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今宵の月も
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宿直室の窓から月が見えた。
欠けるところなく円を描く月を一眺めして、
深倉 理紗子
は机の上に置いたパック入りの月見団子に目を落とす。夜食代わりの団子のお供は、粉末のお茶を湯沸し器のお湯で溶いただけのもの。
それでも何となく贅沢な気分になれるのは、窓の外に白く見える満月と、忙しい宿直の夜にふと訪れてくれた静寂のお陰なのだろう。
急患があれば熱いお茶が冷めてしまうのもお団子が渇いてしまうのも構わずすぐさま席を立たなくてはならない。命の現場に走らなくてはならない。
総合病院の夜勤はそういうものだと理解していて、けれどせっかくの中秋の名月、せめて気分だけもと参道商店街の和菓子屋で求めてきた月見団子を前に、理紗子は小さな息を吐く。
温かいお茶を口に含み、広がる香りに肩の力をぬく。
窓の外の月を眺めてぼんやり思うのは、去年の今頃のこと。
(海岸の宴会に顔を出していたっけ……)
正確には、迷い込んだ挙句に参加させられてしまった。宴に盛り上がる人々にあれやこれやとお弁当やお菓子や缶ビールを渡され、ちょっぴり途方に暮れたりした。人懐っこい女の子たちに混ざってお月見をした。
迷い込んだ果てではあったけれど、今となってはきっと、それなりに充実したお月見だったのだろう。
去年みたいに賑やかというわけではないけれど、と月見団子を口にしようとした途端、警報じみて急患を知らせる連絡が入った。
僅かの間の休憩も許されぬ宿直医は、月見団子も食べそびれたまま立ち上がる。溜息を吐く間もなくすぐさま対応に走る。
(とにかく、命だけは救わなければ……!)
運び込まれた患者の容体が落ち着くまで、看護師たちに引き継げるまで、数時間を要した。それでも何とか経過を安定させ、当直医に引き継ぐための書類の作成に入る。
冷え切ったお茶を喉に流し込み、表面が乾いて硬くなった月見団子を齧って空腹を誤魔化す。熱いコーヒーでも淹れようかと椅子から立ち上がったとき、デスクの端に置いていたスマートフォンが震えた。
画面に表示される名を目にして、理紗子は僅かに頬を緩めた。
(まーちゃん)
スマホを手に、月の見える窓辺に立つ。
「まーちゃん……」
抑えた声で応じると、電話口の
深林 真瞭
はすぐにこちらの状況を理解したらしかった。
『りさちん、もしかして仕事中?』
「そうだよ」
短いやり取りの中にもぎこちなさを感じて、理紗子は黒い睫毛を伏せる。
夏の終わりの寝子ヶ浜海岸での水着コンテストを会場で真瞭と邂逅を果たした。真瞭と改めて言葉を交わした。そうして、己だけでなく真瞭も心に深い傷を負っていたのだと知った。その傷を癒す術を持てずに七転八倒していたのだと知った。──解け掛かっていた絆を結び直そうと、誓った。
だから分かっている。真瞭は、言いづらいことを口にしようとしている。
先を促すでもなく、理紗子は真瞭の言葉の続きを待つ。きっと同じ月をどこかで眺めている真瞭の横顔を想う。
身体は離れているけれど、
(心は傍にいるからね、まーちゃん)
やがて聞こえてきた真瞭の声は、思いがけなく弾んでいた。
『りさちん、』
「ん」
『私、楽団辞めちゃった!』
少なくとも、弾んでいるように聞こえた。弾ませようとしているように聞こえた。
「どういうこと?」
彼女が所属する楽団の惨状は、彼女から聞いて少しは知っているつもりだった。それでも長く所属してきた楽団を辞めるには相当の決断が要ったはず。それとも、最早その手しかないほどに彼女は追い詰められていたのかもしれない。
楽団に退団届を提出してきたこと。
先の展望など何も見えていないこと。
『ちょっとだけ、心が晴れてきた、かな?』
空を仰いでいるような声音で、電話口の真瞭が小さく笑っている。
「そう」
短く応じて、理紗子は次の言葉を見失った。しばらく迷った挙句、
「……あまり無茶しないでね」
当たり障りのない言葉を掛けるに留まる。短い会話だけで通話が終わって、理紗子は暗転したスマホの画面を見下ろした。才能に溢れる彼女のこと、先の展望がまだ見えてなくとも引く手数多なのは目に見えている。
だから理紗子が憂うのは、彼女の未来ではなく、今現在。
(楽団を辞めて、少しはまーちゃんの心が癒されればいいけど……)
月を見上げて、ただひたすらに願った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月13日
参加申し込みの期限
2019年07月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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