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今宵の月も
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足元に青い影が落ちている。
夜の深さを忘れさせるような空の明るさに、
志鷹 佑都
は新緑の色した涼し気な瞳を瞬かせた。
寝子島総合病院救急医としての一日を終えて抱え込んだ疲労を束の間忘れて空を仰ぐ。夜の色をも輝かせて、丸い月がうつくしい光を湛えていた。
今日が中秋の名月であることに思い至るよりも先、脳裏を過るのは、あの日のこと。
(……)
胸の内、ひとりの女性の名を囁く。
愛した女性が風となったあの日の夜も、今日のように綺麗な月が輝いていた。
慈しむまなざしで月を仰いで後、足元の伸びる己の影を踏みしめる。思い出したように両肩に圧し掛かる仕事の疲労を背負い直し、徒歩で帰路を辿る。今日も遅くなった。
己と同じに寝子島総合病院に勤める双子の姉は、確か今日は宿直だった。
「ただいま」
それでも玄関でひとこと告げてマンションのドアを潜る。
仕事前に姉が作っておいてくれた食事を温め直して手を合わせ、ひとりの食事を終える。入浴で身体に凝る疲労を少し解し、明日の仕事の準備を済ませる。疲れた体をベッドに横たえられるのは日付が変わってからのこと。
部屋の灯りを消して体を横にすれば、すぐに眠気が覆いかぶさって来た。
(今日も、……)
眠りの縁に立ち、佑都は静かに息を吐く。瞼を閉ざしてしまえば、きっとあっという間に朝が来る。また次の一日が始まる。
閉ざした瞼を再び開いたとき、目の前には鮮やかな花の色した夕暮れに染め上げられた公園があった。
(ああ……)
夢を見るのは久しぶりだと思って、そう冷静に考えてしまう己にほんの少し苦笑する。
柔らかな茜の光の中、夕陽の色よりもあたたかく懐かしい声で名を呼ばれた。知らず瞠る瞳で振り返れば、そこに立っていたのは愛したひとだった。
亡くなった二十三歳のときの姿で、けれど病みやつれるより前の、元気だった頃の姿で、彼女が立っていた。夕陽色に染まる髪をそよ風に揺らしていた。
その優しい顔に浮かぶ憂いを帯びた微笑みを見止めた瞬間、強い風がふたりの間を吹き抜けた。
風が茜の色をさらう。瞬きひとつの間に、夕暮れの公園を満月に照らされる夜へと変貌させる。
白い満月に照らし出される道を青い影とともに辿り、影を持たぬ彼女の傍らに立つ。夜の真ん中、ふたりぼっちで月を見上げる。
いつかの昔にも、こんな風に月の下で夢を語り合った。
「俺は、……」
彼女が耳を傾けてくれるまま、佑都は語る。
救命医となる夢を叶えたこと。
けれど現実は辛いことの方が多いこと。
どれだけ力を尽くしても救えぬ命があることを幾度となく思い知らされた。蘇生処置を拒否されたこともある。延命の中止を告げられたこともある。経験を重ねれば重ねるほど、医者になった意味を何度も考えた。
それでも、と佑都は俯きそうになる顔をあげる。
それでも、自分を信頼してくれる人達がいる。先生と呼んでくれる人達がいる。
そうだ、と佑都は笑う。
「昨日、主治医を務めた患者さんが無事回復し、笑顔で退院して行ったよ」
傍らで彼女が微笑んでくれるのが何より嬉しかった。
微笑む彼女と重なるのは、今際の際にあって尚、痩せた身体で必死に生きようとした彼女の姿。彼女の最期に彼女と交わした約束。
生涯忘れ得ぬ約束を、佑都は彼女に誓い直す。
「俺は、生きるよ」
月が翳る。辺りを満たしていた幻のような月の光が霞み始める。
月の光に髪をなびかせる彼女の姿が消えてゆく。
手を伸ばしかき抱いてしまいたい気持ちを抑え、彼女の名を呼ぶ。小さく瞬く彼女に云う。
「結婚してほしい」
永遠を誓うほどに愛していた。そのことをずっと伝えたかった。
彼女がもう居ないことは理解している。この想いが永久に叶わないことは解っている。
(それでも……!)
背筋を正して瞳に力をこめた佑都のプロポーズに、彼女は桜色に頬を染めた。嬉しそうに微笑み、唇を開く。
──しあわせに、
風が押し寄せる。彼女の姿も、言葉も、怒涛の風がさらってゆく。
風の音は携帯電話にセットしていた目覚ましアラームの音をしていた。
手を伸ばし、アラームを切る。窓の外に鳥のさえずりを聞き、カーテンの隙間から差し込む朝陽に瞼を開く。
窓の向こう、朝陽に照らし出された街が見えた。
あんなにも眩しかった月はもう見えない。
(今日も、……)
カーテンを開く。
朝陽を浴びて、新しい一日を始める。
彼女の居ない、新しい一日を。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月13日
参加申し込みの期限
2019年07月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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