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目を覚ますとウェディングドレス姿だった。
真っ白なドレスのウエストを飾るのはローズピンクの薔薇とフリル、明るい金の髪には薔薇の留め金つきのヴェール。
「ヌ?」
くるりと回ればふわりひらりと軽く広がる肌触りの良いドレスに、
トワ・E・ライトフェロゥ
は空色の瞳をぱちぱちと瞬かせる。
「ヌヌヌ?」
真っ白な壁に立てかけられた大きな姿鏡に自分を映し、トワは思わずぴょんと跳ぶ。唐突な花嫁姿にはやっぱりびっくりしたけれど、これはこれで楽しい。ウェディングドレス姿となれば気分は華やぐ。
「トワはー、cute で beautiful な花嫁サンなのデス!」
いつものボジティブさで明るく言い放ってみてから気が付いた。控室らしい部屋には花束がたくさん飾られている。花束に挟みこまれたカードにはトワの名と知らない男の名が祝福の言葉と共に並んでいる。
壁際に設けられた真っ白な鏡台には銀色に光る指輪が二個。一個はトワの指のサイズ、もう一個は大人の男性のサイズ。
良く解らないうちに良く解らない誰かの花嫁にされていることに思い至り、トワは唇を引き結んだ。
(流石にそれは)
そう思った次の瞬間、
(トワの脱出劇! の始まりなのデス!)
ドレスの裾を小さな両手でよいしょと抱え、トワは目についた扉から飛び出そうとして──
「あら、花嫁さま」
見張りじみて扉の傍で立っていたメイド姿の女性に優しく呼び止められた。
「お式までもうしばらくお待ちくださいね」
善意だけで出来た笑顔を向けられ、トワは言葉に詰まる。さあさあと背中を優しく押され、最初の控室に返される。
(ケッコンシキからの脱出!)
もう一度と今度は窓からテラスに出ても、夕暮れの光の中、待ち受けていたかのようなメイド姿の女性ににこやかにお戻りくださいと言われてしまった。
(……寝子島にきた理由と一緒なのデス)
何故か窓の外側から鍵の掛けられる音を耳にしながら、それでもトワはまだ諦めない。状況はさっぱりまるっきり理解出来ていないけれど、やるべきことは決まっている。
(逃げ回るマス!)
とは言え、窓には鍵が掛けられた。まさかと確かめてみれば扉にも鍵が掛けられている。
控室でひとりきり、花嫁なトワは小さな拳を握り込む。
周りに味方は誰も居ない。
(居なくても何とかなるなるすぴりっつ!)
今までだってそれで何とかしてきた。してきたものの、
(ヌヌヌ)
逃げ場を探して視線を彷徨わせ、トワは唇を噛む。訳がわからないから、どうすればいいのかも解らない。逃げなくてはいけないのに、逃げてどこへ行けばいいのかも解らない。
(今回ばかりはだめかもしれないのデス)
「ヌー! ヌヌー! なのデスー!」
暗雲じみて覆い被さって来るネガティブを吹き飛ばすべく力いっぱい叫ぶ。何事かと飛び込んできたメイドの脇をすり抜け廊下を走る。追いかけて来る足音を振り切り、廊下に飾られた大きな柱時計の影に潜り込む。
嵩張るドレスをぎゅっと抱え込む。息を殺す。自分を探してばたばたと駆けまわる足音に耳を澄ませる。足音が途絶えたら次の隠れ場所に走ろう。そうしていればきっとそのうちこの建物の外へ出られる。外に出てしまえば自由はすぐそこ。きっときっと、手が届く。
小柄な身体をなおさら縮め、周りの足音が聞こえなくなるのを確かめる。そろそろいいかと視線を上げて、
「何してやがる」
三つ揃えの黒いスーツに身を包んだ
夜海霧 楓
と目が合った。
「カエデ」
「……このあほ姫」
普段護衛を務めてくれている楓ならば味方になってくれるかもしれない、と期待したのはほんの一瞬。立ち上がろうとする腰をひょいと抱え上げられ捕まってしまった。
「カエデもお仕事、」
「式場の護衛だ」
「デスヨネー」
小脇に抱えられ控室まで運ばれながら、トワは子供じみた仕草でじたばたする。三回めの逃走は絶対見つからない自信があったのに、
「何故見つけるんディス!」
「花嫁が逃げてどうする」
「ヌヌヌヌ」
暴れる花嫁をものともせずキャッチアンドリリースとばかり控室へぽいと放り込み、楓は扉の前に見張りに立った。
助かった、と声を掛けて来たのは久しぶりに会う仕事の同僚や上司たち。元はお嬢さまの護衛を務めていた彼らも、『トワお嬢さま』の自由っぷりには散々苦労させられた口だ。
「日常だったからな」
苦笑気味にひらりと手を振る。これで振り回される日々も終わりだなと笑い、三々五々持ち場に散って行く仕事仲間を見送る。
「……今回ばかりはだめかもしれないのデス」
扉のすぐ向こう、トワの気配がした。扉に背中を預けて何度目からしい呟きを零す護衛対象に、楓は眼鏡の奥の黒い瞳を僅かに細める。上司より言い使ったこの場での己の仕事は、会場の警備。これが終われば厄介な護衛対象から解放される、はず。
(……妙だよな)
廊下の窓の外にはいつしか不気味なほどに巨大な満月が浮かび上がっている。
結婚式は、月夜の晩に挙げられるものなのだろうか。
(金持ちの道楽で本当にやるのかもしれないのは否定しないが)
一度覚えた違和感は離れなかった。
そもそも己はいつからここに居た?
