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今宵の月も
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寝子島を猫の横顔に見立てたときの、鼻柱に当たる部分。
三宅 葉月
が起居する星ヶ丘寮からそこに行くには、少し手間と時間がかかる。
それでもそこは、手間と時間に見合った景色を葉月に見せてくれる。
人知れぬ獣道を上り下りするうちに日が暮れた。月の輝き始める夜空を仰ぎ、葉月は小さな息を吐く。
(もう、少し……)
鬱蒼とした叢を分け、月光に銀色に光る薄野を抜け、隧道のように覆い被さる葛の茂みを潜ったその先、海が開ける。
地図にも記載されぬほど小さな小さな砂浜が、そこにはある。
遠く本土を望む砂浜に、葉月はひとり立つ。見回すまでもなく、月に白く照らし出された海岸に己以外の人の姿はない。
緑柱石の瞳を瞬かせ、葉月は着ていた服を躊躇いもなく脱ぎ捨てた。薮蚊から身を守る為に着込んでいた長袖のシャツの下から現れたのは、
華奢な肢体と、その身を凪の海に似て静かに飾る水着。
白い砂浜に寄せる波音に誘われ、月光を滴にして躍らせる海へと歩み寄る。夏の残響を僅かに残しながらも冷たい海に爪先を濡らした後は、迷うことなく歩を進める。
河口から遠く、生活排水も流入せず、人の手の入っていない海の透明度は高い。
緩やかな波を分けて水中に潜る。銀色の空気の珠を小さく吐き出しながら、水面から揺らめいて差し込む月明りの幽玄に見惚れる。息が尽きても月の海に沈んでいたい誘惑に駆られ、葉月はほんの僅か頬を和らげた。
(海に、紙と絵筆があれば)
たとえば深く沈んだ船の客室で。
たとえば遥か昔に海に呑まれた都の宮殿で。
永遠に絵を描いていられるのかもしれない。
唇から最後の空気の珠が零れる。己を導くが如く揺らめきながら海面へと上ってゆく。
水中の波を蹴る。ひといきで波間に浮かび上がり、葉月は胸に新しい空気を満たした。掌に冷たい水をかき、月の光ばかりが穏やかに揺らぐ海をひとり泳ぐ。
山中を歩いて熱を帯びた身体が芯まで冷える頃になって、葉月は水を掴む手を止めた。長い髪を波に洗わせるまま、白い肢体を海面に浮かべ波と共に揺蕩う。
月を仰ぐ。
波音と共に耳元で騒ぐのは、ひどく耳障りな父の声。
芸術の道を進もうとする己を何としてでも遮ろうとする父。
有能な経営者であった祖父の後継でありながら、父の会社の先行きは芳しくない。少なくとも、父の手腕では祖父より継いだ会社の資産を拡大させることは絶望的だ。
祖父がもうひとつ持っていた芸術面での才能も、父には宿らなかった。その娘である葉月が受け継いだ。
父から向けられる憎悪のうちに嫉妬があまりあるほど混ざっていることを、葉月は感じ取っている。
(哀しき人──)
葉月は己の父をそう断ずる。
父から同じ遺伝子を受け継いでいることが信じられなかった。
(……いえ)
波に漂う手をもたげる。苦い滴が這う指を月にかざす。
(彼の遺伝子を受け継いだからこそ、)
彼の身を焼く毒の在処が理解できた。それは、身の底の昏く澱んだ精神から滲みだすものだ。
(……私自身にも)
彼の血が受け継がれている。父が持つ精神の毒をも、きっとまた。
おそらくは、祖父も。祖父はそれを類稀なる才能と努力によって光り輝く才覚を開く鍵へと変換させたが、父にはそれが出来なかった。その身を苛む毒に呑まれてしまった。だからこその、
(哀しい、人……)
祖父と同じに毒を鍵へと変え、輝ける道を見出して進もうとする己と、それが叶わなかったために娘の行く手を阻もうとする父を思えば、父を憎むことはできなかった。ただ、静かに憐れむ。
指先に水が珠となって宿る。月の光を透かせる珠を眺め、葉月は未来を想う。いつか己も、父のように己の遺伝子を受け継ぐ子をなすのだろうか。
己の胎に別の命が宿ることなど今は想像もつかなかったが、いつか産まれる娘かも息子かも判らない我が子にも、おそらくこの毒は受け継がれる。
(私の道はもう決まっているから、突き進むだけ)
指先から垂れた雫が宙に踊る。月の光を浴びて銀色に輝くそれがまるで己の身の毒を凝縮させたものに見えて、葉月は黒い睫毛を伏せた。
(けれど、その先は……?)
知らず、胸の内が囁く声となって零れる。
「……私の『毒』はきっと、私の子供たちにも受け継がれる……」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月13日
参加申し込みの期限
2019年07月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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