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【緩やかに。さりげなく】
深海めいてほの暗い空間に、発光するクラゲのごとく明滅する無数の光。それらは色とりどりに輝いて、
志波 武道
の目を射抜きます。
無機質なランプが灯る機械の壁に、武道は囲まれています。
微動だにせず見つめる視線の先に、モニターがふたつ。ブラウン管の古めかしい画面へ、武道はただただ見入ります。
モニターのひとつに映るのは、何の変哲もない日常です。
「今日も異常ナシっと」
いつもの寝子島。学校では友人たちが昨日発売されたマンガの話で盛り上がり、参道商店街では店先へ客を呼び込む元気な声が響きます。ちょっとしたひなたには猫だまりができていて、気持ち良くあくびなどする姿に、武道は一瞬頬をほころばせました。
「さて……」
もうひとつのモニターが、再び武道の顔から表情を取り払います。
それをなんと表現したものか。武道はいまだ、適切な言葉を持ちません。あえて言葉にするなら、ただ、蠢くナニカと表現すべき物体でした。
どろどろとした、タールか石油のように黒く。それでいて表面は一定のリズムでさざ波立ち、虹色の粒子を帯びています。無機物を装いながらも時おり意思持つかのように蠢き、隔離室の壁に埋設されたカメラを攻撃するようなそぶりも見られました。かと思えば静止し、じっとこちらをうかがっているようにも思えました。
頭上から、唐突なブザー音。
『<FO/Y-1572>の質量膨張は4294日間継続されています。数値は接収後から一定の増幅を計測し続けています。警告。<FO/Y-1572>の質量係数は35770日後に臨界を突破することが予測されます。速やかに保守点検作業を中断し、規定の処理プロトコルを実行してください。<FO/Y-1572>の内部曝露によって放射される不可視の動的エネルギーからは、極めて強い放射線に酷似した特性が観測されました。現在のところ、処理プロトコル実行手順における実行者の被爆を防護する手段は完全に確立されていません。プロトコル実行者には手順の一部を隠匿し、仮想の終了処理手順を伝達してください。処理プロトコル完了後は、実行者の遺体と共に通常の焼却処理手順を実行してください』
このひび割れた電子音声を聞くのは、もう何度目のことか。日数が日ごと増えていくだけで、内容は毎日毎日、変わり映えしない言葉の羅列を聞かされるのみ。
「あと100年……ってところか」
誰ともなくつぶやきます。
すぐにもなにかが変わるわけではないのでしょう。肥大化した物体が隔離室を内側から破壊し、地上へ進出し暴れ狂うのは、ずいぶんと先のこと。
武道にとっては気の遠くなるような未来のことです。その時にはきっともう人生を全うし、この世から去っているはずです。
くるり、ふと振り返ると、そこには扉がふたつ。いずれもこの部屋からの出口です。ただし、一方通行の。
ひとつは、地上へ向かう扉。繋がる先にはいつもの寝子島、いつもと何ら変わりのない日常が待っています。モニターのひとつに映るなんの変哲もない日々へと帰ることができるでしょう。
もうひとつは、地下への扉。あのなにかが蠢く、隔離室へ繋がる出口です。
武道は、どちらを選ぶこともできました。ここには同じ文言をオウムのように繰り返す電子音声の主しかいないし、ほかに誰が見ているわけもありません。
地上への扉をくぐれば、すぐにも寝子島へ戻ることができるでしょう。あの騒がしくも賑やかな、輝かしい日々。自分がそこに浸っていたのは、もはやずいぶんと昔のことのようにも思えます。
モニターを、見つめます。
「でも……な。俺だけだもんな」
そうして、自分も持ち物をすべて部屋の片隅へ置きました。
「それができるのは。知っているのは、俺だけだから」
ごくシンプルな判断です。
自分はいい。生きている間に苦しむことはない。けれど、たとえば……自分の子なら? 孫なら? そのまた孫の世代なら?
良く知っている友人や家族の子。孫。これから連綿と続いていくだろう、血の繋がり。その全て。
その重みと、釣り合うだろうか? 自分という存在は?
決して卑下するわけではありません。自分がどれだけ大きなことを成せるのか、その可能性に気づいただけ。
「悩む時間は、たっぷりともらえたしな」
武道は思うのです。
親しい人たちや、慣れ親しんだ環境との別れは、なにも突然であるばかりではないのだと。
そして別れとは、押し付けられるばかりではないのだと。
悩みに悩み、自ら選ぶ別れもあるのだと。
かつての性急だった自分は、気づけませんでした。焦り、直感的な決断を下し、後悔したこともありました。
今はもう、思い出にして蓄積された経験です。それらは武道へ、凪のように平坦な心を与えてくれました。
立ち上がり、歩き出します。扉へ手をかけ、ゆっくりと開きました。決して振り返らずに。モニターを再び見つめてしまったら、二度とは立ち上がれないかもしれないから。
『それでは、さようなら』
不意に響いた電子音声が、なぜだか自分の声に聞こえました。
目が覚めたのは、その直後でした。
「……なんの夢、見てたっけ?」
記憶は急速におぼろげになってゆくけれど、きっとなにか、重たい夢だったのでしょう。現実には耐え難いような、ひどく悲しい決断をした……そんな夢。
その証拠にか、武道の瞳は濡れていました。
「ああ。分かってるさ」
夢の記憶は薄れてゆくけれど、武道の胸には、漠然としながらも確かな決意が残りました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年07月02日
参加申し込みの期限
2019年07月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年07月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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