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流れているポップスはアメリカンオールディーズ調なのに、サビメロの部分になると急に日本語になって驚く。
シナモンとコーヒーの香、抹茶ラテの緑、テーブルに乗ったトレーはオレンジで、皿に載るのはチョコの黒、ココアパウダーの白、そしてもちろんドーナツの茶褐色。
ドーナツショップで向かい合っている。
「貴子さん貴子さん……」
胸を詰まらせるようにして
伊賀 解理
は言った。
「はい?」
「このところお呼びするたびいつも応じてくれてありがとうございますう」
声が震える。実際、感極まって泣き出しかねない解理なのだ。
「大袈裟ね、まあちょうど暇なタイミングだったから」
一方で
北風 貴子
といえば、平然と抹茶ラテを口に運んでいる。まだ外は暑いというのに、季節先取りでホットにしているのが心憎い。
「でももう二学期も始まったのに」
「大学は九月の二十日ごろまで休みだから」
「えーそうなんだー、ずるいなー」
「ずるくない、ずるくない」
打てば響くようなこんなやりとりも、いつのまにかすっかり定着している。
ふたりは足元の籠に、買ったばかりの服が入った買い物袋や鞄を入れている。解理はまだ午前中で学校が終わるので、さっさと着替えて貴子と買い物に出たのだった。
ぱく、とシナモンロールにかぶりついてから解理は言った。
「ところでですね、最近……ヤンキーが酷い暴行を受けたという物騒な話がありまして……念のため、今日は人通りの多い場所で買い物をするよう心がけているんです」
「そう? 初耳ね」
オールドファッションを一口サイズにちぎりながら貴子は応じた。
「そうなんですよ。いやまあ、おそらくヤンキー同士のケンカでしょうから僕らには無関係だと思いますが……でも、貴子さんも気をつけておいてください。しばらくは」
「そうね。じゃあ遅い時間の外出は控えておくわ。ご忠告ありがとう」
「貴子さんともあろうものが、遅い時間に外出することがあるんですか」
けしからん、というように解理は鼻息を荒くするのだが、
「そりゃコンビニくらい行くでしょ」
貴子のほうはあっさりとしている。
「ああ、コンビニ……ジャージで行ったり」
「またそれを言うー」
以前、ダサTシャツにジャージというもっさりした格好で買い物に出た貴子と解理は偶然遭遇したことがあるのだ。
「ははは、それは失敬」
などと気軽に世間話をしていたものだが、ドーナツがあらかた片付いたころ、解理は椅子に深く座り直した。背筋を伸ばして言う。
「ところで今日は、貴子さんに一つ報告がですね」
「どうしたの?」
と言う貴子も釣られたか背筋を伸ばしている。
「実は最近両親に、寝子島で就職や進学をしたいと電話で相談したんです」
貴子は黙ったまま先を促した。
「反対はされなかったんですが、微妙に渋い反応で。直接会って話したいって言われちゃいました。なので僕、どこかのタイミングで一度北海道に戻ることになったんです」
「急に報告だなんて言うからどんな重大な話かと思ったら」
ふう、と貴子は息を吐き出した。
「それは普通のことよ。あなたの将来について、お父さんお母さんが『話したい』っておっしゃるのもごく一般的な反応じゃなくって?」
「いやそれは……そうなんですけども……」
解理はいくらか言い淀んだ。
「うちの両親は割と自由にやらせてくれるし、今回も大丈夫だとは思うんですが、少し不安で……おかしいですかね?」
解理はうなだれ、上目遣いで貴子を見た。
「おかしくないわ」
貴子は、受け止めるような笑みを浮かべていた。
「将来のこと、考える場面になるたびに誰だって不安を感じるものだから。私だってそう、いまはお気楽だけど、就職を考えるころにはずっとナーバスになっていると思う。……不安なのは当然、と開き直っていいんじゃないかな。しっかり話し合ってきなさいな」
「ありがとうございます! だから、だからですね……
だから貴子ニウムを補充させてください……!
