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──月の夜の 1
中秋の名月を望むためか、いつもは街灯の灯る展望台の光は消されていた。足元を照らすためにと寝子島ロープウェーの展望台前駅で貸し出されていたLEDランタンを手に、
水谷 真優理
は九夜山頂上展望台を目指す。
ひとりではない。
「足元に気を付けてね」
ランタンで照らす必要もないくらいに眩しく夜を照らす中秋の名月を仰ぐついで、真優理は傍らを見遣った。
「転んだら大変」
「大丈夫よ、真優理さん」
子供じゃないんだから、と月明りに静かに微笑む従妹、
青山 絢
の白い頬の滑らかさにうっかり見惚れ、真優理は自分の方が転びそうになる。
「真優理さんっ」
「平気、……あ、ううん、」
慌てる絢にひらひらと手を振ってから、真優理はふと思いついたように絢に手を差し伸べた。
「平気じゃないから手を繋ごう」
自分こそ子供のように無邪気に笑う三十路前の従姉を呆れた顔で眺めて、けれど絢は真優理の手を取る。
「ここには花まつり以来ね」
黒髪に月光を揺らしながら呟く絢の横顔にまたもや見惚れつつ、真優理はそうねと頷く。
一月前に訪れたときには、色とりどりの花が咲き乱れていた。夏の盛りも過ぎてもう九月も半ば、月明りに花の気配は感じられない。その代わり、まだ少し青い薄が山道のあちらこちらで涼し気に揺れている。
夏の夜に浴衣姿で歩く従妹の姿も妖艶でありながら少女めいた可憐さを感じさせてとっても良かったけれど、普段着で月光の道を辿る今の絢も姿も負けず劣らず美しい。
「帰りに寝子温泉で名月を眺めながら月見酒しちゃおうかしら」
(もちろん名月は絢ちゃんね!)
女優を目指す従妹のファン第一号を自任する真優理は、傍らで手を引いてくれている従妹に見惚れるあまり、流れるように変態的な言葉を口にしてしまいそうになる。最後のあまりにあまりな一言はぐっと飲み込み、
「……っと、絢ちゃんにはまだお酒は早いか」
誤魔化し気味に言葉をすり替える真優理を、絢はちょっぴり咎めるように見遣った。
(まさか、去年のお月見のこと忘れちゃってる?)
去年のお月見は、寝子ヶ浜海岸で行われる有志連の大宴会にふたりで参加した。
(……あの時は)
海岸にブルーシートを広げ、参加者の持ち寄りで行われるお月見大宴会は、正に無礼講。一応、ススキやお月見団子などのお月見らしいお供え物も用意されるはされるものの、あとは誰かの手作り重箱に始まり、近所のスーパーの半額以下お惣菜に大袋お菓子、缶ビールに瓶ビールが何ケースと並び、一升瓶だって何本も並ぶ。
(本当に大変だった)
無礼講な雰囲気に、真優理が調子に乗った。唐突に始まった飲み比べ大会に勇んで参加した挙句、並み居る酒豪や呑兵衛たちを向こうに回して飲んで飲んで飲みまくり、最後には蒸留酒をビールで割った爆弾酒なる高アルコール飲料で盛大に自爆した。
引っ繰り返って爆睡する従姉を支えて帰るのは、
(本当に大変だった……!)
今年のお月見を九夜山の展望台にしたのは、従姉が去年の自分の惨状を踏まえたからこそ。のはず。
月の夜道をランタンの光で照らして辿り、展望台に辿り着く。清浄な光を降らせる月を望み、ふたりは展望台に設置されたベンチのひとつに並んで腰を下ろす。
眼下に広がるのは月光を静かに纏う森の木々と、きらめく街の光。街を経て広がるのは、揺蕩う月の光を抱いた夜の海。
「……綺麗ね」
月光に照らし出される寝子島を眺めて呟き、真優理は隣の従妹に微笑みかける。そこまでは良かった。
「うん、綺麗……」
小さく応じる従妹の月明りに照らされた横顔を見た途端、従妹大好きな真優理はその静謐な美しさに息を呑む。
(ああ、なんて尊い! 尊過ぎて死ぬ!)
