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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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暴け！ 大人だけのヒミツの暗号
オーダーの波も一段落し、文也はこっそりと疲労の、それでも楽しさを滲ませる息を吐いた。
あまり手の混んだ料理は得意で無いものの、普段は来店しないお客様が楽しそうにしているのを見るのは悪くない。
こういう企画は乗せられてみるものだな、と笑みを零す。
そんな文也に、彰尋は軽く会釈を交えながらもわざと大きな溜息を吐くそぶりを見せた。
「困ったなぁ、いつの間にか秘密結社に貢いでいただなんて……」
「そりゃあ簡単にバレてしまったら、あっしも立場がないってもんさ」
たまにこの店に訪れていた彰尋は、雰囲気の違う店内の様子に最初こそ驚いたものだが、文也のノリの良さを見ていると盛り上げるのに一役買ってみるのも悪くないかと、わざとらしい演技をしてみた。
しかし、小さなお客様に悪の秘密結社と言われても動じずにノッて見せた文也は、この程度じゃどうしてこんな『副業』を始めたのか、口を割ってはくれないらしい。
やはりここは、子供たちの夢を壊さないように話を合わせて、謎解きに参加するのが一番楽しそうだ。
「ふふ、勝手に秘密結社のメンバーにされてる、ってことはなさそうですね？」
「おや、未来ある少年は、悪の秘密結社に就職希望かい？ うちの入社試験は厳しいよ」
自分から仕掛けたはずなのに、悪戯な顔をして笑う文也には勝てそうもない。
「今日のところは、優秀な探偵さんたちの目が光ってますから、遠慮しておきますね」
「……確かに、優秀そうだ」
瀬莉がウロウロとしている子供向けの本のコーナーには、今回のヒントとなる本があったはずだ。
――次はどんな風にかきまわすか、それともヒントをあげようか。楽しそうに笑う文也に、彰尋は困ったように「程々にしてくださいね」と声をかけた。
シュガートーストを頬張りながら、数字とにらめっこしていた綾花の表情がぱぁっと輝いた。
「文字数の倍の数字……もしかして、これは電話からダイヤルで送信するメッセージじゃないですか？」
「へぇ、よく知ってるね？」
「やっぱり！ 以前流行った……そう、確かポケベルです。お母さんから聞いたことがあります」
数字を組み合わせてメッセージを送る。母から聞いた入力方式とは違うもののようだが、こうして数字を組み合わせるとかな文字が浮かび上がってくるのは、暗号にぴったりかもしれない。
これに気づけは、かな文字の法則が思いつくまで、あと一歩だろう。珪が微笑むと、綾花はいいことを思いついたとペンを取った。
「珪先生は、これとは違う入力方式、ご存知ですか？」
「これと違うもの？ いや、コード表は１種類しか無かったと思うけど」
会社によってコード表が違ったなら、文字の変換はバラけてしまってメッセージが成り立たなくなってしまう。あるとすれば、時代によって生まれる若者独特のメッセージの送り方があったか、コードが成立するまでに電話番号だけを通知する利用の仕方があったと仮定したら、数字だけで語呂合わせの文化が生まれてもおかしくはないことだろうか。
珪が真剣に考え込んでしまい、先程と立場が逆転してしまった。綾花は少し得意げになって、母から聞いた中で一番のお気に入りのメッセージ、―114106―とメモに記してみた。
「……うん、やっぱり可能性があるとしたら、語呂合わせだと思うんだけど」
「えっ!? や、やっぱり他の言葉にしますっ」
もう少し読み解くのに時間がかかるだろうと思って選んだ言葉なのに、これではすぐに読み解かれてしまう。
母から伝え聞いたと言えばそれまででも、それだけではない意味を含む言葉だから恥ずかしい。綾花は手渡そうとしたメモを慌てて引っ込めようとした。
「待って、どんな入力方式なのか、せめて一目だけでも――」
メモを掴み取ろうと追いかける珪の手が、綾花の手を掴む。それは一瞬のことのようで、綾花には時間が止まったかのような気さえした。
触れたと意識する頃には離れていて、でも白昼夢だったと思うには感触が残りすぎていて。
「ごめん、無理強いするつもりは……」
珪の申し訳無さそうな顔が、余計に夢では無かったのだと思わせるから、ドキドキする。
たったそれだけ。でも、特別な人が相手だと、それはとても特別で。
例えば、このメモに記した数字だってそう。単なる数字の羅列でも、珪を前にすれば途端に熱を帯びるのだから不思議だ。
「い、いえ……間違えてないか、もう一度だけ確認させてください」
珪がこれを読み解いた時、どんな顔をするだろう？ 綾花は緊張しながら、―114106―のメモを手渡すことにした。