顔を合わせた同僚や上司は本当に己の知る彼らだった?
浮かんだ疑念は、この場を抜け出すきっかけ。とどめとなったのは、メイド服姿の女たちや執事に迎えられ、結婚式場に引き出されようとする『お嬢』の縋るようなまなざしと、それから──
「助けて!」
今までただの一度も聞いたことがなかった、トワからの助けを求める声。
我儘だと断じても良かった。どうせダメ元で叫んでみただけの言葉なのだと打ち捨てても構わなかった。おそらくは、叫んだ本人でさえ助けが得られるとは思っていまい。
楓は小さく息を吐く。大人たちに連れ去られようとするトワの小さな背中を追って床を蹴る。
(最後位我儘聞いてやる)
女たちの脇を駆け抜け、トワの細い腰に手を回す。己に向けて見開かれるトワの青い瞳に向け、楓は短く笑った。
「任せろ」
女たちの悲鳴を背に、トワの身体を抱き上げる。大人たちから距離を置き、トワの爪先を地面につけさせておいて、スーツ裏のホルダーから銃を取り出す。
彼女を助け出すのは、彼女の護衛という仕事上の理由からではない──友人との、約束だ。
「けこー」
ジャケットの端を小さな両手で掴み、トワが珍妙な声で鳴いた。高く掠れた鳴き声をあげる少女を視界の端に映す。月夜の花嫁にしては明るすぎる空の色した瞳が涙に潤んでいる。
「泣いてるのか、お嬢」
「汗ってヤツなのデス」
ウェディングドレス姿の少女の肩を強く支え、楓は凶暴な笑みを滲ませた。
これが現実ではないとしても、トワの身分を鑑みれば、
(数年後にゃ実際に起こる事でもあるんだがな)
「さあ集まった皆さまにゃ悪いが通させてもらうぜ!」
メイドや執事たちがどこからともなくわらわらと現れる。護衛の黒服を纏った上司や同僚の姿のナニカがぞろぞろと現れる。
(そもそもここ現実じゃねーし)
気付いてしまえば仕事仲間と似て非なるナニカたちを鋭い目つきで見据え、楓は腹の内にごちる。
元より依然として仕事上のトワの護衛は継続中ではあるが、この奇妙な月夜のウェディング空間での出来事が数年先に現実となった場合でも、『トワお嬢さま』は最後の最後まで周囲に助けを求めないかもしれない。
(……フツウにやりそうだからなこのお嬢)
わらわらと集まって来てじりじりと距離を詰めて来る正装姿のナニカを見渡す。人間の姿をしていても、彼らからは最早人の意思は感じ取れない。人形のような動きで近づいてくるナニカに銃口を向けつつ、楓は唇を引き結ぶ。
(つーか、どうやったら脱出できんだこの空間)
気づけば式場の中を警備していた。出口の在処は確認できていない。
脇に抱え込んだ少女をちらりと見遣る。抱えたままの正面突破は流石に難しい。
視線を巡らせる。目に留まったのは、満月が外に待ち構える大きな窓。
途端に頭を掠めたのは、いつかどこかで観た怪盗映画。花嫁を強奪して窓を蹴破り、満月の夜空に密やかな笑い声を響かせる──
(あばよ! ってか)
「お嬢」
「ヌ?」
銀幕に見た怪盗のように気障にはいかずとも、楓は人の悪い笑顔を浮かべて見せる。
「行くぜ」
「行くマス!」
躊躇なく頷くトワの身体を横抱きに、『トワお嬢さま』の護衛であるところのエージェント楓は傍らの大窓を力の限りに蹴破り外へと飛び出した。
「let's go! なのデス! go go go! なのデスー!」
月影にキラキラと光って砕け散る硝子の只中、奪われた花嫁なトワが、ついさっきまでの涙さえ吹き飛ばして笑っている。
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シルバーシナリオ(150)
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3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月13日
参加申し込みの期限
2019年07月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月20日 11時00分
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