」
「
それはおかしい
」
貴子は鉄のような冷たさで言いのける。
「というか、誰しも感じる未来への不安と、私から出ているというマイナスイオン的なものがどう関連するの?」
「前も言いましたがマイナスイオンは、大気中に存在するマイナスの電気を帯びた分子の集合体です! 貴子ニウムのような尊いものとは全然違いますっ!」
「そもそも私はそんな変なものは出してないし、一万歩譲って出ているとして、どうしてそれがあなたの不安を解消するの?」
「やっぱり、文脈がおかしいですか?」
「文脈というか、すべてがね」
「でも貴子ニウムがあれば僕は大抵のことはできるんです。多分」
と解理は胸を張って答えたのだった。
やれやれ、とでも言うように貴子は額に手を当てて首を振る。
「で、伊賀さんはそのニウムをどうやって摂取するのかしら?」
「こうやってお話しているだけで吸収されます」
「それって単に、私に相談したら落ち着く、ってだけの話じゃない?」
「そうとも言います。でも、接触のほうがより強く吸収されると思います」
「もう……」
呆れたと言わんばかりの貴子だが、仕方ないなと思ったか、テーブル越しに手を伸ばし、解理の右手をそっと握った。
解理の心臓が跳ねた。胸から飛び出しそうなほど。
ひんやりと冷たく、指が長くてすべすべした手だった。
「はい、これでいい?」
菊の大輪が花開くように、じんわりと解理の目と頬が緩む。
「光栄です……ただいま急速補充中です」
「私はモバイルバッテリーなのかしら?」
「いえむしろバッテリーというより動力源です! 発電所です!」
「褒めているつもりなのよね、それ」
苦笑しながら、貴子は解理の手を握りこむ。
「伊賀さん、あなたの手、小さくてかわいいのね」
「いやあ、そもそも背がちみっこですから、僕は」
猫の手を揉むようにして、力を入れたり抜いたりしながら貴子は告げた。
「こうやって触れてるだけで伊賀さんは充電? 補充? されるって話だけど」
「はい」
「触れかたを変えたらどうなるのかしら?」
「と申しますと?」
「唇にキス、するとか」
「
うわっ!
」
ぼんっ、と爆発音が聞こえるほど顔を紅潮させ解理はのけぞったのである。
「そそそんなことされたら
過剰補充で死んでしまいますマジで!
ていうか僕はノン……」
「知ってます。ノンケ、って言うんでしょ? 意味は調べたからね」
「あい……」
言いながら解理は、ずれた眼鏡の下の裸眼で貴子の唇を見ている。リップクリームを塗っているわけでもないのに艶のある唇――。
解理の手を離して貴子は言った。
「前に『ノンケ』という言葉の意味を調べてギョッとしたんで、今日はそのおかえしで言ってみただけ。これまでそういうこと考えたこともなかったから、私」
「はい」
「でもそんな意味じゃなくて、伊賀さんが私を純粋に慕ってくれているのは知ってるから……まあ、補充なりなんなり、好きにしてよ。それで伊賀さんが元気になるならいいんじゃない?」
「すいませんギョッとさせちゃって」
「おかえししたからいいってば」
ふふっと貴子は、子猫を眺めるような余裕ある口調なのである。
驚きと憧れと、その両方を抱きながら解理は思う。
――貴子さん貴子さん、あなたは大学生になって大人の魅力が芽生え始めているんですか、貴子さん……!
それが魔性の魅力にまで進化しなければいいのだけれど。
いや、そうなったらそうなったで見てみたいような……いやいやいや……!
しかしそんな想いとは別に、やはり解理は頭を悩ませているのである。
でも、実際問題なんといって親を説得したらいいのか。
落神伝説について調べたい、って理由では説得材料としては弱いだろう。
だからといって、「大切な人がいるから離れたくない」なんて言えるだろうか!?
それはそれで別の意味で話し合いになりかねない。明らかに。
今日は存分に貴子ニウムこそ補給できたものの、やはり有効な手段が思い浮かばない解理なのである。
でもなんとかしなければ、貴子さんと離れ離れになる。
それは絶対嫌だ。
だって貴子さんは僕の憧れですごく大事で大好きな人で……って、だから僕はノンケ……でも、貴子さんはどうなんだろう?
ふとそのことに気づいて、解理は貴子をじっと見た。
「どうしたの伊賀さん、また真顔になったりして?」
「い、いえ別に……」
いままでも相談に乗ってくれたし、僕のノリに合わせてノンケの意味まで調べてくれたし、さすがに迷惑だとか嫌だとかは思っていないはず……でも貴子さんは、この先もこの僕と一緒にいたいって思ってくれているのかな?
この胸の内、打ち明けて引かれないかな。
針を刺されたように、解理の胸は痛んだ。
アイスコーヒーの氷はもう完全に溶けており、最後の一口たるやまるきり水だった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月09日
参加申し込みの期限
2019年07月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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