あまり手の混んだ料理は得意で無いものの、普段は来店しないお客様が楽しそうにしているのを見るのは悪くない。
こういう企画は乗せられてみるものだな、と笑みを零す。
そんな文也に、彰尋は軽く会釈を交えながらもわざと大きな溜息を吐くそぶりを見せた。
「困ったなぁ、いつの間にか秘密結社に貢いでいただなんて……」
たまにこの店に訪れていた彰尋は、雰囲気の違う店内の様子に最初こそ驚いたものだが、文也のノリの良さを見ていると盛り上げるのに一役買ってみるのも悪くないかと、わざとらしい演技をしてみた。
しかし、小さなお客様に悪の秘密結社と言われても動じずにノッて見せた文也は、この程度じゃどうしてこんな『副業』を始めたのか、口を割ってはくれないらしい。
やはりここは、子供たちの夢を壊さないように話を合わせて、謎解きに参加するのが一番楽しそうだ。
「ふふ、勝手に秘密結社のメンバーにされてる、ってことはなさそうですね？」
「おや、未来ある少年は、悪の秘密結社に就職希望かい？ うちの入社試験は厳しいよ」
自分から仕掛けたはずなのに、悪戯な顔をして笑う文也には勝てそうもない。
「今日のところは、優秀な探偵さんたちの目が光ってますから、遠慮しておきますね」
「……確かに、優秀そうだ」
瀬莉がウロウロとしている子供向けの本のコーナーには、今回のヒントとなる本があったはずだ。
――次はどんな風にかきまわすか、それともヒントをあげようか。楽しそうに笑う文也に、彰尋は困ったように「程々にしてくださいね」と声をかけた。
シュガートーストを頬張りながら、数字とにらめっこしていた綾花の表情がぱぁっと輝いた。
「文字数の倍の数字……もしかして、これは電話からダイヤルで送信するメッセージじゃないですか？」
「やっぱり！ 以前流行った……そう、確かポケベルです。お母さんから聞いたことがあります」
数字を組み合わせてメッセージを送る。母から聞いた入力方式とは違うもののようだが、こうして数字を組み合わせるとかな文字が浮かび上がってくるのは、暗号にぴったりかもしれない。
これに気づけは、かな文字の法則が思いつくまで、あと一歩だろう。珪が微笑むと、綾花はいいことを思いついたとペンを取った。
「珪先生は、これとは違う入力方式、ご存知ですか？」
「これと違うもの？ いや、コード表は１種類しか無かったと思うけど」
会社によってコード表が違ったなら、文字の変換はバラけてしまってメッセージが成り立たなくなってしまう。あるとすれば、時代によって生まれる若者独特のメッセージの送り方があったか、コードが成立するまでに電話番号だけを通知する利用の仕方があったと仮定したら、数字だけで語呂合わせの文化が生まれてもおかしくはないことだろうか。
珪が真剣に考え込んでしまい、先程と立場が逆転してしまった。綾花は少し得意げになって、母から聞いた中で一番のお気に入りのメッセージ、―114106―とメモに記してみた。
「……うん、やっぱり可能性があるとしたら、語呂合わせだと思うんだけど」
「えっ!? や、やっぱり他の言葉にしますっ」
もう少し読み解くのに時間がかかるだろうと思って選んだ言葉なのに、これではすぐに読み解かれてしまう。
母から伝え聞いたと言えばそれまででも、それだけではない意味を含む言葉だから恥ずかしい。綾花は手渡そうとしたメモを慌てて引っ込めようとした。
「待って、どんな入力方式なのか、せめて一目だけでも――」
メモを掴み取ろうと追いかける珪の手が、綾花の手を掴む。それは一瞬のことのようで、綾花には時間が止まったかのような気さえした。
触れたと意識する頃には離れていて、でも白昼夢だったと思うには感触が残りすぎていて。
「ごめん、無理強いするつもりは……」
珪の申し訳無さそうな顔が、余計に夢では無かったのだと思わせるから、ドキドキする。
たったそれだけ。でも、特別な人が相手だと、それはとても特別で。
例えば、このメモに記した数字だってそう。単なる数字の羅列でも、珪を前にすれば途端に熱を帯びるのだから不思議だ。
「い、いえ……間違えてないか、もう一度だけ確認させてください」
珪がこれを読み解いた時、どんな顔をするだろう？ 綾花は緊張しながら、―114106―のメモを手渡すことにした。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2019年08月13日
- 参加申し込みの期限
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- 2019年08月20日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2019年08月20日 11時00分
