this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
はじまりのセプテンバー
<< もどる
1
2
3
4
5
…
22
つぎへ >>
ドバァン! と直球気味のオノマトペ。
ドアが開いたのだ。それこそ蝶つがいを吹き飛ばすような勢いで。
お静かに、と巡回中の看護師に注意され、
「ごめんなさい取り乱しちゃって……」
頭を下げながら病室に、長いブロンドをなびかせ入ってきたのは
木野 星太郎
である。さすが美容師、毛先まで光沢を帯びた髪だ。
「ナマステー、星太さん」
ベッドから半身を起こした姿勢で、
アーナンド・ハイイド
は両手を合わせた。顔はやつれているものの表情は明るい。最悪の事態はまぬがれたようだ。
この日、美容室の客から昨夜アーナンドが倒れたとの報を聞き、星太郎は大急ぎで店を閉めて彼の入院先、寝子島総合病院に直行したのだった。
「何やってんのよアーナンドちゃんっ」
「ははは、私ちょっとやらかしてしまいましたー」
「ちょっとなもんですか!」
大きな声が出てしまう。また看護師が来たら困るので、エヘンと咳払いして星太郎はベッド脇の丸椅子に腰を下ろした。
「……それで、どういう状況だったか教えてごらんなさい」
つい腕組みしてしまう。
ぽつぽつと滴る点滴を眺めながら、アーナンドは顛末を語った。
「いえいえ、たいした話とちがうですよ」
アーナンドは軽いジョークみたいに話すものの、星太郎にとってはまったく笑えない。『過労』という言葉をアーナンドは意図的に避け、寝不足というような表現でごまかそうとしていることもわかった。
昨夜、倒れていたところを娘が発見したくだりになると、さすがのアーナンドも口調が重くなっていく。
彼の娘ハナコは、まだ五歳なのにかなりのしっかり者である。星太郎に「おセワになっております」と立派に挨拶して以後は、星太郎の邪魔をしないよう双子の弟たちに本を呼んであげていたのだが、話がこのあたりまでさしかかると父を見つけたときの怖さと心細さを思いだしたようでぐすぐすとベソをかきはじめた。当然、弟たちもつられてぐずりはじめる。
「アーナンドちゃん、事態の深刻さをわかりなさい。子どもたち泣いてるじゃない!」
カッとなりまた星太郎は声を上げてしまったが、その星太郎自身、涙声になってしまっている。
「すいませんよう……ご心配おかけしたですよー」
うつむいたアーナンドもまた、ポロポロと大粒の涙を落とし始めていた。
「わ……私のほうこそ悪かったわ。怒ったりして」
慌ててハンカチを使うと、そうだ、と星太郎は振り返って手提げ袋を取り出した。
「これお見舞い。来る途中で買ったドーナツだけど……どうぞ」
紙製のドーナツ箱を大げさに振ってみせると、子どもたちはぱっと目を輝かせた。
「おみまいにきてもらったうえ、いただきものなんて」
と一人前に遠慮するハナコを制して、
「そういう社交辞令はいらないの。子どもなんだから気にせず食べなさい。ほら見て? チョコレート味にイチゴ味、色々買ってきたんだから♪ そうそう、食べる前には手を洗うのよ」
はーいと子どもたちが手を洗いに出て行くと、深く静かに星太郎はため息をついた。
「それにしても案内された病室が個室だったから、よっぽどの状態なのかと思ったわよ」
アーナンドも落ち着きを取り戻したらしく、タオルでごしごしと顔を拭いて言う。
「いーえ、ちょうどここが、空いてたってだけの話みたいですね。明日からはフツーの病室に移るね」
少し前、同じ病室に入院していた患者が香川王堂という人物であったということを、当然ながらアーナンドも星太郎も知らない。
「明日から病室が変わる……ってことは、しばらく入院なのね」
「ドクターの話では、一週間くらい入ってることになりそうです」
「それがいいわ。しっかり休みなさいな。アンタこれはいいきっかけよ。これを機に、無茶苦茶なハードワークをちょっとは考え直したほうがいいんじゃないの?」
「……それなんですがー」
アーナンドの眉毛が垂れてしまう。。
「ああ、店のことよね。アタシも小規模事業主だからわかるわ」
昼のカレー屋に夜のキャバクラ、いずれも手が回らないということなのだろう。『プロムナード』は昨日は臨時休業にしたという。一人で動かしている『グレート・タージ・マハル』もしばらく休業するほかなさそうだ。
