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失礼ですが、と誉が声をかけられたのは下校の途上だった。
「市橋誉、さんですね」
人通りのない道の途中、時間がとまったような光景の中。
見れば、くたびれた様子の中年男性が立っている。
豆もやしみたいな猫背、血色が悪くがさついた顔、黄色がかった前歯に、弦のところが剥げて白くなった眼鏡。鼠色のスーツ姿だが、他人の服でも盗んで着ているみたいにサイズはだぶだぶだ。ネクタイはほとんど解けている。
「ああ、失礼しました。私(ワタクシ)、こういう者です」
慇懃な言いぶりだが、心の中で薄ら笑いを浮かべているような印象があった。よれたスーツの胸ポケットに手を突っ込み、男は名刺を差し出している。
誉は受け取った。
業者に依頼したのではなくパソコンで自作したような白黒の殺風景な名刺だった。余計な情報はない。ただ『探偵
根積 宏一郎
(ねづみ・こういちろう)』とだけ書かれている。他に記されているのは携帯電話の番号だけだ。
「探偵……?」
「ああ、身構えちゃいますよね。こういう肩書きを見るとどうしても。当然ですよねえ」
男は、あきらかにそれとわかる作り笑いを浮かべた。
「こう言っちゃなんですが、素性の怪しいものではないつもりですよ。浮気調査とか素行調査とか、そういう細かい仕事はむしろやっておりません。尋ね人、企業内偵など、それなりにちゃんとした仕事のほうを優先して請け負ってきたものでしてねえ。こう見えて、政府筋のお仕事も経験があるんですよ」
言葉の端々に妙な粘り気がある。目立って不潔な格好をしているわけではないのに、根積の口調には匂いたつような汚穢(おわい)があった。生理的な嫌悪感を覚えずにはいられない。
「ほら、私なんてこのなりでこの名前でしょう? 『ネヅミ』であって『ネズミ』じゃあないんですけれどねえ、冗談みたいですよねえ?」
ひひひ、と聞こえる耳障りな声で根積は笑った。誉は同調しない。ただ、聞き流した。
そして誉は、表面上はにこやかに告げたのである。
「それで、俺に何か用ですか」
待ってました、とばかりに根積は前歯を突き出して言う。
「市橋さんには直接用があるわけではないのですけれどねえ。いえね、市橋さんのお友達……詠さんについておうかがいしたく……」
来た。
誉は身を強張らせた。
それでも誉は笑みを崩さない。
「詠は同級生ですけど、それが何か?」
「ええ、その寛美さんのことですよ、うかがいたいことがありまして……いやあ、たいしたことじゃあありませんよ。ほんの二三、質問させていただくだけのことで。いやあ、これも探偵の仕事でして。因果な商売ですよねえ、他人のことを訊いて回るというのはねえ」
笑いながら話しているように聞こえる。けれども声色には朗らかさとは正反対の、古井戸の奥からこだまするような薄気味の悪さがあった。
敵だ。間違いない。
誉は肌が粟立つのを覚えている。
だがここで冷静さを失ってはいけないと思い、誉はなるだけ早口にならぬよう注意しながら言った。
「気を悪くされたら申し訳ありません。変質者とかストーカーとか物騒な世の中ですから、女の子のことをいきなり聞かれて、易々と話してしまう訳にもいかなくて」
いくらか挑発的な単語も交えたが、根積はとりたてて不快そうな表情を見せなかった。
「ああ、そうですねえ。それは当然ですよ。当然のご判断です。お若いのに配慮がおできになることで……」
どことなく、馬鹿にしているように聞こえるのはうがちすぎだろうか。
「でしたら」
と話しながら誉は周囲の様子をうかがっている。
やはり人っ子一人いない。根積という男は自分を尾行して、衆目がなくなるのを待ってから声をかけたのかもしれない。
「暑いですし、話の続きは喫茶店で喉を潤し涼みながらしませんか?」
周囲に人間がいる場所なら、この男も暴挙に出ないだろうという、誉の勘に基づく提案だった。
すると根積は、鼠そっくりの鼻をひくひくと動かした。
「ふうむ」
逡巡している様子だ。
やはり効果はあったらしい。
間違いない。この男は、多くの目にさらされることを恐れている……!
されど間もなく、
「それほど長くお時間をいただくつもりはなかったのですが……とはいえおっしゃる通りですね。それではご一緒しましょう」
と応じたのである。
とっさに鞄の携帯電話に手を伸ばしたものの、
詠が携帯を持っていたら――。
誉はほぞを噛んだ。
もしそうなら、『寄り道するので、帰りが少し遅くなります。』とでも符牒を彼女にメールして警告したのに。万が一のことがあったときに備えられたのに。
メールではなく電話でもいい。たとえば母親に電話するふりをして詠に――。
そうすれば心強かった。一人より二人。一緒に戦うって決めたから。
しかしこのとき、
「お電話でもされるおつもりですか?」
先んじて根積が言ったのである。
「けれど残念ですが、詠さんはお電話をお持ちしておりませんよ。もちろん、メールのできる環境にもありません」
「そんなわけでは……」
「市橋さんは星ヶ丘にある寮住まいでしたよねえ。この時間帯にご連絡する必要のある場所があるとは思えませんが」
根積は、最善手を見つけた素人将棋指しのようにほくそ笑んだ。
気付かれている。
しかもこの男は、思った以上に調べてきている。詠や、自分のことを。
ここで恐れを見せたら終わりだ。誉はそう直感していた。
それこそこの男の思うつぼではないか。
「いえ、行きましょう」
俺の心には詠がいる――。
だから、負けない。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月09日
参加申し込みの期限
2019年07月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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