでいた少年探偵団が真実にたどり着き、暗号を解読した。
それぞれがオーダー用のメモ用紙に同じ数字を書き、文也のもとに集まる。
「解読者限定メニューのっ！」
「ここあふろーちょ！」
「シロップたっぷりのホットケーキっ」
「「「くーださいっ！」」」
嬉しそうに揃った三人の声に、店内は祝福の拍手に包まれる。
普段は手のこんだ料理を提供しない文也も、この注文には何もしないわけにはいかない。
「ちょっと時間がかかるけど、本でも読んで待っておいで」
まずはセルクルをフライパンに並べて温めながら、メレンゲをしっかり泡立てる。子供たちが暗号に奮闘している際に計量してふるっておいた粉類と牛乳、それからヨーグルトをほんの少し。手際よくさっくりと混ぜ合わせ、フライパンにバターを投入。じゅわりと溶け広がり、客席まで香りが漂えば生地を入れる頃合いだ。
ここまでくれば、暫し蓋をし弱火でじっくり。ホットケーキの焼き上がりはキッチンタイマーに任せて、次はココアフロートの準備だ。
鍋を焦がさぬように軽くココアパウダーを炒って、少量の水を加えてよく練って……匙を投げ出したくなるが、今日のところは我慢だ。丹念になめらかなペーストまで練れば、あとはゆっくり牛乳でのばしていくだけ。
アイスは、あずさが持ち込んだ高級アイスを２段重ねで。それからトッピングに、家用に買っておいたつちのこの里なんかを飾って。それから――そうそう、プレゼントカードを探しだしたんだ。
「お先にココアフロート、特別バージョンね」
わぁっと感動した様子の子どもたちをしみじみ見守ることは許されず、キッチンタイマーが鳴る。文也は慌ててフライパンの元に駆けつけ、表面の具合をみながらひっくり返す。お皿とシロップ、それからカードの準備が整う頃には焼き上がりだ。
このシロップを持ってきたのも、あずさだ。お店の雰囲気は気に入ったのに、メニューがシンプルすぎるということで、あずさが少しばかり自分の好みにあうようリクエストをしたのが始まりだった。
しかし、手のこんだメニューは文也の苦手分野だし、高級品を入荷したところで採算はとれない。そこで、あずさがアイスやシロップなど手軽に出せる品々の高級品を持ち込み始め、「暗号を読めた人へなら、自分用のストックを譲ってもいい」なんて言い出したのだ。
ここは、小学生までの子供たちには無料で飲食物を振る舞っている。その全員に行き渡るように援助をすることはできないが、イベントを盛り上げる程度になら提供していいと思ったのだろう。
イベントを提案された時にはびっくりしたが、結果的には良かったのかもしれないと文也は笑みを零した。
「さあお待たせしたね。シロップたっぷりのホットケーキだ。この容器に入っているシロップがかけ放題だよ」
子供の手には余るくらいの大きなハニーディスペンサーに、高級シロップがなみなみと入っている。そこには、―157444044513 741241034412―と書かれたメッセージカードが貼られていた。
「また暗号だ！ もう、俺たちにはこわいものなしだぜ！」
「でも……やっぱりサイバーテロでも忍者の暗号でもないんだ」
「にんじゃ？ まじょとにんじゃがいるれす？」
「ちがうもんっ、信じてたわけじゃ……」
「うん？ いないれすか？」
きょとんとするコトコに、ムキになるのも馬鹿らしくなって、瀬莉はことの発端をコトコでもわかりやすく頑張って説明してみせた。
「さてと。サービスするのは小学生までだよ、高校生諸君はいつも通りにさせてもらうからね」
「あ、はい！ じゃあ俺はコレください！」
武道が注文するタイミングを見計らっていた―6304914323 25696269―と書かれたメモをかざす。続いて彰尋も、コーヒーと特別メニューのホットケーキを注文した。
綾花も「甘いものは別腹です」なんて笑いながら珪を誘って解読者限定メニューの２つを頼み、優しい香りが店内を包む。皆が暗号を解き終わった達成感に包まれる中、葉月は亡き祖父との思い出に浸っていた。
一緒に訪れた場所、この暗号でやり取りした会話……どんな些細なことも大切で、変わらぬと思っていた日常は泡沫のように一瞬で。人形めいたその美貌に、涙の雫が零れそうになった。
（おじいさまは、私にこんな思いをさせるために、たくさんの時間をくれたわけではないのに……）
白い指先で涙を拭い、深呼吸。もう十分に、追憶の中に佇んだ。
葉月は改めて数字だらけのメニュー表を眺め、『シュガートースト』と『コーヒーフロート』を頼むことにした。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2019年08月13日
- 参加申し込みの期限
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- 2019年08月20日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2019年08月20日 11時00分