身悶えして叫んでしまいそうになって、流石にそれは己の胸の内でのみ行う。表に出してしまえば挙動不審を通り越して危険人物扱い一直線だ。従妹からも今より一層呆れた視線を向けられること請け合いだ。
従妹の美しさに細かく震える手でスマートフォンを取り出し、カメラアプリを起動させようとして止める。それをしてしまえば、従妹の美しさが途端に安っぽくなってしまう気がした。
スマホを掌で押し包む。
今日の従妹の横顔は、自分の記憶の中にだけいつまでも閉じ込めておこう。
スマホを包むのとは反対の手で従妹の冷たい手を握りしめる。気づいた絢が淡く微笑んだ。こちらの挙動不審にたぶん気づいてはいるのだろうけれど、残念な従姉だと思ってはいるのだろうけれど、それでも彼女はこんな自分を慕ってくれている。
中学一年生の時に母を亡くし、その哀しみの癒えぬうちに父からの手酷い裏切りに遭い、追い詰められた彼女は自分に救いを求めた。求めてくれた。
並んで月を仰ぎながら、真優理は泣きたくなる。
絢は、泣かない。涙を流せない。その代わり、儚げにも見えるその顔を彩る透明感のある微笑みは、いつもどこか哀しみの色を湛えている。
最近は──あの夏の日、ふたりで絢の母の墓前に参った日以来、彼女の微笑みは透明度を増している。哀しみさえ喪ったかのような、無色透明の笑みになろうとしている。
だから、真優理は滲みそうな涙を瞬きひとつで押し隠す。零れそうな嗚咽を噛み殺す。
(絢ちゃんの涙を私が横取りしちゃいけない)
せめても明るく笑ってみせる。こちらの挙動不審に少し憂い顔になって溜息を吐く従妹の背中をばしばし叩く。
「なーにそんなしけた顔してんの!」
(憂い顔もまた似合っちゃう……!)
内心で感動してしまう自分のことはさておき、真優理はすっくと立ちあがった。しょんぼり落ちてしまいそうな肩をぐいと持ち上げ伸びをする。絢の手を引いて強引に立ち上がらせ、満面の笑顔で大好きな従妹の顔を覗き込む。
「お月さまも堪能したし、温泉行こ、温泉! 露天風呂!」
月に照らされる従妹は、やっぱりとっても綺麗だった。たとえ白い頬を彩る笑みが、こちらのどんな感情もすり抜けてしまうほどに無色であったとしても。
夜気に冷えた身体を沈めるのは、寝子温泉のあちこちのお宿で可能な日帰り入浴の露天風呂。
ほんの少しだけ色付き始めた紅葉越しに満月を仰ぎ、真優理は温泉の湯気を裸の胸に満たす。
空を満たす月灯りに配慮してか、檜の湯舟の周囲に光はほとんどない。
内湯に続く道の足元だけを照らす石燈の僅かな光が、湯舟の縁に腰掛けて月を眺める絢を幻想的に縁取っている。
「こうして眺める月も綺麗よね、綾ちゃん」
「特別な気分よね、真優理さん」
絢に話しかけながら、真優理は無性にお酒を口にしたくなる。
月見酒と洒落込みたいというのは表向き、本当のところは、
(だって! 絢ちゃんがとっても濡れ髪美人なんだもの……!)
あんな美人を肴にお酒が飲めたら、いつもの倍は美味しいに決まっている。しかもそれがしっとり温泉美人と来た日には!
(いい……! とっってもいい……!)
うっかりきらきら目を輝かせて見つめていて、ふと振り向いた絢と目が合った。
「露天風呂で月見酒、と洒落込みたかったけど、従妹がいるのでお預けね」
熱いまなざしを注いでいたことを気づかれぬよう、至極残念そうに、できればちょっぴり大人じみた仕草に見えるように微笑んでみたは言いものの、
(絢ちゃんのあの眼差しは、……)
こちらのいつものながらの挙動不審に呆れている目で間違いない。
こうなったら、と真優理はもう大っぴらに大好きな従妹を見つめにかかる。こちらの眼差しに臆したようにお湯の中に白い裸体を沈める絢ちゃん、困ったように俯く絢ちゃん、開き直ったように月を見上げて温泉をゆっくり満喫する絢ちゃん。
どの従妹の姿も全部ぜんぶ、お月さまより綺麗で美しくて、自分にとっては誰よりも何よりも大切で愛おしい。だからこそ、
(幸せになって欲しいのに)
そうして心から晴れやかに笑って欲しいのに──
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月13日
参加申し込みの期限
2019年07月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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