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今宵の月も
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足元を埋め尽くすのは、月の色を封じ込めたような純白の花々。
「んー」
頭上に広がるのは群青の空。星の光を圧倒して、スポットライトのような丸い月が輝いている。
「んー?」
月明りの下、
オルカ・ヴィヴァルディ
は思案する。深い蒼の瞳に黒い睫毛の陰を落とす。
「なんだろうね~これ」
鷹揚に視線を投げかけるのは、花の中で向き合う音楽ユニット『Re』の大事な相棒でもあり最愛の人でもある
獅子目 悠月
。
「悠月はわかる~?」
「お前と同じだ」
周囲を油断なく見回し、悠月は渋い顔をする。対峙する格好のオルカを見遣る。細身でありながらしなやかな筋肉をその身に纏ったオルカの格好は、つい先ほどまで星ヶ丘寮の悠月の自室でまるで自宅のように寛いでいたラフなそれと変わりはない。
「家にいたはずなのに何でこんなことになっているんだ」
己の格好もオルカの隣で休んでいたものと変わりのないことを確かめ、悠月は眉間の皺を深くする。
「うん、わかんないよね」
こくり、オルカは頷いた。小さく肩をすくめる。
「俺も……なんか悠月と戦わなきゃいけないってこと以外わかんない」
「また神魂の影響か……」
悠月は月を仰いだ。秋の夜気を含んで冷たく湿った風を胸に満たし、吐き出す。決闘をしなければならないのならば、やってみせるまで。
オルカのダンスの技量は知っている。それに伴う運動神経の良さも、尽きぬ体力も。
(だが、こちらは合気道を嗜んでいるんだ)
簡単に負ける気はない、と構えようとしたところで、
「けどさ~」
軽々と響くオルカの声とあっからかんとした笑顔に闘気を削がれた。
「悠月を傷つける気は欠片もないんだよね~」
当然、とオルカは両手を掲げる。
「武力を使うのはなしね」
冴え冴えとした光を降らせる月を仰ぐ。戦いと言ってもその手法はさまざまにあるはず。殴り合い傷つけあうだけが決闘というわけではないだろう。
「では、何で」
「やっぱここは……」
構えを解き不思議そうに瞬く悠月に──好きで好きで堪らないひとに、オルカは悪戯っぽく笑いかけようとして失敗する。心底嬉しいだけの笑みになってしまう。
「そう、相手を照れさせた方が勝ち勝負で」
「……は?」
「ん?」
「何勝負だと?」
待て、と悠月は焦る。武力で戦うのではないにしろ、方法は他にも色々ある。何と言っても、ふたりはアイドルユニットだ。得意分野はほとんど同じ、雌雄を決するのではあればそのあたりが妥当ではないのか。
「歌とかダンスとか、何なら合わせての勝負でもいい」
「いやいやだってさ~、悠月、勝負つくと思う?」
こちらの焦りを楽しむような笑顔で問いかけられ、悠月は一瞬答えに詰まる。
(歌は勝てる自信がある)
「歌は悠月に負けるだろうけど、ダンスは負ける気、無いよ?」
思考をまるきりトレースしてくるオルカに、悠月はもう一度言葉に詰まった。その通りではある。自覚もしている。
(が、)
そう言われると負けたくない気持ちが胸の奥からメラメラと燃え上がってくる。
「まあそれは次の機会にね~」
付きかけた炎をひらりと交わされ、
「一緒のステージで、共闘しながら喰らい合って愛し合おう?」
ついでにダンスを舞うようにふわりと近づいて覗き込んできたオルカの青い瞳に、底なしに優しく手に負えないほど凶暴な眼差しに、悠月は構えようとしていた矛先をまたしてもいなされてしまった。
(ああ、それは)
楽しそうだと思わせられてしまうからこそ、
(……ズルいぞ)
「ってことで照れさせた方が勝ち勝負なんだけど」
悠月の瞳に燃え盛りかけていた炎がとりあえずは鎮まったことを見て取り、オルカは早速勝負の説明にとりかかる。
「愛してるって言って、相手を照れさせたら勝ちね~」
「まて、」
「他の言葉をつけ足してもいいからとにかく愛してるっていう事」
「待て!」
さらりと勝負の内容を確定させつつ、オルカは瞳を細める。これで、
(俺に愛してるってたくさん言えるよね、悠月?)