「昼はアタシも店があるから料理屋は無理ねぇ……火曜に掃除くらいはしてあげられるけど。臨時休業の貼り紙貼っとかなきゃだわよねぇ。ほらこういうの」
このとき星太郎がささっと書いた貼り紙が、本作冒頭で鬼河内萌が目撃した『店主急病のため臨時休業中』なのである。
ガチャリとドアが開いた。
「すまない。クライアントからの電話が長引いてしまって」
三十代くらいの男性が入ってくる。プレスの効いた紺色のスーツ、きれいにセットされた髪型、相手に親しみを与えそうな柔和な目をしている。
「あ……」
星太郎の姿に気付いて、
星山 真遠
は靴の踵を揃え、
「失礼しました。私は当店の顧問司法書士を務めております星山と申します」
胸元から名刺ケースを抜き出し、一枚を両手で星太郎に差し出した。
「なにかしこまってんのよ、アンタ星山先生んとこの跡取り坊やでしょ?」
笑って星太郎は名刺を受け取る。
「アタシよ、『エトワール』の媚男子美容師こと木野星太郎♪ まぁ~、しばらく見ないうちに立派になって」
親戚のおばさんみたいな言われっぷりに、真遠は決まり悪げに頬をかいて、
「あー、まあ、その通りなんですが……その、木野さん、気恥ずかしいので『坊や』はやめていただけませんか。私もそこそこトシですので」
「それは失礼、司法書士兼行政書士の先生に坊や呼ばわりはないわよねえ。そのかわり、アンタもその堅苦しい話し方はやめなさいな。学生のころみたいな生意気っぷりでいいから、アタシには」
「じゃあ、そうさせてもらおうかな」
言いながら真遠は自分の襟元に手をやっている。ネクタイの結び目を上げようとして、クールビズでノータイなのを思いだす。校長先生を前にした生徒という気分だ。どうも落ち着かない。
「そういや、プロムナードの顧問は星山先生なんだったっけ?」
「いえ、父ではなく俺が担当です。今日はプロムナードの営業のことについて相談を受けにきたわけで。しばらくの間、俺が店の手伝いをすることになると思う」
「なるほど、でも若先生も忙しいからフルタイムでは難しいわよねえ」
「ええ、可能な限りは毎日プロムナードに顔を見せるつもりだけど……」
なら、と星太郎は自分の胸を拳で叩いて言った。
「アタシもこの細腕を貸そうじゃない。まず、子どもの送り迎えやそのあとの面倒見くらいなら、店閉めるの早めにして総菜屋のキネ婆ちゃんに相談すればなんとかなるわね。そのかわり、料理屋と家の食材足早いのはもらうわよ、良いわよね?」
おお、と真遠は舌を巻いた。アーナンドにとって一番の懸念事項は子どものことなのだ。さすがによく分かっている。近所の人間関係も把握しているあたりはさすが年の功であろう(と、言ったら怒られそうなので黙っておくが)。
「お金なら心配しないでちょうだい♪ 子どもたちの世話に必要な分はアタシが出すわよ。独身だけど世話ならできるわ。姪のおしめ取りかえたことだってあるんだから」
「そうすると問題は、プロムナードのほうかな。いつまでも閉めるわけにはいかない。昨夜突然の臨時休業で、キャバ嬢にも従業員にも動揺がひろがっている。店長の病状や現状をできるだけ丁寧に説明し、なるべく早く営業再開できるようにしなくては」
「若先生、営業再開はいつからにするつもり?」
「今夜、そのつもりだけど……」
できるかな、と不安げに言う真遠に、
「できるわよ♪ その意気でなくっちゃ」
星太郎は力強くうなずくのである。
熱心に意見を出し合う星太郎と真遠、ふたりをかわるがわる見比べながら、アーナンドはそっと目頭を押さえるのだった。
――私、周囲の人に恵まれてるね……。
やっぱり自分は幸せだ。アーナンドは確信した。
<< もどる
1
2
3
4
5
…
22
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
はじまりのセプテンバー
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月09日
参加申し込みの期限
2019年07月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!