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付近にある一般的な喫茶店。これまで市橋誉も目に留めたことのない店だが、少なくとも街路に面しており、ガラス窓越しに人通りがあることも確認できた。
店内に入って息をつく。
多くはないが、他にも客はいた。少なくともこれで、根積宏一郎と名乗ったこの男が、過激な行動に走る恐れは防げるというわけだ。
アイスコーヒーを頼み、何気なく誉は胸ポケットからボールペンを取り出している。
「すいません、癖なんです」
ペンを指でくるくると回しながら、ひろげた紙ナプキンに思いつくまま落書きをする。
根積は誉の行動をとがめたりしなかった。
「そうですか。私もねえ、妙な癖ならたくさんありまして。たとえば貧乏ゆすりとかねえ、これは女房にかなり指摘されてようやく収まりました……ああ、その女房とはもう離婚しましたから元・女房ということになりますけれども。ええ今は一人モンです。気楽な単身暮らしですよ。掃除はともかく洗濯が苦手でしてねえ……」
根積は誉の相槌を得つつ、延々と自分のことを話している。自分語りが止まらない性質なのか、それとも、こうやって油断させようとしているのか。
いつまでも自分のことばかり話す根積に、誉は静かな苛立ちを感じて口を挟んだ。
「すいません。詠の話をしていただいてよろしいですか?」
「ああー、これは失礼しました。ほら私独り身でしょう? 話し相手が少ないせいか、つい話し出すと止まらなくって」
運ばれてきたアイスコーヒーに、ほんの少しだけ口を付けて根積は言う。
「不躾に申しますが市橋さん、詠さんのお嬢さんとはどういう関係ですか?」
「その前に」
誉は軽く咳払いして言う。
「根積さん。あなたこそ、詠とはどんな関係なんですか?」
ネヅミ、とは発音しづらい。つい、ネズミ、と言いそうになる。
ああー、と大げさに言って根積は自分の額をぺたりと叩いた。その仕草があまりにもわざとらしいので、また誉はピリッと音が立つほどの苛立ちを覚えていた。
「申し上げておりませんでしたねえ。私(ワタクシ)、詠様のお父様から依頼を受けて寝子島に参っております」
予想はできていた。
「そして、率直に申し上げます。お父様は寛美さんに、実家に戻ることを求めていらっしゃいます。それはそれは心配されて……」
「それほど心配されているのなら」
誉は自分の口調に棘があることを理解している。それでも、問いかけずにはいられなかった。
「なぜ、詠のお父上はご自分で寝子島にいらっしゃらないのですか」
ふうーっと、と根積はまたわざとらしく息を吐き出した。まるで『ここで息を吐き出す』と書かれた台本に忠実に従っているエキストラ俳優のようだった。誉は奥歯を噛みしめ、不快感が顔に出ないように努めた。
「失礼を承知で申し上げますよ、気を悪くしないでくださいね市橋さん。高校生と違って、大人は色々と忙しいのですよ。とりわけ、詠さんの父親というかたはとても多忙な方でして」
また少し、根積は珈琲を口に含んだ。
「それでも、惜しみなく費用を投じまして、調査人、つまり私のような者ですね……をたくさん雇って、ようやく愛娘(まなむすめ)の所在を突き止めたというわけです。わかります? それくらい寛美さんのお帰りを求めていらっしゃるわけですよ。高校生には少し難しい話だったかもしれませんね……おっと、出過ぎた口をききました。お許し下さい」
なぜだろう。誉は思う。
この男の言動、ひとつひとつに腹が立って仕方がない。
慇懃無礼なこの物言い、ねちっこい話し方はもちろんだが、話しながら少しずつ前のめりになっていく態度も。
そうだ。テーブル越しながら根積は貧相な顔を近づけてきている。
赤茶けた肌、飛び出した前歯、ふけのついた眼鏡……まるで、この顔をようくご覧なさい、と言っているかのように。
あの顔を押しのけてやりたい、それどころか張り飛ばしてやりたいという凶暴な衝動に誉は襲われた。普段の誉にはない感情だ。根積という男は、そんな暗い気持ちを人から引き出すのが得意なのだろうか。
駄目だ。それをやっては、こちらに非があることになってしまう。
下手な行動をとればそれを、寛美を連れ去る口実に使われる可能性だってあるのだ。
自分のためじゃない。詠のためにこらえろ。
握りしめた拳を膝から動かすことなく、誉は言った。
「詠は……父親の所有物ではありません。誰の所有物でもない、意思を持った人間です。俺は詠の胸の内を聞いています。実家に戻りたくない、というのが彼女の望みです」
「なぜ断言できます? こんなところで不自由な生活をするよりは、裕福なお父上のところですごされるほうが、寛美さんの幸福なのではないですかねえ。ええそう、それはそれは裕福なお方なのですよ地元の名士で……」
ますます根積の顔は近づいてくる。
誉にはその顔が、実際よりもずっと大きく、忌まわしいものに見えた。
もう一度、
張り飛ばしてやりたい
、という間欠泉のように強い衝動が誉の胸に沸き起こった。
しかしその発作的な行動と引き替えに失うものはなんだ。
『You Can't Always Get What You Want.(望むものすべてが手に入るとは限らない)』
いつか寛美と引いたおみくじ、その一節が誉の脳裏に蘇っている。
『だが時として叶う望みもある』
俺の望みは、詠だけだ。
一時の激情に負けてはいけない。負けられるものか!
ジャーンッ!
と大きな音が立った。
誉が紙ナプキンに下ろした手、それがピアノの和音を呼び起こしのだ。鍵盤を叩きつけたときにそっくりの音だ。
「わっ!?」
根積は不意を突かれ身を引いた。
もう一度誉は紙ナプキンを叩く。やはり音が鳴る。
ただの紙ナプキンだ。しかしそこには、誉が落書きの体を装って描いた鍵盤が描かれている。
「話はここまでです! 失礼します!」
伝票の上に札を置く。二人分のコーヒー代だ。
そうして誉は、後も振り返らず喫茶店を後にした。ウェイターが慌てて、ありがとうございました、とその背中に告げた。
「……やれやれ」
一人残されたテーブルで、根積はアイスコーヒーをすする。やはりチュルチュルと、舐めるように少しずつ。
「挑発に乗らなかったか」
やるもんだねえ、あの子、とつぶやいた。冷静だし賢明だと思う。
最低でも押しのけるくらいはすると根積は思っていた。それで十分だった。ところがその期待はものの見事に外された。
少なくともあの少年が手出しをしてくれない限り、『マウス』は出てこない。
だとしたら、やり方を変えてみるほかなさそうだ。
紙ナプキンのキーボードに根積は指を走らせるも、とうに鳴らなくなっている。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月09日
参加申し込みの期限
2019年07月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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