「はいじゃあ先攻は俺からいくよ~」
「良いとは言ってな──」
「愛してる」
必死の反論は、オルカの真摯な瞳と言葉でものの見事に邪魔された。その上、
「髪の毛綺麗だよね愛してる悠月」
「ッ……?!」
髪を褒めれば髪に、
「歌ってる声が最高だよ~愛してる」
声を褒めれば首筋に。愛してると言う度に褒めた場所にキスを捧げられ、悠月は思わずオルカの頬を両手で挟んで動きを止めさせた。
「修飾をつけてもいいとは言っていたが、行動まで交えて良いとは言っていなかっただろう……!」
羞恥のあまり怒りさえ覚え、頭突きの勢いでオルカの額に額を押し付けて、月に照らし出されるオルカの顔があまりに美しく見えて余計に悔しくなった。間近で睨みつけて解放してやろうとしたところで、
「指もきれいだよ愛してる」
オルカの手が片手を掴んだ。思わず固まる指先に、柔らかで熱い唇が触れる。
「……ッ!」
胸の熱が頬にまで一気に昇る。とんでもなく熱くなる頬を押さえ、悠月はオルカの傍から飛び退った。
「俺の負けでいいからもうやめろバカ!」
「もう降参~?」
くすくすと楽しそうに笑うオルカを睨み、悠月は必死に体勢を立て直す。熱い頬を掌でごしごし擦り、熱を生み出して跳ね回る心臓を掌でばしばし叩く。
「じゃあ次は悠月ね」
「くそ、」
あれだけ愛を囁いても顔色ひとつ変わっていないことが悔しくて、悠月は罵声を零す。
「お前もこの羞恥を味わえばいいんだ」
罵ったはずの言葉が自分の耳にさえ妙に甘く聞こえて、悠月は唇をムッと引き結んだ。審判をしているような月をぐっと見仰ぎ、観客のような白い花々を見下ろし、どうにかこうにか心を落ち着かせようとする。惜しみなく浴びせられた賛辞と愛に緩んでしまいそうな頬に力を籠める。
(これは決闘だ)
自分に言い聞かせ、オルカを見据える。はいどうぞ、とばかり両手を広げて待ち受ける構えの相手に向け、まずは最初の一撃。
「オルカの低い声が好きだ……愛してる」
(ッ……)
真剣に告げた途端、オルカではなく自分自身が照れてしまった。己の心を、普段何気なく感じていることをしっかりとした言葉にするというのは、こんなにも気恥ずかしいものなのか。
オルカは照れた風もなくただニコニコと微笑んでいる。
「悠月、もう一回」
それどころかこちらの攻撃を促してさえ来る。
「……深い海のような目がいい、」
せめてもオルカの瞳を見据えて、こちらを見つめて来る眼差しの優しさに心臓が止まるかと思った。
「……愛してる」
声が震える。ひとつひとつ好きなところを挙げれば挙げるほど、頭ぜんぶが熱くなる。身体ぜんぶがどきどきする。
(……なんでアイツはこれを素面でできるんだ)
悠月にとって愛していると告げることは、愛を囁かれることよりも数倍恥ずかしいのに、オルカはそのどちらをも軽々とこなしてのける。
(さっきの数倍恥ずかしいぞ……!)
身心に籠る熱に眩暈を起こし、その場にへたへたと座り込みかける。冷たい地面と花に触れるよりも先、オルカの熱い手が腰を支えた。
「悠月」
間近に愛するオルカの低い声を聞き、悠月は言葉を失くす。オルカはくすくすと楽し気に悪戯気に笑うばかり。
「照れるっていうか」
オルカの唇が耳朶に触れる。
「すっごい煽られるなこれ」
「ッ! ……っっ!」
言葉にならない悲鳴のまま、悠月は床に座り込む。両手を床について身体を支えようとして支えきれず、頭を抱えて床を転がる。
酷い目に遭った。まったくもって酷い目に遭った。
送り込まれたときと同じで唐突に自宅である星ヶ丘寮の寝室に戻され、悠月は冷たい床に額を押し付けてこっそりと安堵する。羞恥に羞恥を重ね、敗北を連続で認めたことでともかくもあの場から逃れることは叶ったらしい。
「あ、ちゃんと決闘になったんだね~あれ。良かった良かった」
「……って、」
隣にしゃがみこんだオルカがぱたぱたと背中を叩きながら呟いた言葉に、悠月は恥ずかしさのあまり涙目になった目をあげる。
「お前あれが決闘だと認められる確信がなかったのか!?」
「ん~どうかな?」
適当にはぐらかそうとするオルカの襟首をぐいと掴んで詰め寄る。
「無いのにアレをさせようと……!?」
恥ずかしかった。とんでもなく恥ずかしかった。心臓が口から飛び出るかと思った。顔から火が噴き出すかと思った。けれどそれもこれも、あの不可思議な空間から逃れるためだと思えばこそ耐えたのに、まさかそれが脱出の確信がないままの『決闘』だったとは。
めいっぱいの怒りをこめて睨んでいるというのに、オルカは柔らかな眼差しを寄越して来る。それどころか、
「悠月、Ti amo」
愛している。
甘く真剣な声で囁かれ、キスで口を塞がれた。
唇を重ねるうち、襟首を掴む拳が解ける。
「どうせ聞くならもっと違う声を聞きたいな~」
耳元に囁かれ、恥ずかしさに息を詰めている間に、オルカの声と心ばかりが胸に沁みて行く。
「悠月、愛してる」
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シルバーシナリオ(150)
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3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月13日
参加申し込みの期限
2019年07月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月20日 11時00分
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