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今宵の月も
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お彼岸にはまだ少し早いけれど、中秋の名月ともなれば酷暑もようやく和らいでくる。
秋の足音が聞こえるそよ風を頬に受けつつ、
立花 深紺灯
は手にした洗濯物を物干し竿に通した。気持ちの良い風を受けて洗濯物がたなびけば、石鹸のいい匂いが猫鳴館の庭に広がって行く。ほんの少し汗ばんだ額も、涼しい風ですぐにひんやりと乾いてくれる。
「九月は好き」
苦手とする夏の間は苦しかった息が楽に出来るような気がしてくるからと言い添えて、深紺灯は群青色の瞳をそっと細めた。そうして見遣るのは、猫鳴館を鬱蒼と囲む樹々の木漏れ日の下に置いた古い長椅子にのんびり腰掛けた友人、
真辺 伸幸
。
「伸幸君は?」
「そうだねぇ」
そよそよと寄せる秋風に黒髪を揺らし、きらきら注ぐ木漏れ日に黒い瞳を瞬かせ、伸幸はひだまりの猫じみて大あくびをする。
「真夏にはこうも行かないけれど、今の時期ならばこうして十分のんびり出来るのよー」
居心地良くうたたね出来る場所を探すのが上手な伸幸の言葉に、深紺灯は次の洗濯物を手に取りながら微笑んだ。同じ寮に暮らす皆を家族のように想う深紺灯にとって、『家族』が心地よく過ごせているのはとても良いこと。
ふわふわとした穏やかなまなざしを交わし、ふたりは木漏れ日の下、いつものように他愛ない話をする。
「そうだ。ねぇ、伸幸くん」
なんでもない日常の真ん中で、深紺灯はふと思い出した。今日は中秋の名月。どうせお月見をするのなら、晴れたときよく見える場所も知りたい。
「お昼寝にいい所教えてくれないかなぁ」
風通しも日当たりもいい絶好のお昼寝場所にいる伸幸を振り向く。伸幸なら、そういう場所も知っているかもしれない。
「ことちゃん、お昼寝したいのー?」
「えっと、ひだまりになるような所だったらお月見にいいかなって思って……」
高く晴れた秋の空を仰ぐ。
「あ、夜遅くにお外って危ないかな」
でも、猫鳴館の周りは高い樹が多い。どんなに空が晴れ渡っていても、木々の梢が月の姿を暗く遮ってしまう。
「そうだねぇ。危なく無くて、お月さまが見えるところだとー」
ほわほわとした口調で深紺灯の視線を追いかけつつ、伸幸は考えを巡らせる。居心地が良くて、大きな明かり窓があって、ちゃんと防犯対策が取れるところ──
(あそこが良いかもしれないねぇ)
「ことちゃん、それお家の中からでも良いかねぇ」
へにゃりとどこまでも柔らかく笑う伸幸に、深紺灯はぱちりと瞬いた。
「へ、何処か良い所あるの?」
シーサイドタウンの一角にあるそのお店の扉に掛けられた札に記されているのは『CLOSED』の文字。文字の下には、店名らしい『Once upon a time』という小さな文字列。
「ここは居心地が良くてねぇ」
留守がちな店主から預かった鍵が月明りを反射する。密やかな月の色が宿る鍵を回して扉を開けば、その向こうには店主の好きなものだけを詰め込み飾った宝箱のような店内。
「わぁ……」
月明りの下を伸幸に連れられて来た深紺灯は夜色の瞳をわくわくと輝かせた。
向こうに置かれた宝箱のかたちの木箱の中には不思議で素敵なものがたくさん詰まっている気配がする。
無数の物語が詰まった大きな本棚の影には隠れてうたた寝できそうな大きなクッションがある。
今にもきらきらした音を奏でそうな金色のオルゴールや音に合わせて舞い始めそうな可憐な人形が無造作に並べられている。
「すごい」
「電気をつけるまでは暗いから足元に気を付けてねぇ」
声を弾ませる深紺灯に微笑み、伸幸は慣れた足取りで店内に入る。ロフト部分のある明かり窓から差し込む月明りを頼りに、本棚の脇の電灯のスイッチをひとまず入れる。月明りの邪魔にならないよう、歩くのに不自由のないくらいに光量を絞る。
夕暮れの色に照らし出された店主不在の店内に向け、深紺灯はぺこっと頭を下げた。
「お招きありがとう、お邪魔しますっ」
「明かり窓の下がいいかねぇ、十分に空が見えるお気に入りの場所なのよー」
浴衣姿に風呂敷包みを抱えた深紺灯に、それを照らす月の光に、伸幸はふうわりと笑う。
「ことちゃん、浴衣だねぇ」
「ぁ、変だったかな」
雰囲気出るかと思って、と深紺灯は白い頬に朱を上らせる。
「今年の夏、あんまり着てあげられなかったから可哀想だったの」
「似合ってるねぇ」
紺色の袖をつまんではにかんで笑うと、伸幸は飾り気のない賛辞をくれた。心からの言葉が嬉しくて、深紺灯はまた目もとを赤くする。
「えへへ、ありがとう」
知らず弾む足取りで店内に伸幸の後を追う。
「テーブル出すのよー」
「あわわ、手伝うよ……!」
宝物がたくさん並ぶ棚の影から伸幸が折り畳みのテーブルを出すのを手伝う。猫鳴館から山道を下りるため、下駄ではなくサンダルを履いて来た。足元に不便はない。
「軽いから大丈夫なのよー」
「あっ、じゃあ、椅子をっ」
軽々と折り畳みテーブルを運ぶ伸幸の邪魔にならぬよう、傍にあったこちらも折り畳みの椅子を運びにかかる。月の光が鮮やかに流れ込む床にテーブルと椅子が並べば、深紺灯はテーブルに持って来た風呂敷を広げた。
「お団子だねぇ、お月見セットだねぇ」
「昔の人ほど風流なんて分からないし、色気より食い気って言うほどでもないけど……」
でも中秋の名月と言われれば、ちゃんとお団子を用意したい。
あとは餡子が詰まったお饅頭と、猫鳴館の大部屋にいつも置いてあるお煎餅。
「ススキは流石に入らなくて……」
「充分だよぉ、ありがとうねぇ」
深紺灯の心遣いに礼を言い、伸幸は一度店内奥の生活スペースに引っ込む。
「ちょっと座って待っててねー」
小さなキッチンで用意するのは温かいお茶。トレイに乗せた急須と湯飲みと一緒に持っていくのは、お店のあちらこちらに隠れるように置かれているクッションとひざ掛け。
「これを置いて、」
深紺灯の浴衣の背の後ろにクッションを置き、ひざ掛けを手渡す。
「あ。お茶ちょっと熱いかもだから気を付けてねぇ」
お団子やお菓子と一緒にお茶を並べれば、ふたりきりのお月見会が始まる。
いつのまにか冷えてしまった指先をいい匂いの湯気を立てる湯飲みの熱で温め、深紺灯は黒い睫毛を瞬かせた。
あったかいお茶の中にまん丸のお月さまが浮かんでいる。
「何だか秘密基地みたいでちょっとドキドキするね」
宝物でいっぱいの、いつも閉まっている不思議で素敵なお店を見回せば、楽しい笑みがついつい零れた。
綻んだままの瞳をもたげる。隣で同じように視線を上げる伸幸に笑みを深くしながら、窓から流れ込んでくる光を追いかける。
明かり採りの大きな窓の向こう、まあるい月がふうわりと眩しく明るく浮かび上がっている。
「そのままの夜空の月も綺麗だけれど、」
あったかいお茶をひと啜り、深紺灯が用意してくれたお団子をひとくち、伸幸は月の光に瞳を和ませた。
「窓の枠越しの月も、月が絵になったみたいで綺麗だねぇ」
掌の中の湯飲みがあったかい。口の中はお団子の優しい甘さでいっぱいで、目の中には絵のように綺麗なお月さま。そうして隣には、仲良くしている友人が嬉しそうにしてくれている。
(こんなに本格的なお月見は初めてかもしれないねぇ)
心地よいものにくるりと包まれ、伸幸はへにゃりと相好を崩す。
「ことちゃん」
月を仰いで、伸幸は幸せに笑った。
「素敵なお月見、有難うなのよー」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月13日
参加申し込みの期限
2019年07月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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